花の妖精

「そこからとんとん拍子で交際になって」
「そこからもね」
「お互い就職と卒業の中で」
「お互いのご両親とも会って」
「結婚することになって」
「本当にですよ」
　二人のこともというのだ。
「嘘みたいですよ」
「そうだね、言われてみれば」
「はい、それとですけれど」
　若菜は雄二にあらためて話した。
「これからですね」
「うん、お花屋さんに行ってね」
　そしてとだ、雄二も答えた。
「それでね」
「そのうえで」
「お花買うけれど」
「じゃあチューリップですね」
　この花がいとだ、若菜は雄二に笑顔で言った。
「あのお花にしましょう」
「春だからかな」
「それに幸運のお花ですから」
「そうだったんだ」
「そんな感じするじゃないですか」
　若菜はにこりと笑ってこうも言った。
「チューリップって」
「そう言われるとそうかな」
「はい、それでです」
「チューリップがいいんだ」
「私もチューリップ買いますし」
「僕もだね」
「そうしませんか？」
「そうだね」
　雄二は若菜の言葉に根拠はないがそれでもチューリップの姿を心の中で思い浮かべて確かに幸運も感じられると思ってだった。
　それで彼女の言葉に頷いてだった、こう言ったのだった。
「じゃあチューリップ買おうね」
「そうしましょう」　
　こうしてだった、二人は花屋に向かった。そしてある花屋に入ってそこでチューリップを探した。するとだった。　
　赤と白のそれぞれの球根を見付けた、だが。
　ここでだ、雄二は若菜にこう言った。
「球根を鉢に入れてだね」
「はい、それでお部屋の窓辺に置いて」
　二人が住む部屋にとだ、若菜は答えた。
「お日様の光を当てて」
「そのうえでなんだ」
「一から育てていきましょう」
「そうしたら」
「はい、春になりますと」
　その季節になると、というのだ。
「咲きますよ」
「球根からだね」
「小学校の時もそうでしたね」
「そうだったね、そういえば球根大きいし」
「春になったら」
　今は三月だ、この季節になればというのだ。
「咲きますよ」
「そうだね、じゃあどのお花を買おうかな」
「一人一つでいきましょう」
　若菜はにこりと笑ってここでも提案した。
「そうしましょう」
「そうだね、お花の色は」
「男は白、女は赤」
　ここで幼女の声がしてきた。
「それで決まりでしょ」
「そうだね、けれど何か」　
　その幼女の声にだ、雄二は言った。
「今の声って若菜ちゃんの声じゃないね」
「私じゃないですよ」
　その若菜も言ってきた、いい声だが幼女の声ではない。
「というか私も今の声聞きましたけれど」
「誰が言ったのかな」
「私よ」
　また幼女の声がした、その声がした方はというと。