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八条学園騒動記

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第五百十五話 洪童の結論その十一

「だからな」
「もうどうでもいいって思って」
「探さない」
「そこまで見放されるのも凄いわね」
「理由はわかるな」
 何故そうなったのかもだ、洪童は話した。
「これまで話した通りだからだ」
「まあそんな人ならね」
「誰でも見放すな」
「しかも嫌ってね」
「そういうことだ」
「というかその母親今は」
「散々害毒を撒き散らしてな」
 悪感情を全開させてだ、洪童は述べた。
「死んだ」
「ああ、やっぱりね」
「甘やかした人間がいなくなってな」
「そのこともあってなのね」
「完全に見放された」
 誰からもそうなったというのだ。
「宗教施設にもいられなくなってな」
「というかそこで頑張っていればね」
 宗教組織でとだ、ナンシーは言った。
「立ち直れたでしょうね」
「神学というかその宗教の学問を学んでな」
「それで聖職者の資格を得たら」
「神父なりになれるな」
「そうなるじゃない」
 教会や寺を預かるそうした人にというのだ。
「実際神父さんとかお坊さんとか昔はワルだったって人もね」
「結構いるな」
「道を踏み外していたけれど」
 それがというのだ。
「更正してね」
「そうなってたかも知れないが」
「そこでも努力しないで」
「かえって世話になっていてもな」
 それでもというのだ。
「そのことを恩にも思わずな」
「その組織を批判して」
「批判というか悪口を言ってな」
「それじゃあ本当に救われないわね」
「それで誰からも見放された」
「もうそうなって必然で」
「今は誰も探さない」
 誰からも完全に見放されたが故にというのだ。
「本当にな」
「何か同情出来ないわね」
 ナンシーはここまで聞いて冷めた目になって述べた。
「その人には」
「あまりにも酷いからだな」
「そんな人はシェークスピア読んでもね」
「わかる筈がないな」
「どう考えてもね。簡単に書いていても」
 誰が読んでもわかる様にだ。
「まともに読めない人ならね」
「どうにもならないな」
「その本を真っすぐに読むことも大事ね」
「そういうことだな」
 洪童はナンシ―の言葉に頷いた、そしてここでチャイムが鳴った。そこで時間となったという合図だった。


洪童の結論   完


                  2019・3・9 
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