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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第一幕その二

「実は今泉鏡花について研究しているんだ」
「泉鏡花?」
「誰かしら」 
 チープサイドの家族はその名前を聞いてもわかりませんでした。
「奇麗なお名前だけれど」
「誰だろうね」
「ううん、何かね」
「芸術家みたいな名前だね」
 オシツオサレツはその名前からこう思いました。
「彫刻とか絵画とか」
「そちらの人かな」
「詩人じゃないかな」
 トートーはこう思いました。
「名前からして」
「お花が名前にあるから」
 ポリネシアはこのことから考えました。
「やっぱり芸術関係の人ね」
「素敵な名前だね」
 ジップはその名前を気に入りました。
「泉も鏡もお花も奇麗なものだから」
「日本語のセンスがあるわね」
 ポリネシアはそれをはっきりと感じています。
「それもかなり」
「ええ、抜群のセンスね」
 ダブダブもこのことに太鼓判を押します。
「間違いなく芸術センスのある人よ」
「名前の感じからして戦争前の人かな」
 チーチーはこう思いました。
「日本のね」
「明治から第二次世界大戦前の人ってそんなペンネームとかだね」
 ホワイティもこのことを知っています。
「高村光雲とか夏目漱石とか」
「うん、その時代の芸術家かな」
 最後に老馬が言いました。
「若しかして」
「明治から戦前に活躍した小説家、戯作家だよ」
 先生はここで泉鏡花についてお話しました。
「妖怪が出る奇麗な感じの作品を沢山残しているんだ」
「へえ、小説家だったんだ」
「それで劇も書いてたの」
「そうした人だったの」
「そうだったんだ」
「そうだよ、日本では有名な作家さんの一人でね」
 それでというのです。
「全集だって出ているよ」
「ふうん、そんな人なの」
「先生日本文学にも詳しいし」
「研究も熱心にしてるしね」
「それでだね」
「そちらも学んでるのね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「今ね、代表作は高野聖に歌行灯にね」
「高野聖は高野さんのお坊さんね」
「山からあちこちに修行に出ている人で」
「あの人達よね」
「そういえば高野山でそんなお話も聞いたわ」
 動物の皆はかつて高野山に行ったことも思い出してお話しました。
「その人達を書いた作品なの」
「タイトルだけ聞いたら」
「歌行灯はどんな作品だけれど奇麗なタイトルね」
「やっぱりセンスあるわね」
「そうだね、この人の文章はちょっと独特だけれど」
 先生は泉鏡花の文章についてもお話しました。
「夏目漱石や太宰治に比べて癖があるよ」
「日本語の文章って書く人の文体凄く出ない?」
「英語や中国語と比べても」
「スペイン語やアラビア語ともね」
「先生前そんなこと言ってなかった?」
「そういえば」
「うん、日本語の文体のせいかね」
 実際にとお話する先生でした。 
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