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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第152話:Destiny Battle

ヤコブ周辺を警備している警備ロイドとメカニロイドをエックス達に任せてアクセルは軌道エレベーターに乗り込んだ。

『アクセル…ルナをお願い…行ってらっしゃい!!』

「うん……ありがとうパレット…待っててルナ…僕が止めてあげるから……」

バレットの安全装置を外すと覚悟を決めてエレベーターに向かってくるメカニロイドを迎撃するアクセル。

「本当に数だけはいるねえ!!」

特殊武器の中でもクラッキング性能を持ち、火力が高いブラストランチャーと連射性能がずば抜けて高いレイガンを主軸にして攻めていくアクセル。

途中でエレベーターが止まると、即座にコピー能力による応用のステルスを発動。

そして扉から出てきたが、肝心の敵であるアクセルがいないことに警備ロイドは困惑してしまう。

「スパイラルマグナム!!」

密集したところをアクセルがアントニオンのDNAデータを解析して会得した空間を歪ませ、高い貫通性能を持つマグナム弾を放つスパイラルマグナムで一網打尽にしてしまう。

「…コピー能力が使える癖にこういう使い方に気付かないんだね」

やはり生まれて間もないために応用力がまだ充分ではないのか、それともコピー能力の過信か…。

再びエレベーターが動き出し、数回同じことを繰り返すとメカニロイドも警備ロイドも現れなくなる。

それを確認した後、アクセルは上空を毅と睨んだ。

どうやら宇宙空間に突入したようで、彼女の気配が強く感じられた。

『もう少しで頂上ですよアクセル…準備はいい?』

「何時でもOKさ」

頂上に出れば自分はルナと戦うことになる。

しかし逃げることは出来ない。

これは自分が立ち向かって越えていかなきゃいけないものだから。

宇宙への扉が開かれ、アクセルは頂上に出た後に周囲を見渡すと人類の移住の地である月が見えた。

「月………」

呟いた直後、背後から着地音が聞こえた。

そこには見慣れた姿の…シグマの拷問によって心が壊されてしまったルナの姿があった。

「ア…クセル…新世…代…プロ、トタイ…プ…」

ノイズまみれの声にアクセルは表情を顰めた。

他の新世代型レプリロイドにプロトタイプと呼ばれようと何とも思わなかったアクセル。

イレギュラー化した新世代とは違うのだと言うことを確信させることでもあったのだが、彼女から言われるのは何故か堪えた。

アクセルは痛みに耐えるように深呼吸した後、ルナに向かって言い放つ。

「ルナ…ごめんよ。僕のせいでイレギュラーにされちゃって…怖かったよね…苦しかったよね…謝って済む問題じゃないのは分かってるよ…今の君に言っても伝わらないことも分かってる…だけど君に謝りたかったんだ…」

「………リフレクトレーザー」

ルナは無表情のまま、アクセルにチャージを終えたバレットを向けてリフレクトレーザーを発射した。

アクセルはそれをかわし、反射されたレーザーも無事にかわす。

「……ルナ…」

「アクセル…破壊スル…命令……破壊…破壊破壊破壊」

壊れたように同じことを繰り返し言うルナにアクセルは歯軋りした後にバレットを構えた。

「待ってて…今、楽にしてあげるよ」

少しでも早く彼女をイレギュラーの呪縛から解き放つことがアクセルが彼女に出来る唯一の償いだと思い、バレットからショットを連射した。

ルナはそれを凄まじい反射速度で対応し、かわしながらショットを放って反撃してきた。

「(ルナのバレットのレーザーショットはフルチャージかギガクラッシュしなきゃショットは反射しない。)」

ローリングとホバーを駆使してルナのショットをかわしながらルナにレイガンで反撃する。

「ウアッ…!!」

光速連射のレーザーを僅かな時間で数発も喰らってしまったルナは思わず呻く。

彼女の全身が発光した。

コピー能力を発動させたのだとアクセルは理解し、警戒するとルナはトリロビッチに変身し、トリロビッチのスペシャルアタック・ウェーブウォールを発動した。

「(思い出せ、トリロビッチの弱点を…確かこいつは解析したデータじゃ、こいつに弱かったはず!!)スパイラルマグナム!!」

スパイラルマグナムで反撃し、マグナム弾が水晶壁を貫通してルナに弾が直撃する。

「…っ!トランス…ドクラーゲン」

弾がトリロビッチのアーマーを破壊し、このままではやられると判断したのか今度はドクラーゲンに変身し、ドクラーゲンのスペシャルアタックを発動する。

「サンダーダンサー」

「こんなもの!!」

ドクラーゲンは一度戦ったことのある相手で、その能力内容は分かっている。

即座にホバーで射程範囲から逃れて今度はトリロビッチの特殊武器に切り替える。

「バウンドブラスター!!」

反射するエネルギー弾を発射、鉱属性の攻撃を喰らったドクラーゲンの姿のルナが仰け反る。

やはり変身時の弱点が元のボスと共通している。

「アクセル…!!」

「コピー能力が強化されちゃったのも考え物だね。弱点までコピーしちゃったんだからさ」

正直以前のルナのコピーは不完全だったために弱点は再現されなかった。

そのため、今のルナのコピー能力は元のレプリロイドの弱点を把握していれば以前より対応がしやすくなっている。

「全力で行くよ。必ず君を止める!!」

潜在能力を解放し、アーマーと髪と瞳の色が変化し、アクセルの特徴の1つである傷痕が消えた。

「消エロ!!」

今度はアントニオンに変身し、アントニオンのスペシャルアタック・キューブフォールズで反撃を試みる。

「よっ!!はっ!!」

強化された機動力でキューブを回避しつつ、ルナとの距離を詰めてカマキールの特殊武器であるブラックアローで反撃する。

「ウグ…」

闇の矢がルナに直撃し、呻きながら変身を解除する。
その隙にレイガンで集中攻撃する。

「パワーとスピードもパワーアップしてるけど、やっぱり僕の知ってるルナの方が強いね…」

ルナの厄介なところは回避まで計算されたリフレクトレーザーと、ステルスまで絡めた戦法であり、それをされたら今の自分でも苦戦は免れない。

しかし今のルナは冷静な思考を持たずに性能に頼った攻撃しかしないために対応が容易だが、このまま攻撃を受けてくれる彼女ではなかった。

イエティンガー…そして次にコケコッカーに変身してそれらのスペシャルアタックである、スノーアイゼンとフレイムトルネードでアクセルの機動力を削ぐ。

「アースクラッシュ!!」

サンフラワードに変身した直後に極太の光線がアクセルに降り注ぐ。

「ぐっ!!」

あまりの速さと、動きが制限されたことでかわしきれなかったアクセルはダメージを受けて膝をついた。

防御力を犠牲に機動力を強化したこの状態のアクセルには強烈な一撃であった。

「終ワリダ」

パンデモニウムに変身し、腕に衝撃波を纏わせるとアクセルに向けて鋭く爪を突き出した。

「まだまだ!!」

咄嗟にローリングでパンデモニウムのスペシャルアタック・葉断突を回避、同時にフレイムバーナーで反撃する。

「ウワアアアア!!?」

「レイガン!!」

怯んだ隙に再びレイガンで攻撃し、彼女のダメージが凄まじい勢いで蓄積していく。

「グ…ガアアア!!」

カマキールに変身し、両腕の鎌に凄まじいエネルギーを纏わせるルナを見てアクセルはダッシュで突撃した。

「ダアアアアア!!!」

「てやああああ!!!」

カマキールのスペシャルアタック・デスイメージの斬擊をアクセルは物怖じせずに突っ込みながらギリギリのタイミングでかわし、ブラストランチャーを構えた。

「!?」

「終わりだ!!」

ブラストランチャーの手榴弾を発射してルナに直撃させると更に追撃のレイガンのレーザーを絶え間無く浴びせた。

「ウ…ウウ…」

ダメージでよろめくルナが此方を見る。

その表情は恐怖に染まっていた。

「…………ルナ」

その表情を見ていると胸が苦しくなるのを感じて俯くアクセル。

「助ケテ…」

「え?」

幾分か理性のある声にハッとなって顔を上げるとイレギュラー化の影響の鮮やかな紅い瞳が濁り、苦しげに息を繰り返した。

「助ケテ…」

顔がくしゃくしゃに歪んでいた。

浮かぶのは狂気ではなく、苦痛と恐怖であった。

「ルナ…まさか…正気に…!?」

「怖イヨ…コンナノ…嫌ダ……!!」

その言葉にハッとなって彼女を見ると、彼女の瞳に宿るものが彼女の胸中を雄弁に語り、彼女を支配するのは、苦痛と恐怖、絶望であった。

「ルナ…!!」

「コンナノ…私…ジャナ…イ…!!早ク…撃ッテ…!!」

震える銃口から発射されたショットは、アクセルから大分離れた場所に飛んでいく。

彼女の中で自分の知るルナとイレギュラーとしてのルナがせめぎ合い、彼女の支配権を得ようとしているのがアクセルには分かった。

これしかないのだとアクセルはバレットを握り締めた。

「早ク…」

「ルナ!!」

「………っ!!」

アクセルの声と銃声、そして胸に走った衝撃に目を見開くと、ルナの目に悲しみを必死に抑えたような表情のアクセルとトリガーを引いたバレットが映る。

アクセルが放ったショットは隙間に通すような、針の穴に通すかのような鮮やかな一撃で彼女の動力炉を貫いたのであった。

「ごめん…本当に…ごめんよ…!!」

アクセルは呆然としている彼女を泣き顔で謝罪しながら見つめている。

数瞬の間を置き、ルナの体が、糸の切れた傀儡のように崩れ落ちたのだった。

そして倒れたルナにアクセルが駆け寄ったのは、それから間もなくであったが、命の灯火がもうじき尽きようとしているルナにとっては随分長い時間だと感じられた。

「ルナ…」

呼び掛けるアクセルの声の優しさに、ルナは涙が出そうになる。

シグマパレスに囚われて、心を壊されるまでずっとずっと会いたくて仕方なかった少年が目の前にいると言うのに体は全く言うことを利かず、全身の力が抜けてしまっている。

丁度寝起きの怠さに似ているが、現実は正反対であった。

これは眠りにつく倦怠感であり、眠りとはすなわち、彼女の“死”を意味しているのだ。

「ア…ハハハ…」

声を出すとノイズまみれの声が出る。

まともに声を出すことも出来ない自分にルナは自嘲の笑みを浮かべた。

「ルナ…」

「私…酷イ奴ダ…シグマニ…心ヲ壊サレテカラ…アクセル達ニ酷イコトヲシタノニ…ミンナヲ…傷ツケタノニ…」

「ルナは何も悪くない!!悪いのはシグマなんだ!!それに僕が弱かったから…君が…こんな…」

「アクセル…」

アクセルの言葉に涙を流しながら笑みを浮かべるとゆっくりと手をアクセルに伸ばすと、それを見たアクセルは戸惑いながらも力強く握り締めた。

彼に触れてもらえてくれているという事実が彼女の傷ついた心に温もりを与えていく。

「ヤッパリ…酷イ奴ダ私…ミンナヲ傷ツケテオイテ…アクセルヲ悲シマセテ…君ト2人デイラレルコトヲ喜ンデル…コンナコトヲ思ウヨウナ最低ナ奴ダカラ…罰…当タッタンダロウナァ……」

「そんなこと…!!」

「ゴホッ…」

口から疑似血液を吐き出し、ルナは徐々に迫る死の恐怖に微かに体を震わせた。

「ルナ…!!」

「ヤッパリ…怖イヨ…死ヌノハ…デモ…ドウニモ、ナラナインダ……」

「…………」

その言葉にアクセルは何も言えない。

彼女の動力炉は自分の手で破壊したのだから。

「デモ…ドウセ死ヌナラ…最期ハ…」

周囲を見渡すと星がとても綺麗で冴え冴えとしていた。

自分の体が氷のように冷たくなっていくのを感じ、目が霞み出していく。

そしてアイセンサーにノイズが生じて、彼女の視界に砂嵐を広げていく。

「アイリス達ノ…真似ミタイダケド…ア…クセ、ル…抱キ締メテ…クレナイ、カナ…?………ハハ、流石ニ…図々シイヨネ………エ?」

アクセルは泣きながらギュッと力強く彼女の身体を抱き締めた。

それを認識したルナは微笑んだ。

「…暖カイ…本当ニ罰ガ当タリソウ…」

「ルナに罰を与える奴がいるならイレギュラー認定喰らってでもぶっ飛ばしてあげるよ……」

「アクセル…アリガ、ト…ウ……………」

礼の次にアクセルの耳元に顔を近付けて小さく囁くと彼女の体から力が抜けた。

動力炉が完全に停止し、彼女が機能停止したのだ。

「ずるいよ…最期にそんなこと言うなんて…返事すらさせてくれないなんて…」

悲しげに笑いながらアクセルはルナの亡骸を抱いて静かに泣いた。

少ししてエックス達も頂上に到着し、此方に駆け寄って来た。

「アクセル!!ルナは…?」

「眠ってるよ……凄く安らかな顔で」

「眠ってるって…!!」

アイリスの問いにアクセルは答えると、ルナの状態を見たエイリア達はショックで目を見開き、エックスとルインは辛そうに表情を歪め、ゼロも静かに拳を握り締めた。

「アクセル…」

「お願い…今は…い、まは…何も…言わないで…静かにして…今、ルナは安らかに眠ってるんだ。苦しいことも怖いことも忘れて…壊された心を癒してるんだ…ごめん…本当にごめんよ…ルナ…!!」

エックスに振り返ることも出来ず、永い眠りについたルナの亡骸を抱き締めながらアクセルは嗚咽を漏らしながら何度もルナに謝罪するのであった。 
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