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八条学園騒動記

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第五百十五話 洪童の結論その三

「宗教団体ですら」
「人を助ける場所でもな」
「救えないのね」
「あまりにも酷い奴はな」 
 それこそというのだ。
「どんな宗教でも思想でもな」
「救えないのね」
「そういうことだな」
「いや、本当にね」
「そんな人も珍しいな」
「ええ、何をどうしても救えない人は」
「そうだな、しかし世話になっている人に何も恩を感じずな」
 そしてというのだ。
「ちょっとしたことでも恨みに思ってな」
「お世話になってる場所のどうでもいいことばかり悪口言うとか」
「そんな奴が救えるか」
「本当に無理よね」
「どうにもならない位性根が悪くてだ」
「頭も悪いってことね」
「どっちがより悪いか」
 性根か頭かどちらかが、というのだ。
「俺はわからないがな」
「両方でしょ」
 ナンシ―は即座に答えた、もうどっちがより悪いかということではなく両方共同じだけ悪いということだとだ。
「それこそ」
「両方か」
「そう、本当に性根も頭もね」
「どっちも同じだけか」
「救い様がないだけ悪いから」
「どんな宗教でも救えないか」
「どんな人でもね、私が話した馬鹿もね」
 こちらの愚か者もというのだ。
「結局はね」
「性根も頭もか」
「どっちも同じだけね」
「どうしようもなく悪くてか」
「どうにもならないってことよね」
「人間失格だな」
 洪童はここでこの言葉を出した。
「最早な」
「あまりにも酷くて」
「無関係な人が殺されも何も思わなかったり恩を全く意識しないとかな」
「そんな人はね」
「どうにもならないな」
 まことにというのだ。
「それでだ」
「人間以下になっている」
「人間以下の馬鹿ってことね」
「どうしようもない域に堕ちたな」
「だから救われないのね」
「そうも思った、悪質な馬鹿はな」
「人間以下になるのね」
「そういうことだな、そうなってたまるか」
 洪童は怒った目になって否定の言葉を出した。
「何があってもな」
「だから今もこうして」
「正しい読み方を心掛けてな」
「シェークスピア読んでるのね」
「俺は本当に哲学はわからない」
 こちらの学問はというのだ。
「難しい造語に難しい文章を書いていてそれが一冊の本になっていてもな」
「読んで理解出来ない」
「そうだけれどな」
「文学はわかるから」
「こちらを読む、そしてな」
「今私達が話したみたいな馬鹿にはならない」
「本当にああはなるまいだ」
 洪童はここでも否定の言葉を口に出した、自分が話したその男の上から目線の偉そうな笑顔を思い出しながら。
「幾ら本を読んでいてもな」
「正しい読み方じゃないと」
「馬鹿でも本は読める」
「つまり本を読んでも頭はよくならないのね」
「そうなるとは限らないな」
「かえって馬鹿になったりするのね」
「まともに読まないとな」
 そうしなければならないというのだ。 
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