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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百七話

乗り換えた電車でも箒が一夏を虐めている頃。

「わぁー…おっきー」

「きらきらしてて綺麗!」

「これは……神々しい、としか言えませんね」

「やー、私もこうして見るのは初めてだよー。
すごいねぇー、コレ」

ロリsと束は西サハラに鎮座する巨大サイコシャードと日の出が見せる光景を見ていた。

なぜこの四人が西サハラに居るかと言えば、『お兄ちゃん達だけ旅行とかズルい!』と円香が言ったからだ。

束がロリsと数機のリムシィを連れて西サハラへ。

シルヴヴァインは一夏と箒の護衛の為に京都へ。

「これ、新しい宗教とかできませんかね?」

「できるだろうね。なんせいっ君がやったことは、奇跡以外の言葉では語れない。
そして衛星カメラが捉えた姿、地球を包み込む程の光の翼。
天使や神の名こそがふさわしい」

やがて、太陽がサイコシャードの上から顔を出した。

「さて、暑くなる前に戻ろっか。取り敢えず一月は暮らせるくらいの部屋は作ってあるからさ」
















「んみゃぁぁん……?」

一夏が目を覚まし、くしくしと目をこする。

一夏が辺りを見回すと、車両の内装が変わっていて、車窓の陽も落ちかけていた。

「にゃー」

「お前が寝ている間に乗り換えがあった。荷物は五反田が、お前は私が運んだ」

一夏を授乳するように抱いていた箒が状況を説明する。

「みゃぉん♪」

箒が顎をくすぐると、その手に頬擦りする。

二本の尻尾の付け根辺りを触られると、ふっと力が抜けた。

「んみゃっ……みゃぁ……」

箒にしがみついて、体をぷるぷるさせる一夏。

「やめんかっ!」

カキィーン! と箒の頭にハリセンが飛んだ。

「何をする五反田」

「川内先生が見かねて俺にこれを渡したんだよ」

川内というのは例の老教員だ。

「気功強化までする必要ないだろう」

「そうでもしないと箒ちゃんに効かないだろ」

「んゅぅぅぅ………けんかしちゃめー」

「「お、おう」」

一夏があくびをして、そのまま眠り始めた。

「たしかに幼児退行してるな」

「可愛いだろう?」

「ん、まぁ」










京都の旅館に着いたのは、もう夜だった。

「みゃぅ………」

「一夏、後で自分でパレードかけ直せよ?」

「みゃー…」

弾の手を握って、眠そうに返事をする一夏。

「箒ちゃん、そのパレードってどれくらい持つ?」

弾は自分のエナメルバッグと一夏のキャリーバッグを持っている。

「私が意識し続けている限りは…。まぁ、もうじき目を覚ますだろうさ」


箒の言った通り部屋に荷物を置いた時点で一夏の意識ははっきりとしていた。

「うーん……朝に橙を憑けてから記憶が…」

「ずっと寝てたからな」

取られた部屋は大部屋で、男子十人が一まとめになっている。

「この後は夕食、その後入浴だ。取り敢えず風呂の準備しといた方がいいぞ」

弾が他の男子に指示を出す。

うぃーっす、と軽い返事をしながら各々着替えを取り出す。

「に"ゃあ"っ!?」

とキャリーバッグを開けた一夏が鳴いた。

「どうした一夏」

どうしたどうした、と他の面子が集まる。

「箒にバッグすり替えられた!」

一夏のバッグに入っていたのは薄手のベビードールだった。

一夏が端末を出して箒のナンバーにコール。

「おいテメェどういうつもりだ!?」

『どうもこうも、お前の荷物に色気が無かったからな』

「色気なんざ要るか!」

『はぁ…。嫌なら五反田の服を借りろ。お前の荷物はトレイターの中だ』

「なんでわざわざあんな物を西サハ……お前覚えとけよ」


夕食の席に向かう途中、一夏は箒の後ろ姿を捉えた。

「どおおおうわりゃあぁぁぁぁぁッッッ!!」

どたどたどたどた!と廊下を走る一夏。

天井近くまで飛び上がり、箒に飛び蹴りをかました。

「げっふぁぁッッ!?」

二メートルほど飛ばされた後、箒が立ち上がった。

「ISの武装より痛かったぞ」

「ったりめーだバァーカ!」

二人の様子に弾以外がドン引きしていた。

軽いとは言え人間の飛び蹴りだ。

それを真後ろから受ければ、骨折してもおかしくない。

それを平然とやる一夏と平気な箒。

「おい人外ども、メシ前に暴れるな」

今は一人しかストッパーが居ないので、弾がだるそうに止める。

二人は大人しく弾の後ろをついていく。

「はぁ…なんで龍のじゃれあいを俺が止めなきゃいけないんだよ」

「五反田とてその尺度ならばミズチだろうに」

「おれは龍じゃなくて鬼だぞ」

広間での食事は自由席だった。

当然のように弾と箒が一夏の両隣を固める。

「うゅ?」

「お前は危なっかしい。現にパレードかけ直すの忘れているしな」

「ゅ、すまん」

三人の目の前では一人前の鍋で出汁がグツグツと煮えている。

周りには具材、〆用のうどん、刺身、天婦羅などがある。

「豪勢だな」

と一夏。

「人数少ないからな…。こういう所にリソース振ってるんじゃねぇの?」

「一人用の鍋は初めて食べるな。私の家で宴会するときはカセットコンロだものな…」

「あー、夏祭りの後にやるやつね…。組長が呑めないのに若頭が蟒で面白かったな。姐さんが蟒だったからそっちの血かな」

「おいおい…あんまりそういう話するなよ一夏」

「そーだな」

一夏が鍋に具材を放り込む。

「魔法でちょいちょいってやってもいいんだけど、風情がないからねー」

刺身に醤油をつけて、口へ。

「ん、おいひぃ」

と言いながら見えない尻尾をくねくねと揺らしていた。

「ん? お前ワサビだめだったっけ?」

「前世から嫌いだったけど、最近更にダメになった。食ったら鼻が死ぬ」

「私も最近ワサビが食べられなくなったな」

「俺達を倒したくばシュールストレミングでも持ってくる事だな」

「自爆テロじゃねーか」

刺身をもきゅもきゅしている一夏に突っ込む弾。

「そろそろ煮えたんじゃないか?」

「んゅ」

取り皿に具を取る一夏。

「……………………………………よし」

「何がよしだ、おい徐に豆腐を取るな俺に差し出すな食わねぇよ、おい待て待てったらアッヅッッッ!?」

「ぷくくく……」

「災難だな、五反田」

「はふっ…はふっ…んく……この野郎」

弾が自分の鍋からネギを取って一夏の口にねじ込んだ。

「うん。うみゃい」

「テメェ魔法使ったな!? ずりーぞ!?」

「ネギをお返ししよう」

一夏がネギを弾の口に入れる。

弾も大人しく口を開けた。

一夏が少しだけ箸に力を入れた。

ニュルッ! とネギの内側が弾の喉に飛んだ。

「ごはぁっ!?」

と喉を抑える弾。

「勝った」

「食べ物で遊ぶな馬鹿」

箒にコツンと小突かれ、一夏はふざけるのをやめた。
 
 

 
後書き
鍋のネギがニュルッてしたら熱いよね…。 
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