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おっちょこちょいのかよちゃん

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3 異世界からの刺客

 
前書き
《前回》
 かよ子は下校中に地震のような揺れを感じた。しかし、地震とはないと聞き、さらにその翌日、杉山に大野と共に謎の道路の爆発に巻き込まれる。その後、かよ子は母親から貰った謎の杖と本を貰う。杖の説明書であるその本は意味不明な文字ではあるが、かよ子はその文字を読めた!! 

 
 かよ子は翌日、ランドセルに昨日母親から貰った杖と本を忍ばせた。かよ子はその杖が不思議な力を呼び起こせる事も分かった。その為の条件とはあるものを杖で指す事で、その指した対象から能力を得るのだ。
(兎に角、もしあの人がこの事件の犯人なのなら、やってみるしかないよね・・・!!)
 かよ子は昨日の道路の爆発の際に逃げる時、一人の人間が立っている姿を目撃している。もしその人物が犯人なのならその人物と対峙しなければならないと考えていた。

 かよ子は学校に着いた。クラスは昨日の事件で騒然としていた。体育館での朝礼においても校長はその話を取り扱っていた。いつもは長すぎると退屈にしている児童もこの日ばかりは息を呑んで聞いていた。
「え~、この先何があるかわかりません。私達先生方も児童の皆さんが常に無事である事を祈り続けます」
 15分にも及ぶ校長の話は終わった。教室から戻る途中、かよ子は大野と深刻そうに話す杉山の顔を見た。
(杉山君・・・。もし昨日のような事に巻き込まれたらやだな・・・。あの杖で何とか助けたい・・・!!)
 かよ子は自分の手で杉山を守る事ができたらいいのにと考えていた。
 休み時間、かよ子は窓から外を眺めていた。心を落ち着かそうと少し深呼吸をした。
(私、おっちょこちょいだからお母さんから貰ったあの杖も心を落ち着かせないと使いこなせないよね・・・)
 その時、かよ子は遠くから昨日見たものと同じ人影を確認した。
(あれは確か・・・!!)
 かよ子は感じた。まさかあの人物が犯人なのではないかと・・・。

「見つけたわよ。倒すべき敵・・・」
 女性は昨日「兄さん」と呼んだ男性から標的である「手強いもの」を確認した。
「まさかあの子供とはね・・・」

 かよ子はその後、昨日から見たその女性が気になった。まさかその人物が杉山を襲うなんて事があり得るのか。ただ、昨日の道路の爆発は無差別な襲撃だ。あってもおかしくないだろう。
 昼休みとなった。かよ子は長山に昨日の道路の爆発や一昨日の地震について聞いてみた。
「う~ん、あの揺れが地震じゃなかったらあれかな?隕石が衝突したとか・・・。それに道路の爆発はよくわからないけど、自然に起きるなんておかしいから、やっぱり誰かの仕業かな?」
「そっか・・・。ありがとう」
 その時だった。外の風が強くなり、外で遊んでいた一部の児童が吹き飛ばされた。かよ子達がいた教室にも開いている窓から風が吹き込んでいた。
(こ、これ、何・・・!?もしかして・・・!!)
 かよ子は風で捲れるスカートを抑えながら深呼吸した。そして自分のロッカーに閉まったランドセルから杖を取り出し、教室を出て校庭へと向かった。校庭へ出ると強風で木の枝が何本かへし折られて散らばり、児童達は震えている者もいれば、風に耐えようとしている者もいた。その場には昨日と先程、二度見た人影の女性がいた。
「ついに出てきたわね」
「だ、誰なの!?」
「私はアンナ。この世から追放された者よ」
「この世から追放された者!?」
「そうよ。これからこの日本が弛んでるから変えてくれって言われてね、もっといい国にするのよ」
「ならどうしてこんな危害を加える事するの!?」
「そうしないとわからないからって言われたのよ!」
「誰に!?」
 アンナはかよ子の質問に答えず、風を呼び起こした。かよ子もその風に吹き飛ばされて校舎の壁に背中をぶつけた。
「倒すべき敵にしては容易そうね。んじゃ、丸焼きにしてあげるわ!」
 アンナはマッチを取り出して点火した。その火が火炎放射のようにかよ子に襲いかかる。かよ子は死ぬかと思った。しかし、母から貰った杖の使い方の本の内容の一部を思い出した。

 【杖は炎を対象に向けると炎の操る能力を得られる。】

 あの説明書にそんな記述があった事をかよ子は思い出した。
(なら・・・)
 かよ子は杖を襲いかかる炎に向けた。炎はかよ子の体を包んだ。
「あっけなかったわね・・・」
 アンナはこれでかよ子は焼死したと思った。だが、その時、炎が今度はアンナの方に向かって還ってきた。
「え!?」
 アンナは慌てて逃げようとした。だが、逃げ切れない。アンナは火傷を負いそうになる。その時、彼女の上から大きな水が降りかかった。
「アンナ、見くびりすぎだよ」
 別の男性が現れた。アンナが「兄さん」と呼んだ男性であった。
「兄さん」
「態勢を立て直すぞ」
 二人は去ろうとした。
「待って!!」
 かよ子は呼び止めた。男性が答えた。
「君が俺達の倒すべき敵か。俺はアレクサンドル。この国に革命を起こすために来たのだよ」
「だからってこんな事・・・!!」
「決戦は明日の夜だ。その時に俺と妹のアンナでお前を倒す。じゃあな」
 アレクサンドルと名乗った男性はアンナと共にどこかへ消え去った。
「アレクサンドルとアンナ・・・。この国に革命って・・・?」
 かよ子は二人が何者か、革命を起こすとはどういう意味なのか全く分からなかった。だが、明日の夜、かよ子はあの二人と決戦をする。これは逃げられない戦いだと思った。
「山田あ!」
 杉山がかよ子に呼び掛けた。
「す、杉山君!?」
「お前すげえぜ!あんな奴と戦ったなんてよ!かっこよかったぜ!!」
「う、うん、ありがとう・・・!!」
「その杖、魔法の杖か?」
 杉山はかよ子が持っている杖を見て気になった。
「あ、昨日お母さんから貰ったんだ・・・。困った事があったらこれを使いなさいって」
「そうか、お前にとって役に立ちそうだな!」
「うん!」
「だがよ」
 大野が話に入って来た。
「あいつらは明日の夜にお前と決戦をするらしいな」
「うん、そうだね・・・」
「そうだ、山田、お前一人で不安じゃないのか?」
「え?うん、確かに、私、おっちょこちょいだし・・・」
「何かあったら俺達も手伝ってやるよ。大野、できるか?」
 杉山は親友にかよ子の援護ができるか尋ねた。
「ああ、やってやるよ!」
「ありがとう、杉山君、大野君!!」
 かよ子は頼れる男子達に礼をした。
(決戦は明日の夜・・・。向こうも万全の準備をしてくるはず・・・。私も備えないと!!)
 かよ子は覚悟を決めていた。昼休みは終わり、児童たちは皆それぞれのクラスの教室へと戻っていくのであった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「決戦の時は訪れた」

 弛んだ日本を治す為に異世界から来たというアレクサンドルとアンナとの戦いに備えるかよ子、杉山、大野。そして翌日の夜、かよ子の家は決闘場となる・・・。 
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