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戦国異伝供書

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第四十一話 人と城その五

「長尾家がそうしてきても信濃はな」
「確かに治められますな」
「甲斐と同じ様にじゃ」
「しかと治めて」
「そしてじゃ」
 その様にしてというのだ。
「豊かにするぞ」
「そのことは絶対ですな」
「左様じゃ、しかも信濃はよいものがある」
「甲斐もそうですが」
「名馬の産地でもあるな」
「馬を揃えて」
「兵糧や武具の持ち運びに使ってじゃ」
 荷車を曳かせてというのだ。
「そうしてじゃ」
「そのうえで」
「騎馬隊もじゃ」
「今以上にですな」
「よいものにしたい、槍や弓矢を持つ足軽達にな」
 さらにというのだ。
「騎馬隊も揃えてじゃ」
「より強い軍勢にしますな」
「そして騎馬隊のことじゃ」
 その彼等のことをというのだ。
「天下に喧伝するのじゃ」
「何とでしょうか」
「無敵であるとな」
 確かな笑みでだ、晴信は山本に話した。
「天下に敵なしのな」
「恐ろしいまでに強い軍勢であると」
「その様にじゃ」
 まさにというのだ。
「天下に喧伝してじゃ」
「そうしてですな」
「戦う前にじゃ」
「他の者達が恐れる様にして」
「勝つ」
 まさに戦わずしてというのだ。
「その様にじゃ」
「なる様にしていきますか」
「うむ」
 まさにというのだ。
「そしてじゃ」
「敵が降る」
「こちらが攻めると言った時点でな」
「そうもしていきますか」
「無論鍛えに鍛えてじゃ」
 その騎馬隊をというのだ。
「実際に強くするがな」
「それと共にですな」
「そうしたことを喧伝してな」
「周りを怯えさせますか」
「そうじゃ、わかったな」
「それでは」
 山本は晴信のその言葉にも応えた。
「その様に」
「そういうことでな、それではな」
「小笠原家に対して」
「兵を進めていくぞ」
 こう言ってだった、晴信は次の戦の用意もさせていった。甲斐を拠点として小笠原家との戦の用意を進め。
 その準備の中でだ、彼はさらに言った。
「小笠原家のことは調べておるな」
「はい」
 幸隆が応えてきた、彼は早速武田家の重臣の一人になっていてその席から言うのだった。
「既に」
「隅から隅までじゃな」
「居城の縄張りすら」
 そこまでというのだ。
「調べてきました」
「そうか、既にか」
「我等は忍です」
 それでとだ、また言った幸隆だった。 
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