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星河の覇皇

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第七十部第五章 無政府主義者その二十八

「そうしたこともしてくるからな」
「エウロパとの取引も」
「やはり普通で、ですね」
「このことは想定の範囲内ですか」
「領事にとっても」
「実にな、しかしこの報告は君達の手柄だ」
 想定の範囲内の話してもというのだ、マウリアという国を知っている者ならばだ。
「だからボーナスは出る」
「それで家族にサービスをしろ」
「そういうことですね」
「カジノには寄らずにな」
 マウリア政府が経営しているだ、実際にこのカジノでマウリアは他国の観光客達からかなり巻き上げてもいる。
「そうしてもらいたい」
「はい、わかりました」
「家族サービスに徹します」
「その様に」
「よくやってくれた」
 領事は部下達に微笑んでこうも言った。
「マウリアの情報は常にだ」
「仕入れることですね」
「何かと」
「それも狙って」
「外交官は軍服を着ない」
 つまり完全な文官だというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「スパイでもある」
「それ故にですね」
「情報収集に務めることだ」
 スパイだからこそというのだ。
「いいな」
「わかっています」
「マウリアとエウロパですね」
「この両国のことを」
「これからも」
「そうしてもらう、あとだ」
 領事はこんなことも言った。
「私は今はここでサハラの両国の動きも見ているが」
「オムダーマンとティムール」
「両国のですね」
「マウリアにおける彼等の動き」
「それを」
「それを見ているが静かだ」
 マウリアにおける両国の動きはというのだ。
「アッディーン大統領、シャイターン主席は既に帰国しているがな」
「連合本国ではすぐにでも戰爭になるという話もあるそうですが」
「この国においてはですか」
「両国に動きは穏やかですか」
「今は」
「戦争になるのはまだ先か」
 領事はその目を鋭くさせて述べた。
「私も戦争になるのは近いかも知れないと思っていたが」
「戦争が近い国の動きは独特ですから」
「外交官達の動きも変わります」
「意識せずともです」
「変わりますね」
 彼等はこのマウリアでサハラ各国の外交官達の動きを見ていた、戦争がはじまる前になるとその国の外交官達の動きがこれまでと変わるというのだ。
「急に秘密主義になったりです」
「やけに陰で動きだしたりします」
「動きが変に静かになったり」
「これまでとは変わりますね」
「それがない」
 マウリアにいるオムダーマン、ティムールの外交官達にはというのだ。
「一切な」
「だからですね」
「暫く両国で戦争はない」
「そうですか」
「どうやら互いに連合で学んだことをサハラで活かす下地を作りだ」
 統一した後のことを見据えてだ。
「そして戦争を準備をしてだ」
「そのうえで、ですね」
「開戦ですか」
「そうする様だからな」 
 だからだというのだ。 
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