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星河の覇皇

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第七十部第五章 無政府主義者その二十一

「農耕地なり工場かも知れないがな」
「そうしたものですね」
「やはり対外政策ではないですね」
「あくまで彼等の中の政策ですね」
「内政の前段階と言えますね」
「そうなるだろう」
 クリシュナータは官僚達に再び話した。
「この件はな、元々エウロパは敵視しているが」
「それでもですね」
「基本他国に何かする国ではないですね」
「我が国やサハラには」
「エウロパにも備えはしますが」
「あの国はまず国内だからな、内政にだ」 
 さらにだ、クリシュナータは述べた。
「そしてだ」
「はい、内部抗争ですね」
「むしろそちらに忙しいですね」
「各政府が互いに外交をし衝突を繰り返す」
「そうした国ですから」
「あの国はほぼ完全に一つの世界だ」
 彼等の中でだけというのだ。
「経済圏としてもそうであるしな」
「それだけに連合内での抗争が激しく」
「他国に向ける関心もエネルギーも乏しい」
「そしてこれからはさらにですね」
「それが激化していきますか」
「そうなる、彼等はだ」
 まさにというのだ。
「余計に我々に目を向けなくなるからだ」
「その分エウロパを助けることも出来ますね」
「そして連合に対する力をつけてもらう」
「それが可能ですね」
「そうだ、しかしエウロパはだ」
 ここでだ、クリシュナータは難しい顔になった。そして官僚達に対してこうしたことを言ったのだった。その言ったことはというと。
「人口が少ないな」
「領土も狭いですし」
「その二つがネックですね」
「何といっても」
「そうだ、元々人口が少なかった」
 これはローマ帝国が崩壊しキリスト教世界になってからだ、ローマ帝国は漢帝国と同じだけの人口を持っていた。ただし中近東やエジプト、アフリカの地中海沿岸部といった豊かな地域の方が欧州の領土より人口は多かった。
「二十世紀で五億だった」
「ロシアを抜けばですね」
「ヨーロッパ連合だけでは、でしたね」
「五億でした」
「対する太平洋は三十億はいました」
 ざっと見積もって六倍だ、この環太平洋圏が今の連合の重要な母体だ。ここに中南米とブラックアフリカが加わり連合となったのだ。
「元々人口が少なくです」
「ブラウベルグが欧州大陸自体を宇宙船の様にして今の領土に移住しましたが」
「その時も五億でしたし」
「当時の連合は百億はいました」
 月等に進出しそれだけの人口を擁することが可能になっていたのだ。
「その百億から四兆になりました」
「しかしエウロパは千億です」
 五億からそうなったのだ。
「人口増加は二百倍」
「連合は四百倍でした」
「エウロパは元々人口が少なかったうえにだ」
 しかもとだ、クリシュナータはさらに指摘した。
「開発、開拓技術が未熟でだ」
「今のエウロパ領で養える人口は千億が限度」
「それ以上は無理なので人口抑制政策を執りました」
「この政策はエウロパが生きるには仕方なかったですが」
「結果として連合に遅れを取る原因になりましたね」
「その通りだ、連合はどれだけ増やしてもいい」
 連合の条件についてもだ、クリシュナータは言及した。 
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