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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第49話 やってきましたグルメタウン、美食人間国宝節乃登場!

 
前書き
 新しい時代『令和』の初投稿です。これからもよろしくお願いいたします。 

 
side:??


 イッセー達がいるグルメ世界、そこにある森が存在している。それは鋭利な植物が至る所に生え、何者の侵入を阻むその森は『悲哀の森ソーンウッド』と呼ばれていた。

 そんな森の一か所に大きな城が存在していた。辺り一面がまるで針地獄のような光景の中堂々と存在感を露わにしていた。ここは美食會の本部である。


「……」


 城の中に一人の男がいた。青黒い衣装と長いコック棒を被った男は近くにあった豚の頭のような入れ物から何かの液体を小皿へと注いだ。
 そして野菜のような食材を手にすると虫の背中を使って野菜を摩り下ろしていく。それを薬味のように液体の中に入れこんがりと焼き上がった昆虫の盛り合わせから一体虫を手にすると、自身が作ったタレに虫を付けて食し最後にワインを飲んで一息ついた。


「……ふう、まだ全員揃わんのか?」


 男は辺りをジロリと見渡すとため息を吐いた。彼の眼前には何人もの異形な存在達がそれぞれ思い思いのままに食事をしている。
 男の名はクロマド、美食會の料理長を務めている。


「ワシを前にしてこの集まりの悪さ、お前らの神経の太巻き具合には頼もしさすら感じるわ。あと誰が来とらんか、ユーよ?」
「残りはグリンパーチ様とトミーロッド様……そして第1支部長のエルグですね」
「トミーはともかくグリンの奴め、前も遅刻したにも関わらず今回もか」


 皮肉を言うクロマドに顔立ちの整った男性があと何人来ていないか話す。男の名はユーといい美食會第2支部長を務めている。


「カカカ。副料理長は毎回出席が悪いからなぁ、遅れないのはヴァーリ様だけだ」


 バナナのような食材を齧りながらタンクトップを着た薄緑髪の男が愉快そうに笑った。彼の名はジェリーボーイ、ユーと同じく支部長の一人だ。
 この場にいる者たちは全員が支部長かそれ以上の階級を持ったものばかりであり、今回は定期的に行われる会議の為にここに集まっていたのだ。


「副料理長は前みたいに1人に戻したらどーですか、料理長」
「ワシの身にもなれ。一人ではボスへの調理が追い付かなくなる、だから副料理長を3人にしたわけだ。のう、ヴァーリよ?」


 クロマドは自身の遠く離れた席に座る黒い仮面を被った銀髪の男……ヴァーリに声をかけた。彼は何も食しておらず腕を組んで静観していた。


「……リーガルマンモス捕獲失敗の件は俺の責任です。今回の議題はそれでしょう、料理長?」
「ヴ……ヴァーリ様!それはGTロボの性能のせいでございます!ヴァーリ様の実力を十分に再現できなかったGTロボが……!」


 ヴァーリの背後にいたジョージョーがGTロボのせいだと発言した。実際にGTロボはヴァーリの実力を100%再現出来ておらずもし出来ていればイッセーは間違いなく死んでいた。


「本当だよねジョージョ~。もっと性能上げてくんねーとさ~ノリノリで仕事できねーしこっちはよ~」


 そこに全身を包帯で巻いた男が話に入ってくる。男の名はセドルで前回のリーガルマンモス捕獲作戦にてサニーと戦ったGTロボの操縦者だ。
 彼が包帯を巻いているのは衣装ではなく、前回の作戦失敗の責任を取らされて半殺しにされたからだ。


「いや……セドル様はもともと性能をフルに使いこなせていなかったはずでは……」
「うるせーし!だからもっと強いロボを作れっての!」


 ジョージョーに怒鳴るセドル、そんな彼を見ていた隣の巻貝のような仮面を被った人物がため息をついた。彼の名はボギーウッズ、支部長の一人だ。


「フン……肝心の『食料調達チーム』がそのザマでは話にならんな。オレたち第5支部『仕込みチーム』が手を貸そうかセドル?」
「あ―――?のぼせてんじゃーぞボギー。オイラぁ今回の罰でボコボコにされて気がたってんだ、言葉を選びな」
「お前らがしっかりと仕事をしてくれねえとこっちはヒマなもんでね」
「あー?てめーらの仕事なんざ誰でも出来る皮むき程度じゃねーか!このヤドカリ萌えが!!」
「お前あんまり仕込みをナメんなよ、この目玉フェチが!」
「いいだろスゲぇ良くね?目玉!!」
「知らねーよお前の悪趣味なんざ」


 会議の最中に喧嘩を始めるセドルとボギーウッズ、クロマドは内心呆れながらも場を収めようと声を上げようとした。
 だがその瞬間テーブルに置かれていた料理を乗せた皿が突然数メートルは浮き上がった。それはヴァーリが数センチ上げた拳をテーブルに叩きつけたことで起きた現象だった。


「性能の問題ではない、この俺がイッセーの実力を図ろうとしたことがそもそもの原因……」


 その時だった。凄まじい空気の流れと共に料理が皿ごと消えてしまった、そして奥からグリンパーチが現れてヴァーリに声をかける。


「ヒッヒッヒ。イッセーを試してみたいと思っちまうその気持ち……スゲー分かるぜ、ヴァーリ」
「グリンパーチ様!?」


 グリンパーチの登場にジョージョーが驚きの声を上げた。


「イッセーはいずれグルメ界に進出する器を持っている。壁を乗り越えたときの成長幅も相当なものだがその壁の数もかなりあるぜありゃ。ヘタをすりゃボスに匹敵するくらいかもな」
「お前にそこまで言わせるかグリン……ん?そもそもお前、いつイッセーとやりあった?そんな報告は聞いておらんぞ」
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「きさま……まあいい。早く座れ!」


 グリンパーチは「はいは~い」と言いながら席に着く、そしてクロマドは今回の議題について話し出した。


「今回のリーガルマンモスの捕獲失敗は我々にとって大きな痛手となった。宝石の肉は我々の細胞の壁を超える事ができる食材のひとつだったからな」


 グルメ細胞に適合した者はある程度細胞が成長すると壁に必ずぶつかる。それが成長の限界であるが同時に通過点でもあり、これを超える事によって細胞は進化するのだ。
 前にイッセーが宝石の肉を食べて細胞が進化したのがその例だ。細胞の壁は複数あることもありそれはその人物の潜在能力を示している、そしてその壁を超える食材は個人によって違うというわけだ。


「細胞が進化するということはそれだけ強くなれるという事……すなわちいずれGODが現れるであろうグルメ界に入ることができる者が増えるということだ」


 美食會の最終目標はGODを手に入れる事、GODがいずれ現れるグルメ界に入ることができる人物を多く用意するために美味いグルメ食材を狙っているのだ。


「ボスが世界中の食材を牛耳るのもそう遠くない、GODを手にするという事はそういうことだ……探せ!最高のグルメ食材を……!!壁を乗り越えるための食材は決して一つだけではない……!!打ち破ることができる食材を手に入れるんだ!!」


 クロマドは拳を握りあげそう叫んだ。するとユーがスッと手を上げ発言していいか確認をする。


「料理長。さしあたり気になる食材がございます」
「むっ……答えてみろユー」


 発言していいと許可を得たユーは静かに話し出した。


「はい、私が提案するその食材とは……氷の大陸に溶けだした『スープ』でございます」




――――――――――

――――――

―――


side:小猫


 こんにちは、小猫です。私達は一龍さんが手配してくれたヘリに乗って近くの町に降り立ちました、そこから電車に乗ってグルメタウンを目指しています。

 ですが今回テリーはこれませんでした。流石にイッセー先輩でも町中に猛獣を連れ込むのは許可が下りなかったそうです。一龍さんが責任をもってオブサウルス共々面倒を見ておくと言ったので安心ではありますがお土産を沢山買っていってあげないといけませんね。

 それにしても凄い人の数ですね、先輩の話ではここグルメタウン中央ステーションは一日の平均利用者が2500万人以上という凄い場所みたいですが実際に来てみるととんでもない人の数ですね。


「皆、大丈夫か?こっちだ」


 この人だかりでも一段と目立つイッセー先輩を追って私達は人の波を乗り越えました。そして私達が目にしたものは素晴らしい光景でした。


「わぁ…!ここが満腹都市『グルメタウン』なんですね……!」


 日本の東京やアメリカのニューヨークすら霞むような大都会がわたし達の目の前に広がっていました。


「凄い広さだね。流石はグルメ界でも一番の大都会と言われるだけのことはあるよ」
「私、今すっごくワクワクしているわ!早くいきましょう!」


 祐斗先輩は目の前に広がる大都会に驚きの表情を浮かべ、部長は目をキラキラと輝かせて早く行きたいと言っていました。
 部長は旅行が好きだそうです。部長が2年生の時に行った修学旅行の時もお土産をいっぱい買ってきましたから。


「そう慌てるなって。皆、親父から貰ったグルメIDカードは持っているか?」
「ええ、これですわね」


 朱乃先輩が取り出したのは一龍さんが用意してくれたグルメIDカードです。確かこの世界における身分証明書のようなものでしたね、これがないとグルメタウンに入るとき入場料を取られるようです。
 
 イリナさんとゼノヴィアさんはカードを用意できなかったそうなので今回はイッセー先輩が払うそうです。それを聞いたイリアさんはイッセー先輩に「ありがとうイッセー君!だーい好き!」とキスをしやがりました。 
 
 ゼノヴィアさんは申し訳なさそうにしていましたが、イッセー先輩が仲間外れ何てしたら気分が悪いと言って説得すると「ありがとう」と嬉しそうに笑みを浮かべてお礼を言いました。普段の凛としたゼノヴィアさんとは違う雰囲気で正直可愛いなって思いました。


「イッセーさん、あのフォークやナイフのような建物はなんですか?」


 アーシアさんはグルメタウンの奥にあるフォークやナイフのような建物が気になるようでイッセー先輩に質問をしていました。


「あれは『グルメタワー』さ。この世界でもトップクラスの料理が味わえる場所で上階の店は一見さんお断りの超高級料理店ばかり……一般人はまず一生入ることはないだろうな」
「もしかして今回イッセー君が目当てにしているのってあのグルメタワーにあるのかい?」
「いや今回はあそこには用はないよ」
「そんな…残念だわ……」


 祐斗先輩はグルメタワーに行くのかと先輩に聞きました、でも今回は違うようで先輩は首を横に振りました。それを聞いた部長は残念そうにしていましたね、私もちょっと期待しちゃったから気持ちは分かります。


「はっはァ―――――!ここがグルメタウンか!」


 あれ、どこかで聞いたような声が聞こえましたね……ってあれって確かゾンゲでしたっけ?なんでこんな所にいるんでしょうか?


「ぐっへっへ、都会ってのも久しぶりだな。なぁお前ら!」
「あれ?ゾンゲ様って確か初めて都会に来たんじゃ……」
「うるせぇ!RPGではよく来るんだよ!……ってんん?あいつらは……」


 あっ、目が合ってしまいました。


「ああっ!てめえはいつかのガキじゃねえか!」
「あれ?奇遇だな。確かレンゲだっけ?」
「ゾンゲだよゾンゲ!いい加減に覚えろよ!」


 案の定絡まれてしまった私達は軽く話をして町の入り口に来ていました。


「グルメIDをチェックします。IDカードを通し中へお入りください」


 町の入り口でIDカードの確認をして私達は町の中に入りました。入り口でゾンゲが騒いでいたのですがイッセー先輩が代わりに入場料を払ってあげていました。
 そこまでしなくてもいいと思ったのですが、あのお人よしな所が先輩の良さですもんね。まああんなところで騒がれたら迷惑です。ゾンゲは気分を良くしたのか今度イッセー先輩にフルコースをご馳走してやると言って去っていきました。


「あっ自販機があるわ。ねえイッセー、何か飲まない?たまには私がおごるわ」
「いいですけど、それ三ツ星自販機ですよ?」
「えっ……って何この値段?10万円!?」


 部長がイッセー先輩におごってあげると言って自販機を見ます。でも値段が10万円もすることに驚いていました。


「このグルメタウンには星の数で高級な食材の使われた食べ物や飲み物も売られています。星が多いほど値段も張るって訳です」
「『水晶コーラ』に『レモモン』……イッセー君に教えてもらった高級な食材が使われていますのね」


 私達もイッセー先輩に食材について習っていますのである程度は分かります。でもこの世界で自販機を見たのって初めてかもしれませんね。私がそれについて先輩に聞くと先輩は丁寧に説明してくれました。


「自販機っていうのは治安が良くないと成立しないからな。この世界では盗賊や山賊もいるしここぐらいの警備システムがなければ危ないんだ」
「なるほど、治安が悪ければ食べ物や飲み物がタダで置いているようなものだからな」


 先輩の説明にゼノヴィアさんはなるほどと手を叩きました。


「星のついていない自販機なら安いですよ」
「10円!?それに量も凄いあるわ!?いくら何でも極端じゃないかしら?」
「ここはまだグルメタウンの入り口ですよ。さあ行きましょうか」


 私達は大きなジュースを飲んでから町を歩くことにしました。暫く歩いていると沢山の屋台がある場所に来ました。う~ん、香ばしい匂いがいっぱいしますね。


「わぁ!賑やかですね!」
「師匠!何か食べましょうよ!」
「そうだなぁ……おっ、『ゲロルド』のケバブがあんじゃん」


 アーシアさんとルフェイさんに腕を引っ張られていた先輩が何かを見つけたようです。


「おうおうイッセーじゃないか。どうだ、一皿盛ろうか?」
「じゃあ皆に一皿くれ。俺は……それ一本丸ごとくれないか?」


 イッセー先輩はゲロルドの肉の塊をそのまま購入してかぶりつきました。


「うんめぇ―――っ!ゲロルド最高!」
「イッセー君!私にも頂戴!」
「私も欲しいです!イッセー先輩!」
「こんな風に大胆な食べ方をしてみたかったんだ。もぐもぐ……うん、美味い!」


 私とイリナさん、ゼノヴィアさんもゲロルドの肉の塊にかぶりつきました。溢れるような肉汁が堪りませんね。


「ケバブをそんな食べ方している人、私初めて見たわ……」
「男らしくて素敵ですわ♡」


 ゲロルドの肉を綺麗に平らげた先輩は次に炭火焼きされているサンマに目を付けました。


「『ホネナシサンマ』じゃねえか!親父、20本くれ!」
「20本!?」


 イッセー先輩は私達にホネナシサンマを渡してくれました。ホネナシって事は骨がないんでしょうか?試しに頭からかぶりついてみます……んんっ!炭火で焼かれたサンマは風味も豊かでジュワっと脂がのっていて骨がないから頭から食べれちゃいます。


「とっても美味しいです!」
「でも肉に焼き魚で口の中が脂っぽくなっちゃったわね」
「ならそこにあるガリボックスで『味消し生姜』を出して食べたらいいですよ」


 部長がそう言うとイッセー先輩は近くにあった『GARI』と書かれた機械からお寿司についてるような生姜を私達にくれたので食べてみます。するとさっきまで脂っぽかった口の中が嘘のようにすっきりしました。


「味消し生姜は文字通り味を消してくれる生姜だ。このグルメタウンは様々な飲食店がアトラクションのように立ち並ぶ食の遊園地……いろんな味を楽しめるよう各地に無料で置かれているんだ」
「へぇ、これなら味に飽きたりしないし店同士も競い合えるんだね」
「そういう事だ……ん?ありゃ『しゃくれラーメン』の店だ!皆行こうぜ!」


 祐斗先輩はこの町のよく出来たシステムに感心していると、先輩が『シャクレノドン』で作ったラーメンのお店を発見したので私達はそこに向かうことにしました。


「へい、おまち!」


 これがしゃくれラーメンですか……私はまず最初にスープから頂いてみます。


「んっ……シャクレノドンの骨から取ったスープ……濃厚でありながらもすっきりとした喉ごしが美味しいです。麺もモチモチしていてスープに良く絡むしシャクレノドンの骨付き肉もトロッとしていて美味しいです」


 あっという間に一杯を間食した私はその後25杯もお代わりをしてしまいました。イッセー先輩は80杯、イリナさんやゼノヴィアさんは12杯、意外にも祐斗先輩や朱乃先輩、部長は3杯おかわりしていました。


「お会計をお願いします」
「682万円となります」
「カードで」
(三桁いったわね……)


 その後先輩はお店の人にサインをお願いされてその後私達はお寿司を食べに向かいました。


「はむっ……んん~!マグロイカにドラゴンエビ!大王タコにセイバーカジキ!新鮮な海の幸は堪りません!」
「美味いわ!こんな美味しいお寿司初めて食べたわ!」
「これがうわさに聞いたスシというものか!なんと美味いものなのだろう!」


 山のようにお皿を積んでいく私達、部長たちも結構食べて結局お会計で1732万円をイッセー先輩に払ってもらいました。


「まだまだ食えるだろう?次はハンバーグを食いに行こうぜ!」
『お―――――っ!!』


 その後私達は自分達が食べたいと思った物を思い浮かべ、それらを全部食べ歩きました。


「ふう―――――っ……食った食った」
「お腹いっぱいです……」


 今は町の休憩所で休息をとっています。


「それにしてもイッセー、あなたに払ってもらってばかりだけど本当にいいの?」
「そんなこと気にしないでくださいよ、リアスさん。これぐらいなんてことないですから」
「ありがとうイッセー……でも貴方がブラックカードを持っていたのには驚いたわね。やっぱり四天王なんて呼ばれるくらいのカリスマ美食屋だからお金持ちなの?」
「一回の依頼で億いく事もザラじゃないですからね。まあ昔はそんなに稼げなかったんですが……」


 イッセー先輩は現在はカリスマなんて呼ばれる凄腕の美食屋ですが、よく考えればまだ17歳なんですよね。そんな凄い人の彼女なんてすっごく自慢出来ちゃいます。
 でも玉の輿扱いされないでしょうか?将来家庭を持つならイッセー先輩に頼ってばかりいるのはマズイですね。私も何かいい職業を見つけないといけません。


「さてと、そろそろグルメデパートに行くとするか」
「えっ、デパートに何をしに行くの?」


 イッセー先輩の右腕にくっ付いていたイリナさんが、デパートに何をしに行くのと質問しました。


「決まっているだろ、正装するためにスーツを買いに行くんだよ。




―――――――――

――――――

―――


「小猫ちゃん、よく似合ってるじゃないか」
「あ、ありがとうございます……先輩もとっても素敵ですよ」


 グルメデパートに来た私達はそこでスーツやワンピース、ジャケットを購入して正装に着替えました。来ていた駒王学園の制服は魔法で異空間にしまいました。


「イッセー、どうして私達は正装したんだ?」
「俺がこの町に来たのはある人に会う為だったんだ。でもその人はこの世界でもトップクラスに有名な人だから失礼の無いように正装しておこうと思ってな」
「そ、そんな凄そうな人に会うの?なんだか緊張してきたわ……」


 ゼノヴィアさんの質問に、イッセー先輩は偉い人に会うからと言いました。既にIGO会長の一龍さんには会っていますがきっと彼と同じくらい偉いお方なんでしょう。


「しかし今日はやけに美食屋が多いな……」
「うん、それも腕が立つ人も結構多かったね。この町には美食屋が集まりやすいの?」
「そういう事もあるが今日は特に多い。何かあるのかもしれないな」


 今日はよく美食屋の方達を見かけましたが何かあるのでしょうか?


「キャ――――ッ!強盗よ―――――ッ!!」
「イッセー君!」
「何か起きたようだな」


 奥の方で覆面を被った数人の人物が、お店の商品をもって走っていました。あれは強盗でしょうか?


「グルメ強盗団か、警備システムがあってもこういう事する奴らは必ずいるからな……祐斗、イリナ、手を貸せ」
「分かったよ、イッセー君!」
「うん、任せて!」


 イッセー先輩は高速で動ける祐斗先輩とイリナさんに声をかけて強盗団を捕まえようとしました。でも強盗団は突然倒れてしまい動かなくなってしまいました。


「えっ……?」
「何が起きたんでしょうか……?」


 突然強盗団が倒れてしまった状況に、私達は困惑してしまいました。


「や~れやれ。まだまだ物騒な世の中じゃな~」


 するとそこにつまようじのような杖を持ったピンク色の髪の小さなお婆さんが現れました。


「あっ!節乃お婆ちゃん!」


 イッセー先輩はそのお婆さんを見つけるや否や駆け寄っていき、お婆さんの手を握りました。


「お~、イッセー。こんなにも大きくなってまー。久しぶりに顔を見れてうれしいじょ」
「俺もだよ、節乃お婆ちゃん!本当に久しぶりだな!」


 どうやらあのお婆さんがイッセー先輩が合いに行くと言っていた方らしいですね。


「イッセー、その人は知り合いなの?」
「ああそうだった、皆にも紹介するよ。この人は節乃さん、この世界で4人しかいない『美食人間国宝』の料理人だ!」


 び、美食人間国宝……?意味はよくわかりませんが国宝なんて呼ばれているってことは相当凄いお方なんでしょう。


「小猫ちゃん、今日は伝説のスープが飲めるぜ……!」


 私は節乃さんという方との出会いに心臓がバクバクしちゃうくらいに興奮していました……

 
 
 

 
後書き
 祐斗だよ。僕たちはイッセー君の知り合いである節乃さんに出会ったんだ。美食人間国宝ってどういう意味だろう?でも見た目は弱弱しいお婆さんだけどどうしてか時折一龍さんのようなプレッシャーを感じるんだ。彼女も間違いなく『強者』の一人だと思う。
 まあ今は伝説のスープに胸を躍らせて楽しもう、今もワクワクしているんだ。次回第50話『節乃食堂で実食、これが幻のセンチュリースープ!』で会おうね。 
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