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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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インターミッション~束の間の休日~

7月8日―――

~クラブハウス・プール~

「クク…………なかなか良い眺めじゃねえか。」

「ふう、あくまで授業中だぞ?」
プールで水着姿になったアッシュは女性陣の水着姿を見て口元に笑みを浮かべ、アッシュの言葉にクルトは呆れた表情で指摘し
「教官、ご指導お願いします♪」

「ミュ、ミュゼちゃん…………」

「って、なに更衣室に連れて行こうとしてんのよっ!」
ミュゼはリィンをどこかに連れていこうとし、ミュゼの行動を見たティータは冷や汗をかき、ユウナは呆れた表情でミュゼの行動を制止した。
「40アージュ、今度こそは…………」

「今気づいたけど、”泳ぐ”のはこれが生まれて初めてになるわね…………アルは忙しそうだし、レオノーラに泳ぎ方を習おうかしら…………?」
一方アルティナは真剣な表情でプールを見つめてある決意をし、ある事に気づいたゲルドはアルティナに視線を向けた後レオノーラに視線を向けた。
「やれやれ、平和だねぇ。」

「はは…………みんな生き生きしてるな。」

「ま、束の間の休日ってやつだな。」

「ふふっ、みんな勉強、すごく頑張ったみたいだし。」
ランディやリィン、ランドロスとトワは生徒達の様子を微笑ましそうに見守り
「クスクス、それにしても二人ともたった2年で身体が見違えるように成長したわね。二人の成長にはやっぱりリィンお兄さんも関わっているのかしら♪」

「…………あの。念の為に言っておきますが、私達の身体的特徴で成長した部分は胸だけではありませんから、わざとらしく胸を見ないで頂けますか?」

「フフッ、でもこの2年でわたくし達の一番成長した部分は旦那様が大好きな胸である事は否定できないわよ♪」
小悪魔な笑みを浮かべるレンに胸の部分を見つめられたエリゼは水着姿だからこそハッキリわかる豊満な胸の部分を両手で隠してジト目で反論し、その様子を見たアルフィンはからかいの表情で答えた。
「ふわ~~っ、改めて見るとセレーネ教官って、スタイルがまさに完璧な女性ですよね~~…………!一体何を食べたらそんなパーフェクトスタイルになるんですか!?」

「そう言えばセレーネ教官の姉君であられるルクセンベール卿の身体つきもセレーネ教官と互角に見えましたよね。教官達は私達”人間族”ではなく、”竜族”との事ですから、もしかしてそれが関係しているのでしょうか?」

「え、えっと………そう言われましても、気づいたらこうなっていたとしか言いようがないのですが…………」
興味津々の様子のサンディの問いかけや静かな表情で推測を口にしたヴァレリーの推測を聞いたセレーネは冷や汗をかいて苦笑しながら答えていた。


「うひょおぉぉぉ…………っ!予想はできていたけどセレーネ教官とリアンヌ分校長、スタイルが凄すぎるだろう!しかもアルフィン殿下やエリゼさんの水着姿まで拝めるなんて…………!く~っ、惜しむらくはセレーネ教官達の水着が肌の露出がイマイチな水練用である事と後はベルフェゴールさん達の水着姿も拝めたら、まさに天国(パラダイス)だったんだけどな~!」

「さすがにそれは高望みし過ぎだと思うよ…………?というか他の人達はともかく、ベルフェゴールさんは普段から遊泳用の水着姿のようなものだと思うんだけど…………」

「ハハ、水練用とはいえ”帝国の至宝”と名高く、エレボニア皇族であられたアルフィン殿下の水着姿を見る事が許される事だけでも光栄過ぎる出来事なのに、そこに加えてセレーネ教官達の水着姿まで見れるんだから、これ以上を望んだらその内罰が当たるぞ。」
興奮した様子でセレーネ達の水着姿を見回しているシドニーにカイリとスタークは苦笑しながら指摘した。
「―――貴方達。先程からマスターやアルフヘイム達ばかり見ていましたが、その様子ですとマスター達の水着姿に劣情を抱いているようですわね…………―――神聖な学び舎―――それもマスター直々が校長を務めている学び舎であるこの第Ⅱ分校でそのような劣情を抱く等言語道断ですわ!その腐った根性を叩き直す為に今から、”鉄機隊”流の水練を教えて差し上げますから、3人とも今すぐプールに入りなさい!」

「げっ、デュバリィ教官!?」

「さ、”3人とも”って事はまさか僕達もですか!?」

「ハハ…………早速”罰”が当たったみたいだね…………」

「フフ、”アレ”は私達でも相当キツイから程々にしてあげなさいよ。」

「まあ、あの様子では言っても無駄だと思うがな。」
そこに顔に青筋を立てたデュバリィが現れてシドニー達に指示をし、デュバリィの登場にシドニー達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中、その様子を見守っていたエンネアとアイネスは苦笑していた。
「エンネア教官~、もし上手く泳ぐ”コツ”みたいなものを知っていたら、教えてもらえませんか~?」

「そ、その…………これから水練の授業が増えるとの事ですから、これを機会に今の内に不得意である水練を指導して頂きたいんです…………!」

「フフ、そのくらいお安い御用よ。―――それじゃあ、あちらのコースを使わせてもらいましょうか。」

「アイネス教官!ちょうどいい機会だから、水練で勝負をしないかい!?」

「”現代の鉄騎隊”の一人であるアイネス教官の胸を借りさせてください!」

「フフ、”海の猟兵”と名高い”銀鯨”の一員であったレオノーラに領邦軍の中でも武闘派揃いであるノルティア領邦軍の指南役を務めている”シュライデン流”の継承者の一人であるゼシカが相手か。―――よかろう、相手にとって不足はない。その勝負、喜んで受けさせてもらおう。」
そしてルイゼやタチアナに話しかけられたエンネア、レオノーラとゼシカに話しかけられたアイネスはそれぞれ生徒達と和気藹々な様子で交流をしていた。
「やれやれ…………派遣されてまだ1週間だって言うのに、すっかり馴染んじまったな、鉄機隊の連中は。」

「ハハ、そうだな。」
かつては自分達にとっての”敵”であったデュバリィ達”鉄機隊”が生徒達と馴染んでいる様子をランディとリィンはそれぞれ苦笑しながら微笑ましく見守っていた。
「しかし授業と言うからには指導など最低限の体裁を…………」

「フフ、それよりもちょうどいい機会ですから水場ならではの真剣勝負をする方が互いの鍛錬になると思いますよ?」
一方ミハイル少佐の指摘を柳に風に流したリアンヌ分校長はある提案をし
「皆様、喉が乾いたらこちらで冷たいドリンクをどうぞ。」
一人だけいつもの執事服姿のセレスタンはプールサイドの端に置いたテーブルにドリンクを並べて待機していた。

試験明けの高揚のまま、リィンはⅦ組生徒やそれ以外の科の教え子たちと指導や勝負などで交流を深め…………最後はお約束のように、リアンヌがリィン、ランドロス、ランディ、ミハイル、デュバリィ、エンネア、アイエンスを勝負に巻き込み―――白熱の勝負が繰り広げられる中、濃密な特別授業は幕を閉じるのだった。


~夜・宿舎~

試験を終えたその日の夜、ユウナ達Ⅶ組の生徒達はティータと共にロビーにあるソファーに座って今日一日の出来事を振り返っていた。
「は~、テスト後にプールなんてさすがにクタクタっていうか…………」

「と言いつつ目一杯楽しんでたみたいですが。」
疲れた表情で溜息を吐いたユウナにアルティナは苦笑しながら指摘した。
「まあ、名勝負も見られたしいい授業だったと思うけどね。」

「うん、特にセレーネ教官は凄かったわ…………リアンヌ分校長と互角の勝負をしていたし。」

「あ、それはあたしも思ったわ。運動が苦手って訳じゃないけど、リィン教官やランディ先輩みたいに前衛特化型の人じゃない…………というか、どっちかというと後方からの支援や攻撃が得意な人に見えるのに、あの分校長と互角の勝負をしている所を見た時は驚いたわ…………」
クルトの言葉に続くように答えたゲルドの話を聞いたユウナはリアンヌ分校長達教官陣による勝負の際、セレーネがリアンヌ分校長と互角の勝負をしていた事を思い返し
「セレーネ教官は竜族―――それも水中や水上戦が専門である”水竜”との事ですから、セレーネ教官の泳ぎが早い事はそれ程おかしくはないかと。」

「あ…………そう言えばツーヤちゃんからも、ツーヤちゃん達”水竜”はみんな泳ぎが得意みたいなことを聞いたことがあります。」

「へー…………そうだったんだ。っていうか、セレーネ教官って”竜族”らしいけど、今でもあの穏やかで優しくて深窓のお嬢様みたいなセレーネ教官が物語とかで出てくる”竜”にはとても見えないわよね~。」
アルティナとティータの説明を聞くと目を丸くした後セレーネの顔を思い浮かべて苦笑し
(あの様子ではセレーネ教官の”竜化”を見れば、間違いなくわたし達の予想通りの反応をするでしょうね。)

(アハハ…………そもそも、セレーネちゃんがそこまでする程の相手が現れない方がいいんだけどね…………)
セレーネやツーヤ、そしてミントの”竜化”を見た事があるアルティナとティータはそれぞれ冷や汗をかいた後セレーネ達の竜化を見たユウナの反応について小声で会話をしていた。


「つーか、何で俺まで付き合わされてんだっつーの。」

「もう、同じクラスなんだからたまには付き合いなさいっての。」

「ふふ、ティータさんとユウナさん合作のレアチーズケーキですし。」

「セレスタンさんが淹れてくれたアイスコーヒーとよく合います。」

「いや、大したものだと思う。店とかでも出せるんじゃないか?」

「えへへ、そっかな?けっこう簡単なんだけど。」

「冷蔵庫で冷やす作り方なので今の季節にもピッタリですよね。」
クルトの賛辞にユウナとティータはそれぞれ嬉しそうな表情を浮かべていた。


「しっかし、明日は自由行動日だけど来週末はまた特別演習なのよね。機甲兵教練は水曜日みたいだけど。」

「今までのパターンだと同じ日に演習地の発表があるのか。試験と重なったからかもしれねぇがさすがに急すぎねぇか?」

「そ、そうですね。準備する時間も必要ですし。」

「そう言えばクロスベルでの特別演習からフォートガードでの特別演習までの準備期間を考えると、今回の特別演習は少し早いわよね。」

「僕達が慣れたから、ハードルを上げた可能性もありそうだが…………」

「それでも2日というのはちょっと厳しいかもしれません。」

「まあ、そのあたりも水曜日のお楽しみでしょうね。テストの結果発表もありますし♪」
ユウナ達と次の特別演習について話し合っていたミュゼは話の空気を変える為にある事を笑顔で答え、それを聞いたユウナ達は冷や汗をかいた。
「言わないでってば~!結構ミスっちゃったし…………」

「あはは、順位の方はちょっとドキドキですね…………」

「まあ、終わった事だ。大人しく結果発表を待とう。」

「ハッ、さすがは優等生。余裕じゃねえか。」
落ち着いた様子でテストの結果を待っているクルトにアッシュは鼻を鳴らして意味ありげな笑みを浮かべてクルトに視線を向け
「そういうアッシュさんも意外と悪くなさそうですが。」

「うん、アッシュ、普段からどの授業もわりと余裕な様子だものね。」
アルティナのアッシュへの指摘にゲルドは頷いた。


「あーもう決めた!明日は好きな事しかしない!…………ってそうか。小要塞攻略もあるのよね。」

「ああ…………博士次第だろうが。実戦のカンを鈍らせない為にも確実に参加しておきたいな。」

「そうですね…………海上要塞では色々手ごたえもありましたし。」

「ふふ、ですから余計にちょっと悔しいんでしょうね。教官達のチームに参加できなかったというのが。」

「そ、それは…………」

「…………そうだな。実力差があったとはいえ。」

「…………ケッ…………」

「……………………」

「皆さん…………」
ミュゼの指摘にユウナとクルトはそれぞれ複雑そうな表情をし、アッシュは鼻を鳴らし、ゲルドは静かな表情で黙り込み、その様子をティータは心配そうな表情で見つめた後ある事を思い出した。
「そうだ、小要塞といえば!実はⅦ組の皆さんに相談したいことがあるんですが…………!」
そしてティータはある事をユウナ達に相談し始めた――――
 
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