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三箭

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第二章

「三人だな」
「はい、三人です」
「その三人が問題です」
「あの者達をどうするか」
「それが非常に厄介ですが」
「確かに厄介だ」
 薛もこのことは認めた。
「しかしな」
「しかしですね」
「それでもですか」
「都護にはお考えがあるのですか」
「そうなのですか」
「ある、では今からその考えを見せよう」
 こう周りに言ってだった、そのうえで。
 薛は弓矢を出した、そうして。
 それを両手に取ってきりきりと矢を引いてだった、そうしてからまずは敵の将軍の一人に矢を放った。
 すると矢は敵将の喉を貫いた、その敵将はもんどり打って後ろから崩れ落ち落馬したまま動かなくなった。
 その状況を見てだ、薛の周りの者達は驚いて言った。
「何と、あれだけ離れていたのに」
「見事に喉を貫いたぞ」
「凄いな」
「将軍は弓も得意だったのか」
「そうだったのか」
「いや、まだだ」
 薛は驚く周りと正反対にだった、極めて冷静に。
 再び矢をつがえた、そしてだった。
 二人目の敵将の胸を貫いた、そうしてその将も倒した。
「またか」
「二人目か」
「二人目の敵将も倒すとか」
「凄いぞ」
「今度の敵将もかなり離れていたのに」
「それでも胸を射抜くとは」
 薛の周りはまた驚いた、だが。
 やはり薛は冷静でだ、三度矢をつがえて。
 三人目の敵将の額を射抜いた、今度の敵将は動かなくなった。瞬く間に三人の名将を失った突厥軍は大混乱に陥っていた。
 それでだ、その状況を見てだった。薛は全軍に命じた。
「ではな」
「はい、これよりですね」
「全軍攻撃ですね」
「そうしますね」
「これより」
「三人の敵将が倒れた」
 それでというのだ。
「もうこれで敵の戦力はかなり落ちたな」
「将がいなくなった今は」
「それも三人もですね」
「それならばですね」
「もう敵ではありませんね」
「突厥の兵達も強いが」
 それでもというのだ。 
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