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八条学園騒動記

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第五百十一話 図書館で学ぶことその一

               図書館で学ぶこと
 洪童はナンシーにこう言った。
「今日のお昼休み学校の図書館に行くか」
「どの図書館?」
 八条学園は高等部だけでも幾つも図書館がある、各学科が持っている。それでナンシーはこう聞き返したのだ。
「一体」
「普通科の図書館だ」
「そこでデート?」
「彼女がいるのにデートに誘うか」
 洪童もそこは断った。
「絶対にな」
「あら、真面目ね」
「そこは好色一代男と違うからな」
「あれはもう浮気ってレベルじゃないわね」
「もう手当たり次第だ」
 そこまでだというのだ。
「だからな」
「そういうのじゃないのね」
「ああ、浮気はしない」
 絶対にという言葉だった。
「何があったもな」
「浮気はしないで器を求めるってことね」
「そうだ」
 それが洪童の考えだというのだ。
「俺が目指しているのはな」
「それで浮気はしないから」
「お前も誘わないからな」
 デートにはというのだ。
「絶対にな」
「じゃあクラスメイトとしてなのね」
「ああ、図書館に誘っているんだ」
 そうしているというのだ。
「普通科のな」
「そっちの斗旅館なのね」
「そこの三階に行かないか」
「三階に何かあるの」
「そこは古典のコーナーだ」
「ああ、好色一代男もあって」
「他にも古典があってだ」
 そしてというのだ。
「面白い本が多い」
「そうなのね」
「そうした本を読んでいるとな」
「色々勉強になるわね」
「人間のこともな、それで器も大きくなれると思ってな」
 洪童が目指す頂に達することが出来ると思ってというのだ。
「最近よく通っているが」
「今日のお昼休みもっていうのね」
「そう思ってだ」
 それでというのだ。
「行こうと考えているが」
「私もそこに誘って」
「いい本はないか聞きたい」
「古典でね」
「そこで聞きたい、いいか」
「いいけれど人間を学んで器を大きくしたいなら」
 洪童がそう考えているならというのだ。
「もうシェークスピアでしょ」
「その作家の作品か」
「もうね」
 それこそとだ、ナンシーはシェークスピアの作品についてさらに話した。
「人生、人間を書いた」
「そうした作品か」
「マクベスでもオセローでもね」
「渋い作品だな」
 シェークスピアの作品の中でとだ、洪童はタイトルから述べた。
「どちらも」
「ちょっと思い浮かべたのよ」
「それで話に出したんだな」
「この作品もだしハムレットも真夏の夜の夢もね」
 こういった作品達もというのだ。
「人生、人間を書いているわよ」
「それはな」
「あんたもわかってるわね」
「シェークスピアの作品は短いだろ」
「一作一作はね」
「だから一作読むにも時間がかからないからな」
「どんどん読んでいったのね」
「シェークスピアの作品もな」
 実際にそうしてきたというのだ。 
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