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NARUTO日向ネジ短篇

作者:風亜
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【日に影る邂逅】

 
前書き
 (説明が分かりにくくてすみません)原作側のナルトだけを見ているヒナタではなく、もしネジヒナ側の二部のネジとヒナタがアニボル(小説などを含む)側のヒナタとハナビと出逢ったらどうなるか、というifの話です。
アニメBORUTOの現状のヒナタとハナビに批判的な内容が含まれている為、苦手な方はご注意下さい。 

 
「──⋯ヒナタ、ヒナタ……目を覚ませ」

「ん……、ネジ兄、さん……?」

 地面にうつ伏せに倒れている所に、軽く肩を揺すぶられて意識を戻す。

「良かった……、気がついたか」

「あ、れ……私達は──」

「大戦の最中だった事は、覚えているか? 俺達は……ナルトに向けられた挿し木の術を協力して八卦空壁掌で一度は弾いたが、その直後にもピンポイントの素早い挿し木の術を使われ二度弾く間も無くナルトを背後に庇ったまま、俺達は同時に挿し木に上体を貫かれた……」

 身体を起こし、真剣な表情の従兄のネジの話を聴いて段々と意識がはっきりとしてくるヒナタ。

「そう……だったね。私達、死んじゃったのかも……。ネジ兄さんの額の呪印も、消えているし……」

 言われて額当ての無い額に片手を宛てがうネジ。

「自分では見えないが、やはりそうか……」


「格好が、大戦時と違って普段の任務服に戻ってるね……どうしてだろう。それにここは、どこの林の中かな……? 天国、には流石に見えないけど……」

「──あなた達」


 薄暗く、今にも雨が降り出しそうな靄がかった湿気を帯びた林の奥から、二つの人影が現れる。

「どういうつもりかしら……昔の私の姿と、亡くなったネジ兄さんの姿をしているなんて」

 一方は肩までの髪の長さと鋭く釣り上がった目元の女性。もう一方も女性で長い髪を後ろに束ね、白眼特有の血管を浮き上がらせ注意深くこちらをうかがっている。

「姉様、この二人……変化してるわけじゃなさそうよ。白眼でも見抜けない禁術でも使ってるのかしらね?」

「お、お前達は……?」

 同じ白眼を持ち、しかもどこか見覚えのある面差しに戸惑うネジとヒナタ。

「私は担当上忍をしてる日向ハナビよ? こっちは日向の姫のヒナタ姉様」

「日向の、姫……??」

 ヒナタは思わず眉をひそめる。……跡目から外された日向の落ちこぼれの私が、日向の姫と呼ばれた事なんて一度だって無い。

「その呼び方は人前ではよしなさいって言ってるでしょ、ハナビ。……日向家に一時的に帰っていたら、妙な気配がして近くの林の奥まで来てみたの。そうしたら、昔の私の姿と亡くなったネジ兄さんが居た……。どういう事か、説明してもらえるかしら」


 もう一人のヒナタと思われる女性ではあるが、ネジからするとその“ヒナタ”は垂れ目の三重ではなく二重のつり目でハナビと酷似していて、性格は控え目ではなくどことなく高圧的に思えてならない。

「ね、ネジ兄さん……ど、どうしよう……」

「落ち着け、ヒナタ……俺にも訳が判らないが、どうやら今の俺とお前はそちら側からすると過去の存在らしいな……」

 ヒナタは不安でネジに身体を寄せ、ネジはヒナタの肩に片手を置いて落ち着かせようとする。


「何こそこそしてるのよ、まさか姉様のハムラのチャクラでも狙ってるわけっ?」

「よしなさいってば、ハナビ」

 今のネジとヒナタ側から見たハナビは自分達より十くらいは年上らしく、背の高さもネジに近くヒナタをとっくに越しているようで、柔拳の構えをとって警戒してくるが歳上のヒナタがそれを制止する。

「……敵意は感じないし、危険性はないと思うわ。あなた達の保護の目的も兼ねて……日向家に来るといいわ」

「「──⋯⋯」」

 ネジとヒナタは怪訝そうに顔を見合わせ、とりあえず歳上のヒナタの言う通りに日向家までついて行く事にした。



「ヒアシ、様は……どうしている?」

「お父様は今、溺愛してる二人の孫の為に買い物に出掛けてるの。そうなると長いから、夕方まで帰らないでしょうね。……また白眼で品物の中身を覗き見してなければいいけど」

 道中のネジの問いには歳上のヒナタが答え、年下のヒナタの方は耳を疑った。

「えっ、孫、二人……??」

「姉様と火影のナルト様の子供に決まってるじゃない! 私の可愛い甥っ子と姪っ子よ!」

「「………!?」」

 自慢げに言う歳上のハナビに驚きの表情を向けるネジとヒナタ。

「お父様とハナビには困ったものだわ……可愛がってくれるのは有り難いけど、デレデレが過ぎるのよね」

「わ、私とナルト君の、子供……?! え、そんな…っ」

 歳上のヒナタが溜め息をつく一方、年下のヒナタは困惑してうろたえ、それを見た歳上のヒナタは疑念の目を向ける。

「……何かしら、あなた昔の姿の私なのにナルト君と私が結ばれたのが嬉しくないの?」

「“私”は……ナルト君じゃなくて、ネジ兄さんを──」

「え、うそ、何それ!? うちの姉様は幼少の頃からずーっとナルト様ひとすじなのよ? あなたやっぱりおかしいわよ、昔の姉様の姿してるけど私のヒナタ姉様じゃないわ!」

「落ち着いて、ハナビ。……有り得たかもしれない、もう一人の私なのかもしれないわ。私にとっては、有り得ないけど」

 歳上のヒナタは嘲笑するかのような笑みを浮かべたが、すぐにしおらしい表情をしてネジに向き直る。


「そうだ、ネジ兄さん……あなたは私のネジ兄さんじゃないだろうけど、久し振りに顔を見たらお礼を言っておきたくなったわ。──あの時、ナルト君を命懸けで守ってくれてありがとう」

「………?」

「あの時、って……」

「大戦時に決まっているじゃない。“あなた”のネジ兄さん、額の日向の呪印が消えているし……死んでしまったんじゃないかしら? あの時……ネジ兄さんはナルト君の為に亡くなったの。本当は私が先にナルト君を庇ったんだけどね、その上さらに庇ってくれて──でもネジ兄さんはあくまで仲間としてナルト君を守ったのであって、私は関係無いの」

「どうして、そんな事が言えるの……? “あなた”のネジ兄さんは、あなたの事も庇ったのなら関係無くないでしょう…!?」

「だとしても、ネジ兄さんは分家として宗家の私を庇ってくれたんだわ」

「──え?」

「…………」

「だってネジ兄さんったら、最期に私の名を口にした時……敬称で呼んだのよ。仲間としてじゃ、無いわよね」

「そんな、どうして──」


 年下側のヒナタが問おうとするも、ネジはそれを遮る。

「そちらの“俺”の事はこの際どうでもいい。……それよりも俺が気になるのは、ハナビ様……あなたの方だ」

「え、私? 何か文句でもあるわけっ?」

「何故、担当上忍などしている? 次期当主としての立場はどうした」

「そんな事言われてもねぇ……」

 従兄からの鋭い視線にハナビは思わず目を逸らす。

「ハナビにはまだ日向当主は早いわ。未だに姉の私に負けるようじゃあ、ね?」

「それは言わないでよ姉様ってばぁ…!」

「わ、私は……ハナビに勝った事なんて、一度も──」

 年下側のヒナタは違和感を口にしたが、すぐ様歳上側のヒナタが反論する。


「何を言ってるの? 五歳離れていてまだ幼い頃の妹と手合わせをさせられた時は、ハナビを傷つけてしまうのが嫌でわざと負けてあげたのよ。次期当主の座も、“私”が妹に譲ってあげたの」

「姉様は中忍のままだけど、上忍なんて名誉職みたいなものだから実質姉様は上忍以上の実力なのよ! 担当上忍なんかやってる私なんて足元にも及ばないわよ」

 誇らしげに述べるハナビだが、何故上忍は名誉職などと言われなければならないのかネジには納得がいかなかった。

「もう、そんな事言ってるからお父様から当主を任せてもらえないのよハナビ。それに婚期だって──」

「な、何とかするわよぉ……」


「違う……こんなの、私じゃないしハナビでもない……」

「──⋯⋯」

 呟くように言うヒナタにネジは黙ったまま目配せをして同意を示す。


「それはそうでしょうね、過去の私からすれば。……言ってしまえば私達日向一族は、ネジ兄さんが死んでしまってからすっかり変わってしまったようなものなの」

「………?」

「私、ネジ兄様が死んだって聞いてから真面目に修業するのが馬鹿らしくなったのよね、だって日向の天才が呆気なく死んでしまったのよ? だから私は日向の跡目としてよりも女子らしくオシャレに目を向けるようにしたの。……父様なんて、ナルト様と姉様が結婚して二人の可愛い孫が出来た途端呪印制度をどうにかして分家の人達をほとんど解放したようなものなのよね。単に孫に呪印を付けたくなかったからだと思うけど。あとはまぁ日向の黒歴史を孫に知られたくなかったんじゃないかしら」

 真顔で述べる歳上側のヒナタとハナビに、まるで自分の死が原因で日向一族が悪い意味で変わってしまったかのように言われ、ネジは困惑するしかなかったがそれでいて自分の死を蔑ろにされているようにも感じる。


「私はネジ兄さんがナルト君を命懸けで守ってくれたお陰でナルト君と急接近出来たの。大戦後二年間は喪にふくしてナルト君とは距離をとっていたけど……。そうして二年経って、何故か私がハムラのチャクラを宿した白眼の姫だって分かって悪い人が純度の高い白眼のハナビと私を攫いナルト君が助けに来てくれてからはもう……恋人から結婚までトントン拍子。子供もすぐ二人出来たし──」

 頬を染め恥じらうように言う歳上側のヒナタ。

「あぁ、そういえば元々白眼じゃない息子が白眼を開眼したかもしれない時、私は実家に行かずにナルト君に息子と娘を連れて行ってもらったのよね。ナルト君仕事で朝帰りだったけど快く引き受けてくれたわ」

「実家に……日向家に行くのが気まずかったからあなただけ行かなかったの?」

「いいえ? 別にそんな事はないの。あなたも主婦になってみれば分かるわよ、実家に行くよりもやる事が多いの。……あ、でも羽伸ばしは定期的にさせてもらっているわ。ナルト君が過労で火影室で倒れたりしてる中、子供を家に残して羽伸ばしするのは気が引けるけれどね」

 歳上側のヒナタはいったいどういう神経をしているんだと言わんばかりに顰め面をするネジ。

「それで……息子の方は白眼を後天的に開眼した、のか?」

「それが結局してなかったみたいなのよねぇ。姪っ子の方は特殊で凄く怒ると白眼を無意識に発動するみたいなんだけど……。甥っ子は修業が足りないのよ、何せ白眼は厳しい修業を受けてこそ開眼するものだから!」

 ハナビのその言い回しにネジは引っ掛かるものを感じた。

「ナルトとヒナタの息子と娘が後天的なのは判らなくもないが、日向一族の白眼は元々安定した先天的なものだろう」

「そうだったかしら?? 日向の者全てが白眼を開眼するわけじゃなくて幼い頃から厳しい修業で開眼して分家の者は否応なしに呪印を刻まれるシステムだった気がするけど」

 しれっと述べるハナビにある意味目眩を覚えてしまうネジとヒナタ。

……それがまかり通るなら、ヒナタは厳しい修業で既に三歳で白眼を開眼していたという事になりそこまで才能があるなら跡目から外されなかった筈で、まして分家は厳しい修業の末白眼を開眼しその上日向の呪印を刻まれるという何とも酷な話になるのではないか。


「──⋯ネジ兄さん、ここ、私達の未来じゃないよ。それに、“私達”はここの過去の存在でも無い」

「…………」

「どうしてこんな所に来てしまったのか分からないけど、還るべき場所に還らないと」

「……そうだな」


「お互い、有り得たかもしれない世界なのかもね。あなた達二人は、死んだみたいだけれど」

「いや、まだ死んではいない。俺達の意思は……消えたりはしない」

「ふふ……ネジ兄さんのそういう強がる所、嫌いじゃないわよ」

 歳上側のヒナタは本当に性格も見た目も随分変わってしまったものだとネジは思う。


「もう一人の、私……私と、手合わせしてくれないかな」

「何を言い出すんだ、ヒナタ」

「このまま……何もしないわけにはいかない気がするの。自分の為にも……ネジ兄さんの為にも」

 そう言って年下側のヒナタは迷いなく白眼を発動させる。

「そっちの私に未だに勝てないあなたが姉様に敵うと思ってるの? 馬鹿みたい」

「勝てる勝てないは問題じゃない……本人の強い意志に掛かっている」


「じゃあ兄様は……私と手合わせしてよ。それとも呪印消えてるし、白眼は使えないかしらね?」

「そうだとしても、掌底くらいは使えるだろう」

 ハナビに構えをとるネジ。

「ならハンデとして私も白眼使わないであげようか?」

「いや、使ってくれて構わない。……腑抜けた次期当主に負ける気はしないのでな」

「言ってくれるじゃない……!」

 ビキッと血管を浮き上がらせるハナビ。


「──やだ、ちょっと待って。私、白眼を使いたくないのよ」

「「な……??」」

 その突然の歳上側のヒナタのひと言に、年下側のネジとヒナタは呆気にとられる。

「息子を叱る時には怖がらせる意味でも使うけどね……。それにナルト君に使ってくれって言われたら使うけど……それ以外は白眼を使う気にはなれないのよね。だって、血管浮き出るの恥ずかしいじゃない? 特に大戦から二年後のナルト君との任務中に使うのは恥ずかしかったのよね……」


「下らん……とんだ日向の姫だな」

「何ですって!? 姉様を馬鹿にするなこのっ」

 ハナビからの素早い掌底をバシッと片手で難なく受け止めるネジ。

「ハナビが担当上忍というのも聞いて呆れる、とっくに当主であってもおかしくはないんだがな。それに襟元がだらしない、次期当主なら服装と態度を改めるべきだろう」

「あ、あんたに言われる筋合いはないわ!」


 ネジは深い溜息をつく。

「随分と落ちぶれたものだ。……こちら側の日向一族には、未来は無いかもしれん」

「ちょっ、勝手に決めつけないで!」

「ナルトも……気苦労が絶えないだろうに」

「ふん、ナルト様は火影にかまけて姉様や子供達を蔑ろにするような酷い義兄よっ!」

「───」

 ハナビの言葉にネジは耳を疑った。……火影が自分の家族よりも職を優先し里に尽くすのは当然であって、その火影を陰から支え理解を向けるべき日向の一族がナルトの家族の事情に苦言を呈しその上火影にかまけて家族を蔑ろにしているなどと宣うのは余りにお門違いだ。

「ハナビ……言い過ぎよ。私は十分幸せなの……ナルト君、割としょっちゅう本体で帰って来てくれるし、親子の日を作って家族との時間を優先してくれるし……私はそれで満足よ」

 不敵にもとれる微笑を浮かべる歳上側のヒナタにネジは眉を顰め、黙ったまま歩み寄る。

「な、何かしらネジ兄さ──」


 パシッと一発、小気味よい音が鳴り響く。

歳上側のヒナタは一瞬何が起きたか分からない表情をして片頬に手を当て、ハナビは驚いて声を荒げる。

「ちょっと! 何で姉様を引っぱたくのよ!?」

「私が、そうするべきだったと思う。ごめんなさいネジ兄さん、代わりにさせてしまって」

 年下側のヒナタは目元の血管を浮き上がらせ、白眼を発動したまま歳上側のヒナタをじっと見据えている。

「私も、許せないの。こんな……他人事みたいな自分なんて」

「──仕方ないじゃない、これが、“私”なんだもの。アカデミーの頃からナルト君とは仲が良かったし子供達にもそう言い聞かせているわ。それとこう見えて私、大食いなの……。医療忍術だって、いつの間にか使えるようになっていたけどネジ兄さんには使えなかったの……だって助かりそうになかったもの。私はね……ナルト君の為なら自分の娘だって同期の女友達に任せて置き去りにするわ。ナルト君の恋人、妻、火影夫人に相応しく整形だってしたし、うじうじした控え目な性格だって変えた……。全ては、ナルト君の為なのよ」

 歪んだ笑みを見せる歳上側のヒナタは狂気じみたものすら感じる。


「ナルトの為と言いつつ……全て自分の為でしかないんだな、“お前”は」

「私は、あなたのようにはならない。……なりたくない。“私”はネジ兄さんの為に強くなるって決めたの。守られてばかりじゃいけない……自分の足で立って、ネジ兄さんを守れるようになるの」

 年下側のヒナタの言葉を受け、歳上側のヒナタは何を思ってかふと空を仰ぎ見る。


「──⋯そう、ね……そんな風にも、なってみたかったかもね、私。あなたのように、成長を許されていたなら……良かったのかもしれない」

(ヒナタ……?)

「あなた達は……生きて。私が生きられなかった生き方を、どうか生きてほしいの」

 高圧的な先程までと違い、表情を和らげて話す歳上側のヒナタ。

「……そうよね、私も……担当上忍なんてやっている場合じゃないわ。ネジ兄様の分も……日向当主として務められるようにならないと」

 ハナビの方は襟元を正して凛とした表情を見せる。

「私は……ナルト君の傍に居られれば、それだけで──。けどもう一人の“私”は、その対象がネジ兄さんなのね」

「うん、そうだよ。傍に居るだけじゃない……離れていても、心が通じ合う……そんな関係でいたいの」

「そう……。私も、そう考えられたら良かったんだけど」


 項垂れる歳上側のヒナタにネジは複雑な面持ちで言葉を掛ける。

「……さっきは頬をはたいてしまってすまなかった。こちらの世界のヒナタに文句を言う資格は俺には……俺達にはない。否定する権利もないだろう。それがこちら側のヒナタの、生き様なのだろうから」

「もう、手遅れかもしれない……変えられないかもしれない。それでもこれが私の、生き様……」

「“あなた”が変われなくても、私が変えて行くよ。あなたの、分まで」

「……ありがとう、もう一人の、私」


 ネジとヒナタの二人の意識は、そこで急速に遠のいてゆく。


『さあ、元の居場所へ還って。そして……あなた達の未来を、生きて───』






「──⋯ネジ君、ヒナタさん…! やっと、意識が戻りましたね、良かった……」


 意識を戻すと、医療忍者のシズネの声がした。

ネジとヒナタは奇跡的に一命を取り留め、大戦後同じ病室に長い間寝かされていたようだった。二人はおもむろに上体を起こして顔を見合わせ、互いに笑みを交わした。

──これで、良かったのだと。



《終》


 
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