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ある晴れた日に

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219部分:オレンジは花の香りその二


オレンジは花の香りその二

「本当にいい話ねえな。その女の子も大丈夫かね」
「変なのにさらわれてなきゃいいけれどな」
 野本は自分の席で足を組んで座りながら述べた。
「そうなってたらやばいぜ」
「そうだよな。本当にな」
 今度は坪本が野本の言葉に頷いていた。
「何か最近神戸そんな話多いよな。この前だって小さな女の子が通り魔に襲われたよな」
「ああ、あれね」
 茜が彼の言葉にすぐに反応してきた。
「あれも犯人誰なんでしょうね。まだ捕まってないわよね」
「うん、確かね」
 彼女には桐生が答えた。
「まだだったよ」
「犯人見つからないとまた同じ事件起こるわよ」
 茜も機嫌の悪い顔になっていた。
「そういうのって」
「そうね」
 恵美も茜の今の言葉に対して真面目な顔で頷いた。
「何処の世界でも頭のおかしな人間はいるわ」
「何処にもね」
「そういう人間は何をしても平気なのよ」
 かなり厳しいことを口にしていた。
「だから。本当に捕まらない限りね」
「悪事を続けるのね」8
「そういうものよ。だからすぐに捕まえないと」
 こう言葉を続ける恵美だった。
「もっと大変なことになるわよ」
「そういえば最近そんな話多くないか?」
 佐々が顔を顰めさせて話に入って来た。
「あちこちの学校や家で動物殺されたりとかペット殺されたりとかいうのもあるよな」
「公園のお花切り刻んだりとかね」
「変な話ばかり多いな」 
 坂上も顔を顰めさせて述べた。
「冗談抜きで最近おかしかねえか?」
「そういうやばい奴がうろうろしてるっていうのね」
 凛が苦い声で述べた。
「どうしたものかしら」
「おめえやっつけて来いよ」
 春華はここで静華に顔を向けて言った。
「その得意の空手でよ」
「そうね。出て来たら絶対にやっつけるわ」
 静華もそれを受けて微笑んで正拳を出してみせた。
「こうやってね。倒してやるわよ」
「こいつ空手の黒帯なんだよ」
 春華はその正拳を出してみせた彼女の横で紹介する。
「結構以上に強いぜ。痴漢だろうが何でもな」
「その変質者もね」
「任せてよ」
 流石に今はスカートなので蹴りは出さないがそれでも今度は手刀を振るってみせる。かなりさまになっている。
「矢でも鉄砲でもよ」
「じゃああてにさせてもらうわ」
「任せてよ。御礼はケーキでいいからね」
 笑って恵美に顔を向けて言う。
「それとロシアンティーと」
「随分高いわね」
「そう?変質者やっつけるんならこれ位はいいでしょ」
 自分で勝手にそう決めている。
「私はそう思うけれど」
「いや、結構ぼってるよな」
「なあ」
 そんな彼女を見て坪本と野茂がそれぞれ言う。
「せめてどっちかにしろよな」
「図々しいんじゃねえのか?」
「だから。変質者撃退よ」
 しかし静華も引かない。
「そうなったらお手柄じゃない。そのお手柄の女の子にお茶とお菓子って安いわよ」
「じゃあ私のところからケーキいる?」
 北乃は静華の話を聞いてこう提案してきた。
 
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