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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第107話:Planetarium

ゼロがオービターウイングを回収している時、ハンターベースではゼロのウィルス反応にライフセーバーとシグナス、そしてエックス達のメンテナンスを担当しているゲイトが密談をしていた。

「以上です。ゼロに関してのレポートは」

「ふむ、ゼロは今までに何度もシグマと戦ってきた…今更多少のウィルスではビクともしないだろう?」

「反応がないのならまだしも、ダメージを受けるどころか…パワー出力がアップしているのです。エックスとゼロ、ルイン、そしてあのジャンク屋の娘も体の仕組みが謎の部分が多すぎます。今後何か起きるか分かりかねます。ここで何か対策を講じた方が良いかと…」

ライフセーバーからしてみればゼロやエックス、ルイン、ルナはレプリロイドとして異常な存在だ。

多少離れていた場所にいたルナはまだしも大量のシグマウィルスが発生した中心地に居ながら、3人の体からは他のレプリロイドと違って一切の異常が認められなかった。

そもそもエックスとゼロ、ルインは数多く居るイレギュラーハンターの中で製造元が判明していないのだ。

ゼロとエックス、ルインはハンターベース創設者であるケインにより、特別にイレギュラーハンターに認められ、シグマの反乱と言った数々の事件を解決に導いてきた立役者であるとは言え、ライフセーバーのようにその存在そのものを怪しむ者も少なくは無いのだ。

「…………」

シグナスは手を口元に沈黙した。

現存するレプリロイドで最高のCPUを持つ彼の頭脳が最良の対策を導こうとする。

そして出た答えは現状維持だ。

ただでさえ現状は非常事態で僅かでも戦力が欲しい時だと言うのにそれを減らすなどシグマの野望を手伝うような物だ。

寧ろこのゼロやエックス達を疑うような会話自体がシグマが狙っていることかもしれない。

しかしライフセーバーにそれを言って納得してもらえるかは話は別だ。

「この件は秘密にしておけ…考えておく」

だからシグナスはライフセーバーに対して曖昧な返事を返すだけに留めた。

「ウィルスでパワーアップするなんて危険すぎます!!せめてゼロだけでも手を打たないと手遅れになりますぞ!!」

ライフセーバーの言葉に聞いていたゲイトは溜め息を吐きながら肩を竦めた。

「やれやれ、これだから政府の無能は困るよ。今は世界が滅ぶかどうかの瀬戸際ということを忘れてないかな?現状でイレギュラー化の兆候を見せてない味方にまでそんな監視を向ける余裕はない。」

「何を悠長なことを!!例えスペースシャトルによる特攻作戦でユーラシア墜落を凌いでも今後何が起こるか分からんぞ。ここらで何か対策を講じねば…」

「君達のような政府の飼い犬の対策なんて勝手なイレギュラー認定しての処分だろう。今は例え悪魔だろうと地獄の鬼であろうと味方が欲しい時にゼロほどのハンターを無闇に疑い、失う愚は避けるべきだと僕は思うね。大体、彼は対シグマとして必要不可欠な存在、エックスもルインも同様に。もし君達の軽率な対策のせいで彼らを失った後にシグマが現れたらどう対応するんだい?君達がシグマを倒してくれるとでも言うのかな…?治療しか取り柄のない君達が?」

「そ、それは…」

嘲笑と共に叩き付けられた言葉にライフセーバーは言い返すことが出来ない。

「煽るなゲイト。とにかくこの件に関しては考えておく。」

「ゼロを放置してシグマやユーラシア以上の災難を招かねば良いですがな」

ライフセーバーは悔しそうに捨て台詞を吐き、逃げるように去っていくしか術が無かった。

こうしてシグナス達のゼロ達に関する密談は終わる。

一方でゼロがレプリエアフォース本部に到着する前にエネルギータンクを求めてルナが向かったスペースラボラトリーはバットン等のイレギュラー化したメカニロイドの巣窟と化していた。

プラネタリウムの鑑賞用の星座から出現してバットンが次々に爆弾を落とす。

「うわっとと!!危ねえ!!畜生、シグマウィルスは効かなくても危険地帯には変わりねえじゃねえかよ!!シグナスの野郎!!覚えてろよーーーーっ!!!」

バットンの爆弾をかわしながらエリアを突破し、重力反転装置のあるエリアを行く。

「こんなところにも悪趣味ウィルスが…」

スペースラボラトリーのシグマウィルスの量はホタルニクスの研究所をも上回っており、ルナを辟易させるには充分過ぎた。

「…得体の知れない小娘…貴様の正体を暴いてくれるわ!!」

「うへえ、気持ち悪いなてめえ!!女の体に入ろうとするんじゃねえよ!!」

生理的な嫌悪感を覚えてバレットを構えてショットを連射し、シグマウィルスを破壊するルナ。

「けっ、悪趣味なハゲ野郎が…女の秘密を暴こうなんざ最低だぜ」

ルナは毒づきながら実体化したシグマウィルスを破壊しながら先へと進もうとすると…。

『ルナ…ルナよ…』

「っ!!」

聞き覚えのある声にルナは即座に足を止めると直ぐさま声のした方へ駆ける。

そこにはライト博士が焦りを浮かべた表情をしながらルナを待っていた。

「ライト博士…あんたこんな場所にまで、」

『ルナ…大変なことになってしまったようじゃな…エニグマによる狙撃作戦は失敗に終わり、残されたのはスペースシャトルによる特攻作戦…成功する確率は限りなく低いじゃろう』

「…だな、どれだけシャトルをチューニングしても成功率は最高まで強化したエニグマを下回るだろうよ」

技術者として冷静にスペースシャトル特攻作戦の成功率を口にするルナ。

「だがよ、ライト博士。俺達はそう簡単に諦めてやるつもりは微塵もないぜ?こんなんで挫けてたら爺さんに合わせる顔なんかねえんだからな…みんなが最後の最後まで足掻こうってんなら、乗り掛かった船だ。俺も最後まで付き合ってやるさ」

『そうか、すまないルナ…わしも君達に力を貸してやりたいのじゃが…今のわしにはエックスのパワーアップパーツのファイルを与えることくらいしか出来ない……無力なわしを許して欲しい。』

「いいや博士。少なくても、伝説の科学者であるあんたが俺達と一緒に戦ってくれるってだけでもありがたいぜ」

『ありがとうルナ…ここではファルコンアーマーと対を為すガイアアーマーのヘッドパーツプログラムを渡しておく。ヘッドパーツはガイアショットのチャージ時間を更に早める効果がある…エイリアに頼んでプログラムを解析しガイアアーマーを完成させるのじゃ…頼んだよルナ…エックス達と力を合わせて世界を守って欲しい…』

「OKOK、任せときな」

カプセルに入り、ガイアアーマーのパーツファイルを入手したルナはファイルを簡易転送装置でハンターベースに転送するとネクロバットの元に向かう。

「キキキッ、ずっと待ってたぜ!!」

「こいつがスペースラボラトリーに潜んでる正体不明のイレギュラーね」

ルナはネクロバットと対峙する。

バットンを従えたイレギュラーはルナを見て嘲笑い、そんなネクロバットを見てルナは苛立ちを感じながらも口を開いた。

「今、どんな状況なのか分かってんのか?俺達はこのスペースラボラトリーの高純度エネルゲン水晶液の大容量エネルギータンクが欲しいんだよ」

「キキッ、そんなの関係ないだろ?俺は誰にも指図を受けない!だから、俺を造ったシグマも俺には関係ない!もう、こんな状態ならイレギュラーも何もみんな死んじまう。キキキッ、まずお前から殺してやるよ!!!」

「ふーん、てめえはシグマが造ったレプリロイドなのか…なら、生まれついてのイレギュラーのようだな。どうやらてめえとは話し合うより戦った方が早く終わりそうだな」

ルナは目付きを鋭くしてネクロバットを睨むとバレットを構えた。

「今の俺は滅茶苦茶機嫌が悪いんだ。覚悟しやがれ」

「キキキッ、ダークホールド!!」

ネクロバットが光ったかと思うと、ネクロバットの姿がなくいつの間にかルナの首筋に噛み付いていた。

「ぐっ!?て、てめえ…いつの間に!!?」

エネルギーを吸われてることに気付いたルナが振り払うとネクロバットは再び、空中に。

「キキッ…俺のダークホールドは時間を止めることが出来るのさ」

「時間を止める…?そんな技術があるってのか?」

「キキキッ、どんなに強くても時間を止められちまえば動けない。どんな敵も俺の相手じゃない!!俺が逃げ出した時もシグマは俺の能力を恐れて追ってこなかったんだからな!!俺は最強のレプリロイドだ!!ダークホール…」

「させるかよ!!リフレクトレーザー!!」

「キキッ!!?」

ネクロバットがダークホールドを使う寸前にリフレクトレーザーで翼を撃ち抜いて撃墜する。

攻撃を受けたショックでエネルギーが四散する。

「ネクロバット、確かにお前の言う通りだ。お前の能力は確かに恐ろしい。時を止めちまえば誰も動けないからな。お前がその能力を100%使いこなすことが出来れば確かにシグマ以上の脅威となるかもしれねえが…仕掛けが分かった以上、同じ手には引っ掛からねえぞ」

「ち、畜生!ダーク…」

悪足掻きにもネクロバットは再びダークホールドを使おうとするが、ルナがダークホールドの使用を許すはずがない。

「はい、残念。トランス…プリズムレーザー」

ルナはダイナモと戦った時のように姿を変える。

今度はシャイニング・ホタルニクスに姿を変えてホタルニクスのレーザーをネクロバットに叩き込む。

「ぎゃあああああ!!!」

モチーフとなった動物をイメージして攻撃してみたが、やはり光には弱いようだ。

「床に転がってて良いのか?焼き蝙蝠になっちまうぞ、ジェルシェイバー!!グランドスパーク!!」

次はマッコイーン、クラーケンとなり、特殊ジェルと電撃のコンボでネクロバットを感電させる。

「があああああ!!?」

「弱いなお前…ダークホールドさえどうにかすれば滅茶苦茶弱いぜ。シグマが追ってこなかったのはただ単純に戦力にならなかったからじゃねえの?まあいい…」

クラーケンから元の姿に戻ると虫の息のネクロバットを睨む。

「よくも女の体に歯形付けやがって…くたばりやがれ!!メガクレッセントショット!!!」

最後にグリズリーの姿となり、ネクロバットに特大の三日月の衝撃波を叩き込み、跡形もなく粉砕した。

「ふんっ!!」

鼻を鳴らしながら、DNAデータを回収してエネルギータンクの回収も始めるルナであった。 
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