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ある晴れた日に

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168部分:輝けダイアモンドその二


輝けダイアモンドその二

「それもね」
「どうして?」
「もうパソコンに脚本書いてあって」
「それをなおしていくのね」
「で、それをコピーして」
 話は随分と早かった。
「それで終わりだから」
「成程」
「特に心配するものじゃないよ」
 竹山の言葉は続く。
「明日にはもう脚本できて学校に持って来るから」
「けれどよ」
 ここで言ったのは昨日その竹山と一緒にその助六を観た正道であった。
「昨日の今日で随分と完成が早いよな」
「あっ、確かに」
「そういえば」
 皆彼の言葉でそれに気付いたのだった。
「速過ぎるわよね」
「何でこんなに速いんだよ」
「脚本のデータ、昔パソコンに入れておいたんだ」
 竹山はいぶかしむ皆にこう述べたのだった。
「だからなんだよ」
「で、それをちょっと変えて?」
「それでってわけかよ」
「そういうこと。いや、運がよかったよ」
 彼は自分で自分に対して話した。
「パソコンにデータがあってね。それを訂正するだけだから」
「そう。それだけでね」
「できるの」
「うん。後は音楽だけれど」
「ああ。こっちは順調だぜ」
 正道が彼の言葉に頷いて答えてきた。
「それはな」
「そう。だったら後は」
「道具?」
 茜が言った。
「それの用意よね。それだと」
「まあ借りるだけれどね、それもね」
 このことについても答える竹山だった。
「そう。だったら後は八条学園に行って借りるだけね」
「俺が行って来る」
 また正道が名乗り出てきた。
「今日暇だしな」
「えっ、それも!?」
「いいの!?」
「ああ。別にいいさ」
 あっさりとした調子で皆に答えたのだった。
「それでな」
「まああんたがいいっていうんならね」
「別にそれでな」
 皆も彼の言葉を受け入れることにした。
「それじゃあそういうことでね」
「宜しくな」
「あ。あっちに行って借りるだけだよな」
「そうよ」
 彼の問いに答えたのは田淵先生だった。
「申請したらね。後は向こうが持って来てくれるから」
「そうですか。じゃあもう今日のうちに行って来ますよ」
「で、何借りるのかわかってるのね」
 恵美が静かに正道に尋ねてきた。
「借りるものは」
「それなら大丈夫だよ」
 また竹山が答えてきた。
「助六って有名だから題目出すだけで通じるから」
「ふうん、それだけでね」
「それでか」
「うん、いけるよ」
 竹山は今度はあっさりとした調子で皆に答えた。
「だから。安心していいよ」
「そう。それだったら」
「音橋、それで頼むな」
「今日のうちにな」
「ああ、わかったぜ」
 正道は皆の声に対してしっかりとした言葉で応えたのだった。
 
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