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人徳?いいえモフ徳です。

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三十九匹目

 
前書き
そういえば設定作って使ったけど王族の設定を出していなかった。


フライハイト王国
千年以上の歴史を誇る王国。
国旗は青空に遠吠えする九尾の狐。
フローティアの覇権国家で、現在最も栄えている。
王族はヒューマンだが、多民族国家であり種族間の争いはほぼ無い。
王族は一応ヒューマンだが、周辺諸国併合時などの政略結構などもあり様々な種族の血が交じっており、一人一人髪の色が違ったりするのは当たり前だったりする。
流れるどの血が覚醒するかで個々人で能力が大きく異なる。
代々エリクシールを服用しており、子供ができにくい血筋。とは言え長命なので子供は生まれる。
狐を聖獣としており、狐を殺す事は重罪となる。
夫婦別姓可。
王族は基本的に名・姓(フライハイト)だけ。




アルフレッド・フライハイト
115歳
茶髪 緑眼
シラヌイが生まれた時の国王。
自身が王になった時に継承権をめぐって内戦が起きたので妻を一人しか取らなかった(その時の内戦ではタマモは静観)。
エリクシールを定期的に服用している。
見た目は40代。
フライハイト家にしては珍しく子沢山。

ツェツィーリア・フライハイト
98歳
B級
赤毛 碧眼
アルフレッドの唯一の妻。女王。
見た目は未だに40代

ダマオ・フライハイト
49歳。
第一王子。無能。現在は地下牢。

クリスティナ・フライハイト
45歳。
見た目は30代前半。
第一王女。有能。美熟女。独身。

アーネスト・フライハイト
43歳
金髪の超イケメン。
第二王子。有能。
ブライの親友。
剣の達人。

リオネ・フライハイト
18歳
B級
第二王女。
わがまま姫。
末っ子。

トレーネ・S・フライハイト
132歳。
A級
アーネストの妻。
隣国(スヴァルティア)の姫。
おっとり系褐色銀髪お姉さん。
シラヌイの祖父の従兄弟の孫。

クーコ・フライハイト
A級
6歳(シラヌイとタメ)。
アーネストとトレーネの娘。
肌の色は褐色。銀髪に所々金髪のメッシュのロリ。
シラヌイによって魔改造中。

 

 
十一月初旬。

月末はクーちゃんの誕生日だ。

王族の誕生日なのでもちろんパーティーが開かれる。

「プレゼントどうしよう」

もちろんシュリッセル家からのプレゼントはお婆様達が用意している。

今悩んでいるのは僕個人からのプレゼントだ。

ブレスレット…はもうあげたからな…。

指輪…却下。

イヤリング…エルフに耳系のアクセサリーって特別な意味があるから却下。

これが単に友人同士のやり取りなら花束とかが一番だ。

なぜなら花言葉という形でメッセージを込められるから。

ん? 花束?

そうだ! “朽ちぬ花束”を贈ればいいじゃないか!

よし、お婆様に頼んで王宮の図書館と植物園に行こう!










十一月下旬。

クーちゃんの誕生日当日。

お父様とお母様に連れられて来たのは王宮の謁見の間だ。

数段高い所に国王様と王妃様。

その一段下にロイヤルファミリーズだ。

なおロイヤルファミリーズの真ん中にクーちゃんが座り、両隣に皇太子アーネスト様と皇太子妃トレーネ様、その更に外側に女性が二人。

そして空席が一つ。

ダマオの席だ。

あの豚は王族の一員だが素行が悪く、数ヶ月前の一件で国王様(っていうかお婆様)がキレたらしい。

で、ダマオは現在軟禁中だとか。

ダマオの話は置いておくとして……。

クーちゃんが滅茶苦茶不機嫌だ。

王族だから表には出していないが目がヤバい。

貴族達の御世辞にうんざりしているのだろう。

公爵家、侯爵家の謁見が終わり、宮廷魔導師団の順が回ってきた。

お母様と一緒にクーちゃんの前に出ていく。

なおお父様は師団長として、お婆様は相談役として出席しているのでそれぞれ別行動だ。

一歩前に出たお母様が定型句と共に贈り物の目録を渡した後。

「我が息子が姫様にどうしても贈り物をしたかったそうです」

お母様が一歩下がったので、僕が一歩出る。

「姫様の未来に栄光がありますよう願っております」

アイテムボックスからプレゼントを出す。

造花の花束だ。

周囲から感嘆の声があがる。

当然だ。

僕の全力を以て造った、<宝石の花束>だ。

カキツバタ、スイセン、スノーフレーク、タチアオイ、ネモフィラ、ケマンソウ、クンシラン、キンレンカ、セキチク、ジャスミン。

全て花言葉に意味を持たせてある。

その花束をクーちゃんに渡す。

「うむ。見事である」

幼い声で、クーちゃんが(きちんと)偉そうにコメントした。

一歩下がり、お母様と礼をして下がる。

「待ちなさい」

声をかけたのは、トレーネ様(クーちゃんのママで皇太子妃様)の隣に座っていた女性。

国王様と王妃様の末子、リオネ様だった。

「スイセンの花言葉には『我欲』や『自惚れ』もあるわ。
この場で渡すには不適切でなくて?」

お母様に視線で聞くとコクンと頷いた。

回れ右して膝を突く。

「リオネ様のご指摘通り、スイセンにはそのような意味もございます。
ですが、我欲無くして人とは呼べません。
自惚れずして上位者たりえません。
自尊せずして王族たりえません」

そして、僕がスイセンに込めた最も大事な意味。

「そして何より、自己愛なくして、己を愛せずしてどうして他者を、民を愛せましょうか」

沈黙が流れる。

静寂を破ったのは笑い声だった。

ひざまづいたままだが、この声は王妃様の物だ。

「一本取られたな、リオネ」

見えないけど、リオネ様今頃むくれてるんだろうな。

「ふんっ…シラヌイ・シュリッセル」

「はっ、なんで御座いましょうか」

「私にも一本作ってみなさい」

無茶振りきたなぁ…。

「かしこまりました」

アストラルポーチ内部の植物図鑑を閲覧。

作る花はデンドロビウム。

花言葉は…うん。

アイテムボックスから鉱石を取り出す。

「ジェネレート。ジュエリー・フラワー」

鉱石を分解する。

アストラルポーチ内部のデンドロビウムの色味をイメージに焼き付け、それを強く意識しながら錬成する。

錬成する宝石はディアマンタイト。

それも色味を分けてだ。

錬成したカラーディアマンタイト製デンドロビウムをリオネ様に渡す。

「花言葉は『思いやり』、『天性の華やかさ』です」

あえて言ってないのが『わがままな美人』。

で、だ。

ここでリオネ様にしか渡さなかったら後で問題になるんだよなー。

一歩横にずれ、トレーネ様にも花を錬成する。

作る花はディモルフォセカ。

錬成し、手渡す。

「花言葉は、『すこやかな人』『ほのかな喜び』です」

「あらぁ~、ありがとねぇ~」

あと、『無邪気』。

アーネスト様(クーちゃんのパパで皇太子様)にはルドベキア。

花言葉は『公正』『正義』。

アーネスト様のお隣。

国王様と王妃様の長女、クリスティナ様。

失礼だけど、めっちゃエロティックな人。

渡した花はカイドウ。

花言葉は『温和』『美徳』、そして妖艶。

その横一列の王族に渡した後、国王様(実は王族の中でクーちゃんの次に親しかったりする)に視線で尋ねると手招きされた。

失礼を承知でさきに王妃様に花を作って渡す。

カトレア。花言葉は『優美な貴婦人』『成熟した大人の魅力』『魅惑的』。

そして国王様にキングプロテア。

花言葉はまさしく『王者の風格』。

「国王様、最後にこの国にこの花を捧げます。
スイセンノウ。花言葉は『強国』です」

国王様の前で一礼。

「見事! 見事であったぞシラヌイ・シュリッセルよ! その幼さでこれほど精巧な宝石の花を作る才能誠に見事である!」

と威厳ある声で長々と誉められた。

近くに居るからわかるけど…国王様目が笑ってる。

恥ずかしがる俺を見てたのしんでいるのだ。

隣の王妃様も国王様に若干あきれている。

無事王族全員に宝石の花を渡し、魔力枯渇寸前でふらつく体に鞭打ってお母様と戻る。

(シラヌイ、シラヌイ)

お母様に小声で呼び掛けられた。

(ひとまず私の魔力を吸っておきなさい)

お母様に握られた手からエナジー・ドレインで魔力を回復する。

(お疲れ様です。シラヌイ)

「うきゅぅ………」











式典が終わり、場所を移してパーティーが始まる。

「くゃー……」

クーちゃんに呼び出された俺は獣化しておとなしく膝の上で撫でられていた。

曰く、ストレスがたまったからちょっと膝の上でおとなしくしていなさい、だそうだ。

「きつね君、お疲れのようだな」

「くゅー」

ドレス姿のシャクティがやって来た。

「あらシャクティ」

「姫様、本日は…」

「いいわよ、いつも通りで」

「ですが…」

「私より先にシラヌイに声をかけた時点で何をしても一緒よ」

「そうか、わかったよクーコ」

暫くクーちゃんとシャクティが話していると、クリスティナ様が来た。

シャクティが礼をする。

「面をあげなさいアーグロ嬢。わたくしは姪の友人にどうこう言うつもりはありませんよ」

「は」

シャクティが礼をやめる。

僕はどうしたらいいだろうか。

「こんばんは、シラヌイ様」

そう言って、クリスティナ様が僕に手を伸ばす。

頭を撫でられた。

「うーん…いい毛並みですね。抱き枕にしたいくらいです」

「くゅー…」

「ああ、立つ必要は無いですよ。堅苦しいのは先の式典で終わりです」

尻尾をもふもふしながらクリスティナ様が続ける。

「それに、表面上はともかくとして貴方の方が立場は上なんですよシラヌイ様」

「うきゅー?」

どういうことなの?

僕が王族より立場が上?

ここはフライハイト王国。

なのにフライハイト家より上?

「不思議ですか? 建国の英雄にして千年王国フライハイトの主であるタマモ様のお孫さんなのですから」

建国の英雄? 千年王国フライハイト?

「これ、クリスティナ。余計な事を儂の孫に吹き込むな」

いつの間にかクリスティナ様の背後にお婆様が居た。

「儂にはそんな権力など無い」

「お戯れを……。元老院は貴女の部下でしょうに」

「相談役じゃからな。国政への助言機関である元老院を統率するのは至極真っ当じゃろ」

クリスティナ様がくすりと笑った。

「シラヌイ様。貴方が国を欲したならば、いつでも協力いたしますよ」

そう言って、クリスティナ様は歩いていった。

「くゅーん?」

「ああ…。あれは王族嫌いの王族の典型じゃな」

「きゅー?」

「王族故に、かのぅ。じゃからクリスティナは未だに未婚じゃしな」

そんな物か…。

「クーよ、お主はああなるでないぞ」

「大丈夫です。私にはシラヌイが居ますから」

「さよけ…」

お婆様は国王様の所へ行った。

暫くするとメリーちゃんとセンマリカさんがクーちゃんに挨拶しに来た。

センマリカさんが会長を務めるアリエーソ商会はフライハイト王国最大手の服飾ブランドだ。

貴族向けの高級品や一般向けの量産品。

果ては金属鎧のインナーなどの布製軍需製品や官品、布製中間製品まで。

故にセンマリカさんがここにいるのはおかしくないのだ。

いやマジで恐ろしい話だ。

もしセンマリカさんの機嫌を損ねればフライハイト王国のさまざまな産業が頓挫しかねないのだから。

「むぅ……今日は、譲っておいてあげる。オヒメサマ」

「フン…。シラヌイは誰の物でも無いぞ」

俺の頭の上でクーちゃんとメリーちゃんがバチバチしてる……。

「おいおい。そこら辺にしといてやれよお前ら。シラヌイが困ってるぞ」

「きゅぅー」

仲裁に入ってくれたのはボーデンだった。

シャクティは止めなかったかって?

隙を見て俺をぶん盗るつもりだったっぽい。

ガチな目付きでクーちゃんとメリーちゃんの隙を窺っていた。

あんまりもマジだったから衛兵が構えようかどうしようか迷っていた。

ボーデンが俺を抱き上げる。

「くゃー…」

「面倒くせぇなぁ……。もう全員嫁にしちまえよ。そしたら解決すんだろ」

「うきゅ!」

「なぁに。お前の方が偉いんだから大丈夫大丈夫。不敬罪なんてかけられやしねぇよ」

ボーデンまで……。

ここはフライハイト『王国』なんだから。

その後はボーデンも含めて五人でだらだらと話していた。

どうもクーちゃんに貴族避けに使われてる気もしたが、無事にパーティーを終えた。










「シラヌイ様。この後お母様主催のサロンが開かれるのだけど来てみない?」

嘘ですよねクリスティナ様?
 
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