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八条学園騒動記

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第五百七話 無抵抗その八

「戦略もわかっていてな」
「案外まともだったの」
「奴隷解放をし過ぎて芸人好きだった性格が当時のローマ貴族に好かれなかったがな」
「後のはどうでもいいでしょ」
「前は善政だな」
「それが嫌われるって」
「当時のローマの考えだ」 
 当時の彼等の倫理観からネロの行いは好ましくなかったのだ。
「その頃の考えにそぐわないとな」
「嫌われるってことね」
「そして暴君と呼ばれる」
「暴君じゃなくてもなのね」
「死んだ後で色々言われる」
「難儀な話ね、それで君主が好き勝手したら」
「今はとても無理だが」
 そもそもというのだ。
「制約が厳し過ぎてな」
「それで好き勝手すら出来ないのね」
「そうだ、そもそもな」
「それで好き勝手出来たら」
「ある意味凄い人だ」
「琉球王家にそんな人いないわよね」
「どの方も品行方正でだ」
 それでというのだ。
「ステラーカイギュウにもモササウルスにもなれない」
「どっちも無理なのね」
「そうだ、俺としては多少やんちゃな方でも面白いが」
「やんちゃな王様ね」
「酒池肉林を楽しまれる様なな」
 そうした琉球王であればというのだ。
「お酒に美食にハーレムにな」
「ケベックの王様食べるだけだしね」
 美食家というよりは大食漢として知られている、連合ではよく太った王様と呼ばれて親しまれている。
「あの方も」
「至って家庭的で素朴な方だな」
「贅沢もね」
「立派な宮殿にお住まいだが」
「全部儀礼で」
「そうだ、ああしたことは贅沢ではない」
「贅沢は何かっていうと」
 それはとだ、ダンは述べた。
「ステラーカイギュウの様な生活か」
「まあね、確かにゆったり暮らしてるわね」
 ナンが見てもそうだった、今の彼等は。
「のどかに寝て食べてね」
「少なくとも俺達が観ているステラーカイギュウはそうだな」
「贅沢な感じね」
「どう考えているかわかるが」 
 これは動物の心を読む機械を使ってわかる、バウリンガルという二十世紀初期に出た機械が発展したものだ。
「聞いてみるか」
「ちょっとね」
 それならとだ、ナンも応えた、そして二人でステラーカイギュウのコーナーの方に近付いてだった。
 係員の人に話して機械を貸してもらって確かめると。
「もっと食べよう、寝ようで」
「そればかりだな」
「そうね、何かね」
「そうだな」
 まさにというのだ。
「これがだ」
「贅沢ってことね」
「こうした考えでいつもいられるとな」
「窮屈さを感じていなくて」
「ゆったりと過ごせるとな」
「それが贅沢ね、じゃあ」 
 そのステラ―カイギュウ達を見てだ、ナンはダンに話した。
「ステラーカイギュウは私達以上に贅沢ね」
「そうかも知れないな」
 ダンも否定しなかった。 
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