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ある晴れた日に

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131部分:妙なる調和その三


妙なる調和その三

「それも勉強しないといけないし」
「それで図書館に行くのかよ」
「ええ、そうなのよ」
 それが今回の千佳の外出の理由であった。話を聞き終えて大いに納得する正道であった。
「それでだけれど」
「ああ、それでか」
 話を聞いて納得する正道だった。
「だからか。図書館に」
「音橋君はどうするの?」
「俺は家で勉強するからな」
 こう答える正道だった。
「だからな。別に図書館にはな」
「そうなの」
「それで八条学園の図書館か?」
「あそこが一番大きいし」
 千佳はこう答えた。
「だからだけれど」
「そうか。あそこか」
 八条学園の図書館に行くと聞いて少し考える顔になる正道だった。
「あそこはな」
「何かあるの?」
「最近あそこでうちのクラスの奴等多いんだよ」
「そうなの」
「加山とか桐生とかな」
 まず話に出したのはこの面々であった。
「元々勉強できるのもいれば」
「ええ」
「あの東西ドイツの奴等もいるし」
「あの娘達もいるの」
「何か知らないけれど色々やってるぜ」
 胡散臭いものを感じている顔で述べた言葉だった。
「噂によればな」
「何やってるのかしら」
「さあな。あれじゃないのか?」
 ここで己の予測を述べた。
「演劇の出し物の演目調べてるんじゃねえのか?」
「ああ、六月のあれね」
「そうだよ、それじゃないのか?」
 彼が予測したのはそれであった。
「まあ五月のうちに色々とやってな」
「それでなの」
「そうじゃないのか?だって主役あの二人なんだろ?」
「少年と凛ちゃんね」
 明日夢と凛の名前を出す千佳だった。
「あの二人よね」
「随分妖しいカップルだけれどな」
 女同士というだけでそれが醸し出されてしまっているのだった。ここまで来ると本物であった。とかくその関係が疑われだしてもいるのだ。
「あの二人でもう決まってるんだよな」
「まあ大体は」
「それであいつ等で調べてるんだろ」
 正道はまた己の予想を述べた。
「だからなんだろ」
「あそこは本の種類も数もかなりだから」
「だからあんたも行くんだよな」
「ええ、そうだけれど」
 この理由については千佳も同じであった。正道の言葉にこくりと頷く。
「じゃあ今行ったら」
「ああ、多分今はいないぜ」
 だがその可能性は否定する正道だった。
「あいつ等の殆どが甲子園行ってるからな」
「甲子園なの」
「甲子園で阪神対ロッテやってるんだよ」
 まずはこれであった。
「それで京セラドームで横浜対オリックスな。交流戦でな」
「だからいないの」
「そうさ。まあ横浜には勝って欲しいな」
 何故かここでは横浜を応援する正道であった。
「オリックスなんか負けていいからよ」
「巨人だけじゃないの」
「巨人は当然だよ」
 やはりこれは外せなかった。とにかくアンチ巨人しかいないのが一年G組である。
「あそこはな」
「それでオリックスもなの」
「俺はオリックスも嫌いなんだよ」
 実に忌々しげな口調であった。
「あのチームもな」
「どうしてなの?」
「とにかく嫌いなんだよ」
 これを答えにするのだった。
 
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