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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第95話:Panic

レプリフォース大戦が終わってから、数週間後。

エックス達は現在ハンターベースの司令室にいた。

「第17精鋭部隊隊長エックスと申します。」

「第17精鋭部隊副隊長ルインです」

「第0特殊部隊隊長ゼロだ。」

「君達の活躍は聞いている。私は前総監が辞任したために 新たに総監となったシグナスという者だよろしく頼む。」

イレギュラーハンター前総監がレプリフォース大戦のことで辞任し、代わりに現存するレプリロイドで最高のCPUを持つシグナスが総監となった。

「本日から正式にオペレーターとしてハンターベース本部に配属されたエイリアです。」

「エイリア…」

エイリア「これでいちいち研究所とハンターベースを往き来しなくて済むわ…これからよろしくね」

「うん…」

笑みを浮かべるエイリアにルインも笑みを返す。

因みにアイリスはエイリア同様にイレギュラーハンター本部のオペレーターに就任することになった。

彼女は過去のイレイズ事件の際に見習いとしての研修を経験していたため、今では優秀なオペレーターとして活躍している。

彼女がゼロ専属のナビゲーターに指名されたのは、ケイン達が裏から手を回した結果だと専らの噂である。

「あ、そうだ。彼は…この話を受けてくれたかな?」

「…え?ええ、あなたからのスカウトを彼は快く受けてくれたわ…ゲイト、入って来て」

扉が開いてそこから現れたのはルインの友人であり、エイリアの同僚であるゲイトであった。

ハンターベースはレプリフォース大戦でかなり人材難となってしまい、優秀な人材と言うことでルインはゲイトをスカウトしたのだ。

「元レプリロイド工学員のゲイトです。隣のエイリアとは専門は違うけれど同期です。これからよろしく」

「ゲイト!!来てくれたんだ!!いきなりだから無理かなと思ってたんだけど…」

「構わないさ、あんな頭の固いだけの無能共の元にいても僕の才能が腐っていくだけだからね。どうせなら刺激的な毎日を送れそうな場所が良いと思っただけさ…何より友人である君の頼みだからね」

不敵に笑うゲイトを見て、この胆力の強さは心強いなとルインは思う。

「えっと、ルイン…知り合いなのか?」

「うん、友達なの…」

「そうか、初めましてゲイト。俺はエックス、良くハンターベースに来てくれた。これからよろしく頼むよ…頼りにしてる」

「こちらこそ、イレギュラーハンターの英雄であるエックスにそう言われるとは光栄だね。……やはりデータで見るのと実物は違うね、どうかな?僕に君を解析…」

「え?」

「「ゲイト!!」」

「冗談だよ冗談」

ルインとエイリアが思わず怒声を上げると、ゲイトは笑いながら言う。

「嘘だ…目が本気だった」

「エックス、気にしないでね」

「あ、ああ…」

微妙な雰囲気になったので今回はこれで解散となる。

これからは正式の仲間としてエイリアを迎え入れたエックスとルインだが、ゲイトに対してどこか遠慮しているようなエイリアの姿に2人は疑問符を浮かべた。

「ねえ、エイリア…どうしたの?ゲイトに対してどこかよそよそしいけど?」

「彼と何かあったのか?」

「え?…何でもないの、気にしないで」

「嘘、エイリアは嘘を吐く時、俯く癖があるから」

長い付き合いであるルインの目は誤魔化せない。

付き合いの長さが仇となったことにエイリアは深い溜め息を吐いて白状することに。

「私は…彼の造ったレプリロイド…ヴォルファングを…処分したの」

「え?ゲイトが造ったレプリロイドを?」

「そのレプリロイドに何か問題でもあったのか?」

「えっと、ゲイトの造ったレプリロイドは性格的な問題を持っていたの者もいたけど、ヴォルファングは真面目な性格で問題は一切起こさなかった。」

「ならどうして?」

「………彼の造ったレプリロイドは全て優秀だったわ。彼以外では解析出来ないほどの高度なプログラムが使われてその働きは想像を超える成果を修めたの…でもその性能の高さは周囲に危険だと考えられ始めて…そんな中、課題を無視して危険な行動を取るようなレプリロイドも出てきて彼の評価は下がっていってしまった。それでもゲイトは自分の実力を認めてもらうために高性能なレプリロイドを造り続けたわ。勿論、上司の命令を無視してね。そしてある日、事故と見せかけて彼の作ったレプリロイド達は処分されてしまったの。上司の命令だったわ。その時私も何体か…ヴォルファングもそのうちの1体で……」

「どうして真面目なレプリロイドまで処分したの?イレギュラー化もしてなかったんでしょ?」

ルインの問いにエイリアはゆっくりと頷いた。

「ええ、ただ彼の作り出すプログラムが高等過ぎたのよ。解析出来ない部分が多くて使用するのが難しかったの。」

「それだけの事で?…俺達だって未だに解析出来ない部分が多いのに…」

「言いにくいんだけど…彼は最強と呼ばれるエックスとゼロ、ルイン…あなた達を目指していたの。究極のレプリロイドが簡単に解析出来るようなものではまだ偽物だって…だから彼の作ったプログラムは誰にも解析出来ないほど高度な物になっていったの。私なんかより遥かに優秀だったのに…課題をそつなくこなした私の方が昇進。ゲイトの実力は誰にも認められる事はなかった。それからゲイトは孤立していき、ルインがゲイトをスカウトしなければ研究所から去っていってたわ」

「そんなことがあったんだ…でも酷いよね、ゲイト達の事を良く知りもしない癖にエイリアにそんなことさせて」

「全くだよ、あんな頭が固いだけの無能共に僕の子供達を処分されてしまうなんてね…」

「「え!?」」

「ゲ、ゲイト!?あなた何時から…」

目を見開いて何時の間にかこの部屋にいたゲイトを見遣るエックス達。

「君達が長々と話していた時にね。エイリア、別に君のことは責めるつもりはないよ僕は、あの時の君は一介の科学者で上の連中の命令には逆らえない。逆らったら君がイレギュラー認定されていた可能性も否定出来ない…悔しいけどね」

「ゲイト、私は…」

「謝罪は無用だよエイリア、謝罪をしなければならないのは君ではなく無能共の方だ。まあ、ルインのおかげでこうしてハンターベースに配属されたんだ。僕の力を試す絶好の機会でもある。あの無能共は必ず見返してやる…ここで数々の功績を挙げて僕の研究が、夢が正しいんだと言うことを証明してみせる!!」

闘志の炎を瞳に宿しながら自身に誓うゲイトに、ルインは笑みを浮かべた。

「そっか、頑張ってゲイト!!私はゲイトの夢を応援してるからね!!」

「ありがとう、全く…世の中の連中が君みたいに理解力があればいいのに……」

「…でもゲイト、イレギュラーハンターは組織だから…安全性は…」

「それくらい分かってるよ、僕の心配より恋人の心配をしたらどうだいエイリア?彼は戦闘型なんだから」

「え?」

「エイリア、恋人いたの?」

「ん?エイリアはエックスと恋人同士じゃないのかな?」

その言葉に部屋の空気が凍り付いた。

「え?ええ!?」

「な…な、何を馬鹿なことを言ってるのよゲイト!?」

「へ……?」

目を見開くエックスと赤面してしまうエイリア、顔面蒼白になるルイン。

「え?違うのかいエイリア?君はハンターベースから戻ってくる度にエックスの話題を出してくるじゃないか。てっきり僕は君達がお付き合いをしてるのかと…研究所でも精鋭部隊の隊長、エックスと研究所トップのエイリアはエリートカップルだって話題で持ちきりで…君に好意を抱いていた奴らはがっかりして諦めていたからね……」

「そ、そんな事態になっていたの!?」

「エ、エックス…?」

顔面蒼白の涙目でエックスを見つめるルインにエックスは慌てた。

「ルイン!!待ってくれ誤解だ!!俺も初めて聞いたぞ!!?」

「そう言えばみんなも私が復活するまでエックスとエイリアは仲良かったって…」

思わず頭を抱えるルイン。

「ル、ルイン?」

「どうしよう、私、この時程さ、別の意味で自分の行動を呪ったことない。エックスのことは好きだしエイリアとは険悪になりたくないし…」

「………」

「何を悩んでいるんだい?エックスが2人とお付き合いをすれば済む話じゃないか」

またとんでもないことを言い出したゲイトにエックスとエイリアがキッと睨んだ。

「あなたはまた何てことを言い出すの!?」

「そんなこと出来るわけないじゃないか!!人として、いやレプリロイドとしても最低だろう!!」

「あれ?君達は知らないのかい?」

「え?」

首を傾げるゲイトにエックスも思わず首を傾げた。

「君達はちゃんと新聞を読んだ方が良いよ。度重なる戦いで人類の人口と優秀なレプリロイドの数が激減した今、人口と優秀なレプリロイドの数を増やすために複数人との恋愛と結婚が容認されたんだよ。ほら、証拠の先週のカ○コン新聞」

ゲイトが差し出した新聞を受け取り、全員が読み始めた。

「あ、本当だ」

レプリロイドはDNAデータを編集することで子供が設けられ、更に編集元のレプリロイドが高性能な程に性能以外の能力も高くなる(例:ロクゼロ四天王)。

ある意味政府が形振り構ってないとも見えるが、あまり事を荒立たせたくないルインからすれば都合が良いかもしれない。

「17部隊の男性の隊員が喜んでいたのはこのためだったのか!!」

「そう言えばゼロに近寄る女性隊員やオペレーターも増えたわよね…」

アイリスが不安そうにゼロを見ていてエイリアに相談を持ち掛けてきたこともあった。

「よし、もうこうなったら私達も乗っかっちゃおう」

「「え?」」

「私達3人で幸せになろうよ!!」

「ええ!?」

「ルイン!?しっかりするんだ!!こんなふざけた法が長続きするわけ…」

「でもエイリアだってエックスのことを好きみたいだし、私もエックスが好きでエイリアも大切な友達だから険悪になりたくないからこれしかないの!!」

「え…ええ…?」

「はっはっはっ、これにて一件落着だね」

「黙りなさいゲイトーーー!!」

ゲイトの笑い声とエイリアの怒声がハンターベースに響き渡った。

そして数日後、エイリアは自身に宛てがわれた部屋でフォースアーマーの解析をしていた。

いずれこれもサードアーマー同様に、復元してエックスに使ってもらう予定だが…。

「………はあ」

全く解析が進まない。

何故ならエックスとルインとの関係に悩んでいたからだ。

まさかこんなことになるなんて思わなかったし、ルインの乱心でエックスと関係を持つことになった…なったのだが、嬉しいと感じている自分もいるわけで。

「……ああ、エックスと顔を合わせられないわ…」

「やあ、エイリア。資料を貸してくれないかな?おや、どうしたんだい頭を抱えて?」

元凶のゲイトが部屋に入ってきたので、罪悪感云々は置いといてエイリアの機嫌は急降下。

「機嫌が悪いね、何かあったのかい?って、痛い痛い痛い痛い痛い」

「だ・れ・の・お・か・げ・で、私の機嫌が最悪なのかしらね~?」

エイリアは半目でゲイトを睨み、こめかみに青筋を浮かべながらゲイトの両頬を引っ張る。

「あなたのせいでエックスと気まずくなったじゃない!!どうしてくれるのよーーー!!」

「別に法で許可されてるんだから問題ないじゃないか…相変わらず科学者レプリロイドなのかと疑うくらいのパワーだね、ハンターとしてもやっていけるんじゃないかエイリア?」

悪気ゼロのゲイトの言葉にエイリアの怒りゲージは溜まっていく。

「あなたって人はーーーっ!!」

「別にエックスが嫌いと言う訳ではないし、エックスの話題を話す時は研究で新発見した時くらい楽しそうだったじゃないか?正直ノロケかと思う部分もあったしね」

「え?」

「エックスが1人で悩んでいたり泣いていたら放っとけないとか…何でもいいから力になりたいとか…他にも色々言ってたじゃないか?」

「そ、そうだったかしら?」

記憶があやふやなエイリアにゲイトは不敵に笑った。

「これだけ聞かされてるとねえ、君とエックスの仲がただの仲間ではないと自分で言ってるような物だよ」

「数年前の自分が憎いわ…」

「まあ、気にすることはないよ。ハンターベースのみんなも知っているしね……」

「はっ!?」

聞き捨てならない発言に振り返るが、時既に遅しで、ゲイトは目当ての資料を持って部屋から去った。

「な、何でみんなも知っているのよ……エックスは…ただの…仲間…」

脳裏を過るのは最初の大戦からレプリフォース大戦終盤に至るまでのエックスの姿で、思わず顔に熱が集中する。

優しすぎるが故に涙脆く、そして戦士としての凛々しさを持つエックスの姿を思い出して頭を抱え始めた。

「……ああ、もう…これも全部ゲイトのせいだわ」

翌日、エックスと偶然鉢合わせしたエイリア。

「あ、エイリア…」

「あ、あら…エックス…」

互いに言葉が出て来ず、凄く気まずそうだが、そこにソニアを連れたルインがやって来た。

「ねえ、2人共。今度ケイン博士の研究所に遊びに行く時、お土産にお茶菓子買っていこうよ。ちゃんとケイン博士達にも伝えないとね。ライト博士へのお土産はどうしようかな?今のライト博士はホログラムだからお茶菓子のデータが良いかな?ねえ、2人はどう思う?私としてはこのプログラムデータ用水羊羹セットが良いと思うんだけど?」

「ルイン…」

「あなた順応性高すぎよ…」

「?」

引き攣り笑いを浮かべる2人に首を傾げて疑問符を浮かべるルイン。

因みに周囲はエックス達の仲を祝福してくれた。

やはりレプリロイドはこの法は政府…人間が決めたことと言うことで納得しているようだ。

「やっぱりお似合いよねあの3人」

「畜生!!やっぱり美人は顔ってことかよ!!俺だって!!」

「エックス隊長は誠実な人だし、下心ありありのあんたと比べること自体が間違ってるわ」

「違いない」

「きっとエックス隊長なら副隊長とエイリアさんを平等に愛してくれるはずよ!!」

「いいなあ、副隊長とエイリアさん…」

「なあ、なら俺と」

「お断りします(即答)」

「うわあああああ!!!(玉砕&号泣)」

「俺達から見ても納得の形で収まってくれたよなホーネック」

「そうだな、ビートブード。正直あの3人でないとな」

「俺も良かったですよ、あの3人が気まずくなるなんて見たくないし」

「そうね、幸せになって欲しいわ」

「ゼロ隊長もアイリスさんと言う恋人も出来た事だし、良いことが連続で起きているなあ」

「とんでもない事件が起こる前兆だったりするかもしれないわね…」

「恐ろしいことを言うなよ…もう戦争とか事件はもうこりごりだぜ…」

周囲が嫉妬やら暖かい視線をエックス達に向けて来る。

「何か…周囲にも何時の間にか知れ渡っているし…みんな受け入れてるみたい…だな」

「え、ええ…」

自分達の反応がおかしいのかと思わず頭を抱えそうになるエックスとエイリア。

「私は嬉しい。私はエックスもエイリアも大好きだからみんなが認めてくれて…凄く嬉しい」

「「…………」」

ルインの言葉にエックスとエイリアは互いに顔を見合わせてフッと笑った。

実際にエックスとエイリアも互いに仲間で片付けるには近すぎる存在だと感じ始めていたのでこんな形でのスタートだが、一緒に未来を進んで行くのも良いのではないかと思い始めた。

「エックス、こんなスタートだけどよろしくね」

「こちらこそ」

「ふふふ…」

悩むのも馬鹿らしく感じたのか、エックスとエイリアも互いに笑みを浮かべた。

そう言えばゼロは今頃どうしているのか。

「………」

「あ、ゼロ…そこタイプミス」

「むっ、すまん」

シグナスに提出する書類作成中、ミスに気付いたアイリスが指摘するとゼロは慌てて訂正する。

書類関係の仕事が苦手で出来ない訳ではないのだが、やはり性分なのか体を動かしている時が良いらしく、書類仕事が終わった時はすぐにトレーニングルームに直行する。

「……これで完成だ。」

「お疲れ様ゼロ。私はこの書類を総監に提出してくるわ」

「ああ、トレーニングが終了したら昼飯を一緒に摂って、その後は…ん…?」

「ゼロ」

部屋に入ってきたのはエックス達だった。

「何だ?何か用か?」

「そう言えばゼロとアイリスに伝えないといけないなーって」

「「?」」

「私とエイリアはね、エックスとお付き合いすることにしたの」

ルインはゼロとアイリスに自分達の仲を教える。

「ええーーーっ!!?」

まさかの複数でのお付き合いにアイリスは驚き、ゼロは一瞬目を見開いたものの、すぐに頷いた。

「そうか、良かったな」

「……何も言わないのか?」

「そう言う法が出来たのは知っている。それにエックスを支えるにしてもルインだけではな」

「ちょっと何それ?」

まるで自分がエックスに相応しくないと言われたようでブスッとなるルイン。

「勘違いするな、ルインも確かにエックスの支えになる。ルインはエックスと同じ視点でエックスの状況を見ることが出来るが、エイリアのような冷静さがない。エイリアのように冷静さと別の視点でエックスの状況を見て支える存在がいると言うのも重要になる。俺としても安心出来るしな」

「な、成る程」

ゼロの説明にルインは頷いた。

そしてゼロの隣にいるアイリスを見てゼロに尋ねる。

「そう言えばゼロ、沢山の女の子に近寄られてるらしいけど…どうなの?」

「っ!!」

その言葉にアイリスの肩が少し震えた。

「「ルイン!!」」

その質問にエックスとエイリアが怒る。

「だ、だって気になるし…」

「関係ない、俺にはアイリスがいるからな…その、俺には彼女がいれば充分…だからな」

「ゼ、ゼロ…!!」

「へー、アイリス。私のお兄ちゃんをよろしくね。」

「な、何か意味深に聞こえるんだけど?」

「実際深い意味があるからね、私達はライト博士に挨拶してくるよ」

「ああ、気をつけてな」

取り敢えずソニアを連れてハンターベースに最も近い場所に移動するとライト博士のカプセルが出現した。

『久しぶりじゃのうエックス』

「はい、ライト博士も」

[お祖父ちゃんだ~]

「お久しぶりですライト博士」

『ルインとソニアも元気そうで何よりじゃ…それからエイリアもよく来てくれたね』

「は、はい」

「あ、これは心ばかりですけど」

『おお、これはご丁寧に』

お茶菓子のプログラムデータをインストールされたライト博士は確かにお茶菓子の詰め合わせを受け取った。

[美味しそー]

「こらソニア!!それはライト博士へのお土産なんだから、めっ!!」

[ぶーーーっ!!]

『はっはっはっ、構わないよ。ソニア、後で一緒に食べよう』

[わーい♪]

「すみませんライト博士」

『子供は元気が一番じゃ、食欲旺盛なのも元気である証拠じゃよ』

頭を下げるルインにライト博士は朗らかに笑う。

「ありがとうございますライト博士」

『いや、頑張るのじゃぞエックス。仲間達と共にな』

「はい、あのライト博士に報告があるんです」

『報告?』

「ライト博士は現状の人口減少の打開策はご存知ですよね?」

『ああ、あれか。まさかまた同じような事態になるとは思わなかったがのう』

「え?ライト博士がご存命の時にも似たようなことがあったんですか?」

『まあ、わしが生きていた時はまだ人口に余裕があったから長続きはしなかったがね』

それを聞いたエックスは少なからず安堵した。

取り敢えず過去にも同じような事態はあったらしい。

「そ、それでですね…ゴニョゴニョ…」

『ふむふむ…な、何と……おめでとうエックス。2人もエックスを頼んだよ』

「「は、はい…」」

『そうそう…エックス、孫は期待しても良いのかね?レプリロイドはDNAデータを編集すれば子供を設けられる。設計はわしがしても良いが?…と言うかさせて欲しい』

その発言にエックス達は転けてしまう。

「ラ、ライト博士!いきなり何を言い出すんですか!!大体孫ならソニアがいるじゃないですか!!」

『エックス…孫は何人いてもいいんじゃ。流石に人ならざる身では孫を抱くことは叶わん。しかし、見て話すことは出来る。そしてわしの夢は世界平和じゃが、その孫と戯れることが今のわしの平和以上の夢なのじゃよ。…エックスよ、お前はわしから奪うというのか!?息子夫婦の孫と戯れたいというささやかな夢をこのわしから!!?』

「あ、あの…その…」

「うう~」

「き、稀代の天才科学者も孫が欲しいと思うのは変わらないのね…」

何故か正座をさせられて熱弁を受ける羽目になったエックス達。

因みにソニアはお昼寝していた。 
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