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大阪の山姥

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第四章

「あとカツ丼も。塩辛とかで日本酒の晩酌もいいですね」
「やっぱり親父だな」
「そうですか?」
「二十四でそこまで完成された親父か」
 もう死語だが琢磨は親父ギャルという昔聞いた言葉も思い出した。
「それでお昼は牛丼か」
「お腹に一気にたまって元気出ますから」
「その発想も親父だな」
 心からやれやれと思う琢磨だった、だが牛丼は確かに悪くないと思ってそれでだった。
 ふと目に入った全国で展開している牛丼のチェーン店に入ってだった、二人共特盛つゆだくに卵も注文してだった。
 二人で食べはじめた、早い安い美味いはこうした店の売りなので注文してすぐに来たのですぐにそう出来た。
 琢磨は自分の牛丼を食べつつ自分の横で食べている舞美に尋ねた。
「牛丼に生卵入れたな」
「紅生姜も乗せて」 
 舞美はそちらも忘れていなかった。
「それで掻き混ぜて」
「美味い食い方だな、けれどな」
「この食べ方もですね」
 舞美は丼を左手に持って右手の箸で牛丼を口の中にかき込みつつ話した。
「女の子らしくないですか」
「俺より親父だろ」
「漫画や映画の趣味も」
「作る料理もな」
 これは聞く限りでだ。
「晩酌の酒も肴もな」
「それで今の食べ方もですね」
「親父だな」
「そうですか、私親父ですか」
「中身はな、それがどうもな」
 折角の美人がと言うのだった。
「まあ悪人じゃないしな」
「いいですか」
「そのうちいい相手も見付かるだろ」
「それ先輩ですか?」
「馬鹿、俺はもう結婚してるよ」
 琢磨は食べつつ舞美に怒った顔で返した。
「だからな」
「私にはですか」
「何もしないさ、ただの仕事の後輩だよ」
「そうですか、ちなみに私浮気とか不倫嫌いです」
「なら余計にいいな」
「ついでに言うと今フリーです」
「ならさっさとその相手見付けろ」
 こう舞美に言うのだった。
「やっぱり交際してとか結婚っていいからな」
「そうなんですね」
「ああ、相手見付けろ」
「そうしますね」
 舞美は牛丼を勢いよく食べつつ琢磨に応えた、そうしながらだった。
 ふと前を見るとそこに一人の老婆がいた、大阪特有の豹柄のシャツの上に紫のラメ入りの上着を羽織っている。 
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