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ある晴れた日に

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125部分:谷に走り山に走りその二十一


谷に走り山に走りその二十一

「何か知らないけれどな」
「やっぱりね。自分からするから」
 そのうちの一人である明日夢がこう正道に話す。
「何でも。だからそういうのを見ていたら自分もって思うのよ」
「ああ、そういうことか」
 それを聞いて納得する正道だった。
「そういうことならな、わかるぜ」
「そうよ。何か中学校は違うけれど」
 明日夢は今度は微笑んで未晴を横目で見て述べてみせた。
「竹林のこと頼りに思えてきたわ」
「少なくとも西ドイツってよ」
 野茂が六人全体を見て言った。
「竹林がいないとまとまらないって感じだよな」
「ああ、そうだよな」
 その彼の言葉に坂上が応える。
「そういう感じ、あるよな」
「一応赤は柳本だけれどな」
 それぞれの制服のブレザーの色と所謂特撮の戦隊ものを意識しての言葉である。多くの場合リーダーは赤というのが戦隊だからである。違う場合も最近は多いが。
「それでもな。やっぱり」
「竹林がいないとこの連中ってな」
「言われてもちょっとそれは」
「否定できないっていうか」
 早速奈々瀬と凛が困った顔になっていた。
「まあ。小学校の時から一緒だったし」
「よく考えたらその時から?」
 挙句には自分達から言う始末であった。
「未晴に頼りきりって」
「だから奈々瀬、それ言ったら」
 凛はさらに困った顔で奈々瀬に言った。
「そのまんまじゃない。私達って」
「そりゃ未晴にはいつも助けてもらってるけれど」
「やっぱり」
「っていうか御前等慌て過ぎ」 
 さりげなく正道が突っ込みを入れた。
「大体その通りならそれでいいじゃねえかよ」
「それでいいって?」
「どういうこと?」
 今度は五人で一斉に正道に顔を向けての言葉だった。
「まあこれってよ。竹林次第だけれどよ」
「私は別に」
 その未晴からはこういう返答だった。
「いいけれど。頼りにしてもらってるのなら嬉しいし」
「まあそういうことだな」
 彼が言いたいのはそういうことだった。
「頼りにするのも友達じゃねえのか?」
「頼るのも?」
「それでいいの?」
「竹林が困った時御前等どうしてた?」
「そんなの決まってるじゃない」
「そうだよ」
 咲と春華が少しむっとした顔で正道に言い返してきた。
「その時はすぐにフォローよ」
「未晴泣かした奴いたら速攻でギッタンギッタンしてやったよ」
「流石にそりゃやり過ぎだと思うがな」
 さりげなく春華の行動には突っ込みを入れる正道だった。だがとりあえず彼女も未晴を大切に思っていることはわかったのであった。
「まあとにかくだよ」
「ええ」
「これでわかったよな」
「そういうものだよな」
 またこう言う正道だった。
「友達ってよ」
「随分またわかった言葉ね」
 静華は正道の言葉を聞いていてこう思うのだった。その思ったことを実際に口に出して言ってもみせる。
「何でまたそう考えてるのよ」
「歌詞でな。考えてるんだよ」
「そうだったの」
「ああ。だからだよ」
 こう静華達に言葉を返すのだった。
「考えててな」
「で、私達それでいいの」
「何て言うか」
 静華と凛の言葉は自分達を自覚して少し後ろめたい感じになっていた。
「未晴に頼りきりで」
「助けられてばかりだけれど」
「それは竹林も同じだろ?」
 だが正道はこう彼女達に述べるのだった。
 
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