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ポケットモンスター〜翠の少年の物語〜

作者:V・B
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第三話

 
前書き
どうも、冷静に考えたら、週一万字って相当狂ってるなーと、他人事のように考えてます。一日千五百字なら、まだ許されるかなぁ? 

 

「おお、ユウキ!丁度いいところに!」

 センリさんは少しだけ嬉しそうな顏をすると入ってきた白い髪の……いや、白を基調とした縁が緑色のニット帽を被った男の子を手招きする。

「この子は、ミツル君。訳あって、これからポケモンを捕まえに行くんだ」
「ふーん…………俺はユウキ。今日ミシロに越してきたんだ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします……」

 センリさんに紹介されたユウキさんは僕に向かって手を差し出してきた。僕は遠慮がちにその手を取った。
 僕より背の高いユウキさんは若干大人びて見えた。本当に僕と二つしか違わないのか、そんな落ち着きが見えた気がした。
 ……って、あれ?

「今日越してきたって……?」
「ん?ああ、俺と母さんはジョウトに住んでてな。それまでは親父が一人でこっちに住んでたんだけど、何やかんやあってな……」

 と、僕の手を離して、少し恨めしそうにセンリさんの顔を睨み付けるユウキさん。どうやら、センリさんとの間で色々あったらしい。センリさんは少し目を逸らしていた。

「……お疲れ様です」
「あぁ……ありがと」

 ユウキさんに同情の目を向ける僕。ユウキさんは僕の顔を見て、溜め息をついていた。

「と、ともかくだな……ユウキ、私はこれからリーグの会議に出なければならないんだ。だから、ミツル君に色々と教えてやってくれ」
「……は?」

 センリさんは話を逸らそうと本題に入ったが、余計にユウキさんは怪訝そうにセンリさんを睨み付けていた。と言うかセンリさん、伝えるタイミング悪すぎでしょう?

「ジムへの挑戦はもう少し待ってくれ。ある程度実力が付いたら、バトルしようじゃないか」
「待てコラ親父。話を進めるな。バトルするけど、色々と足りなさ過ぎるだろ」
「ジムの鍵は閉めたら母さんに渡しておいてくれ」
「せめてテメェで閉めろよおい」
「冷蔵庫のプリンはケッキング用だから食ったらダメだぞ?」
「親父のケッキングは相変わらずか……いやそうじゃなくて」

 何か言葉を発する度に、息子であるユウキさんからの視線に怒りの色を混ぜていくセンリさん。軽く話を聞いただけだが、どう考えてもセンリさんの立場が弱すぎる。いったいどれだけのことをしたのだろうか。

「おっと!もう行かなければ!会議に遅れる訳にはいかないからな!これ、ジムのカギ」
「後で覚えとけよオイ」

 悪態をつきつつ、渋々といった感じでカギを受け取るユウキさん。

「なんだ?ミツル君に教えるのが嫌なのか?」
「ちげぇよ。単純にいきなり言ってきた親父に腹立ててるだけだから」
「それじゃ、行ってくるミツル君によろしく」

 これ以上傷口が広がることを防ぐためか、センリさんはそそくさとジムを出て行った。
 ジムの中には、さっき知り合ったばかりの僕とユウキさんの二人だけになった。

「ったく…………親父も人使いが悪い……」
「す、すいません…………」
「ミツルは悪くねえよ。新人トレーナーにいろいろ教えるのは当然のことだからな。まあ、俺もこっちに来て初めてポケモン持ったけどな」

 ユウキさんはそう言いながら、ばつが悪そうに頭をかいていた。
 僕の方はと言うと、ユウキさんの意外な事実に目を見開いていた。

「そうだったんですか?」

 てっきり、ジムリーダーの息子なんだから、僕の歳ぐらいにはもうとっくに自分のポケモンを持っているものだと思い込んでいた。

「あぁ、まぁ……親父と色々あってな」

 ユウキさんはそう言うと、さっきセンリさんが出て行った扉を忌々しそうに見ていた。最早、好感度の欠片も見当たりそうにない。

「あ、あはは…………」

 僕は、笑うしか無かった。

「はぁ……さてと……んじゃま、早速ポケモン捕まえに行くか。ポケモンは、俺のを貸すよ。一番近いとこだと……百二番道路か」

 ユウキさんはため息をつくと、僕の方に向き直って軽く笑いかけてきた。

「はっ、はい……!」

 対する僕は、少し緊張してきていた。憧れのトレーナーになれる、待ちに待った、自分のポケモンを手に入れるという事で、興奮してきていた。

「そんな緊張すんなよ……ほら、さっさと行くぞ」

 ユウキさんは呆れたように言うと、ジムの出口の方に向かって歩き始めた。

 その背中は、同年代とは思えないほど、大きく見えた。







─百二番道路─







「……お前さ、ポケモンに嫌われてるんじゃねぇの?」
「はぁっ……はあっ……どうっ……かん……ですっ……」

 僕らは百二番道路にやって来て、一心不乱に草むらの中を歩き回っていた。ユウキさん曰く、野生ポケモンは草むらを歩いていたら飛び出してくることがある、らしい。
 しかし、かれこれ一時間近く歩き回っているけれど、一向に出てくる気配がない。

「こんな事、今まで無かったんだけどなぁ……ミツル、大丈夫か?つかれてねぇか?」
 
 あまりにも出なかったから、僕らは近くにあった広いスペースで休憩していた。ユウキさんはピンピンしていたが、普段外を歩き回らない僕には、かなりしんどかった。

「はい……少し、落ち着いてきました」

 何回か深呼吸を繰り返して、荒くなっていた息を落ち着ける。

「そっか。しかっし、いくら何でもおかしい……普通なら、草むらなんて野生のポケモンの宝庫……飛び出してこない、ならまだ分かるけど……気配も無いってのはなぁ……」
「そんなにおかしいんですか?」
「ああ。おっ……ダマキ博士が食いつくレベルだ」

 ユウキさんは軽く噛んでいた。やはり、ユウキさんも疲れているのだろうか。
 しかし……。

「オダマキ博士と言うと……ミシロタウンに居るポケモン博士でしたよね?」

 この世界にいる人の中では、少し変わった部類。未だに謎の多い生物であるポケモンの生態や特徴、起源などを調べようとする人たち。それが、ポケモン博士と言われる人達。世界的権威であるオーキド博士や、ジョウトのウツギ博士なんかがそうだ。

「ああ。あの人、フィールドワークに良く出かけてるらしくてな。ホウエンなんかは自然豊かだから、丁度いいだろうさ」
「……気に入りました?」
「おう。話に聞くより数倍いい所だ」
「そう言って頂けると、うれしいです」

そう言ってニカッと笑ったユウキさんを見て、ほっと胸を撫で下ろす。ホウエンを気に入ってくれたこともそうだけど、何より、センリさんから聞いてたより、ずっと話しやすい人だったからだ。ますます、センリさんとの関係が冷え込みすぎているのではと、部外者ながら不安になる。

「さてと……そろそろ再開するか」

 ユウキさんはそう言うと、腰掛けていた岩から立ち上がる。

「はい。早いとこ捕まえないと、日が暮れちゃいますもんね」

 僕もそれにならうように立ち上がり、お尻をぱんぱんとはたき、汚れを落とす。

 そんな時だった。










『………………す……………………て…………』









 どこからか、そんな声が聞こえてきたのは。

「………っ!?」

 僕はバッと当たりを見渡す。相変わらず、草むらの中にポケモンの気配はない。

「…………どうした?」

 いきなりそんな動きをしだした僕を、怪訝そうに見つめるユウキさん。

「いや…………何か声が聞こえた気がしたんですけど……」
「あ?俺にはなんにも聞こえないぞ?」
「……気のせいかな…………」

 否定されてしまっては、僕も引き下がるしかない。空耳なんて、良くある話で──。












『た…………すけ……………………てっ………………!』











 今回ばかりは、どうも違うらしい。
 先程よりもはっきりとした、助けを求める声。最早、疑う余地もなかった。

「っ!!」

 気が付いたら僕は、今までほぼしたことのない全力疾走を始めていた。

「お、おい、待てって!!いきなりどうしたんだよ!?」

 後ろの方から、僕を追いかけてくるユウキさんの声が聞こえてきたが、返事をしている暇はない。
 僕は、自分が走っている方向が合ってるかどうかもわからないまま、声の主を探し出そうとしていた。
 しかし、僕は信じて疑わなかった。
 その声の主が、他の誰でもない、僕自身に、助けを求めているのだということを。














 ──そしてたどり着いたのは、ちょっとした池の前だった。すぐそこには、隣町であるコトキタウンの入口が見える。
 池の中にも、水タイプのポケモンが沢山住んでいるのだろうが、僕の意識から、池の存在は消え去っていた。
 僕は足を止め、池の前に広がる光景を見て、言葉を失っていた。

「おいっ……一体何が…………っ!?」

 少しして僕に追いついたユウキさんも、僕と同じように言葉を飲む。














 目の前には、全体が白っぽくて緑色の頭をした、小さなポケモンが、全身びしょ濡れな上、傷だらけの姿で倒れていた。












 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。もう既に原作とは違うところが出てきております。しかし、この程度の違いなど、まだまだ序の口……プロット見せた友人に「頭おかしい」と言われる展開は、これからだぜぃ?はい、程々に頑張ります。
あ、もしかしたら来週は、投稿できない可能性が幾らかあります。新生活ですので……できなかったら、ごめんなさい。

それでは、また次回。 
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