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星河の覇皇

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第七十部第三章 作戦発動その二十一

「収入にはつながらない」
「銃を買うことと同じですから」
「何の産業にも結びつきません」
「軍需産業にしましても」
「あれは採算のいいものではありません」
 設備と技術双方への投資に莫大な予算を常にかけなければならないが市場は限られている、その為連合でも軍事産業はあまり身入りがよくない。
 それでだ、マクレーンと劉もこう言うのだ。
「軍隊の予算が少なくて済むならです」
「それに越したことはありません」
「そう思っているからこそですね」
「各国も軍事費を減らしてですね」
「各国軍も数を減らしています」
「そうしt4えいますね」
「元々連合は内政の国だ」
 それによって栄えてきた国であるとだ、バールは看破した。
「開発と開拓で発展してだ」
「技術も進歩し続け」
「豊かになり続けてきました」
「外敵がエウロパ以外いなかったですし」
「確かに内政一辺倒ですね」
「そして栄えてきているのは事実でだ」
 軍事についての考え方もというのだ。
「どうしても軍事費はだ」
「少ないならそれでいい」
「そうした考えがありますね」
「事実軍事費は少ないに越したことはありません」
「他の分野の生産性のある方面に予算を使えますから」
「その通りだ、しかし今の各国軍が警備隊程度の戦力でしかないのなら」
 このことについてだ、バールはさらに話した。
「我々としてはだ」
「我々だけで戦うしかないですね」
「各国軍には後方に回ってもらいましょう」
「治安回復やコミュニティの防衛にあたってもらい」
「後ろを固めてもらいますか」
「予定通りな、確かに関係は円満ではないが」
 実は中央政府軍と各国政府軍は円満な関係かというとそうでもない。それぞれの縄張り争いや所属の違いによる感情的な対立があるのだ。
 それでだ、バールも言うのだ。
「それでもだ」
「今回は、ですね」
「戦闘以外の任務をしてもらいますか」
「戦闘は我々が受け持ち」
「そのうえで」
「そうしていく、もっとも各国軍もだ」
 その彼等もというのだ。
「戦争で死ぬのは遠慮したいらしくな」
「それでいいとですね」
「納得してくれていますね」
「戦争で死なないに越したことはない」
 実に率直な考えをだ、バールは述べた。連合では軍人は警察官や消防署員の様に考えられていて仕事はあってもそれで死ぬないことがベストという考えが強い。北欧神話のヴァルハラの様な考えは間違っても存在していない。
「だから各国軍もだ」
「今回の後方担当に不満はない」
「そうなのですね」
「そうだ、だから我々は我々の仕事に専念しよう」 
 その死闘にというのだ。
「是非な、ただ各国軍とは」
「今の関係はよくありませんね」
「どうしても」
「各国軍同士のそれもだ」
 三百以上の国がそれぞれ軍隊を持っているのだ、その各国軍同士で関係が微妙であったりもするのだ。
「よくない」
「連合の伝統ですね」
「どうしても各国同士の軋轢がありますね」
「各国と中央政府もそうですし」
「中々難しいものがありますね」
「この国の宿痾がだ」
 その中央政府と各国、そして各国同士での衝突が絶えない。それが軍隊にも色濃く影響しているのである。 
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