| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百七話 無抵抗その四

「そしてシロクマの肝臓はな」
「虫が特に多いのね」
「いや、ビタミンAが異常に多い」
 この栄養素がというのだ。
「煮ても焼いても多過ぎる位にな」
「ビタミンだといいじゃない」
「多過ぎる」
「ああ、多過ぎて毒になってるのね」
「何でも過ぎると駄目だ」
 薬も過ぎると毒んある、そうしたことだというのだ。
「だからだ」
「毒になってなのね」
「食べると下手をすれば死ぬ」
「それは大変ね」
「だから寒い地域の人は食べない」
 ホッキョクグマを食べてもというのだ。
「絶対にな」
「ううん、私のいた草原に熊はいなかったから」
「よくわからないか」
「ホッキョクグマのことはね」
「そうか、熊自体をよく知らないか」
「ソウゲングマっているけれど」
 草原で暮らしている熊だ、星によってはこうした生物も棲息しているのだ。
「私の住んでた星にはいなかったから」
「だからか」
「熊自体に縁がないし熊のお肉もね」
「食ったことがないか」
「こっちに来て一回食べたわ」
 それからだというのだ。
「ちょっとね」
「そうなのか」
「缶詰でね、けれどね」
 それでもとだ、ナンは話した。
「あまり美味しいとはね」
「思わなかったか」
「ええ、だからホッキョクグマのお肉も」
 それもというのだ。
「目の前にないと食べないでしょうね」
「そうだな、かく言う俺もな」
「ホッキョクグマ食べたことないのね」
「俺の街は暑い場所にある」
「ホッキョクグマは寒い場所の熊だし」
「一応スーパーにあるが」
 それでもというのだ。
「どうもな」
「食べる気がしなくて」
「殆ど食ったことはない」
「殆どってあるのね」
「あるにはあるが」
 それでもというのだった、ダンにしても。
「あまり積極的に食べるつもりはない」
「そういうことなのね」
「ああ、特に肝臓はな」
「食べることはしないわよね」
「若し売っているとだ」
 ホッキョクグマの肝臓、これはというのだ。
「犯罪になる」
「毒だからよね」
「そうだ、生は問題外だしな」
「そもそも虫がいるから」
「しっかり冷凍した保証がないと出せない」
 純粋な生で出せばこちらも犯罪となるのだ、このことはやはりほぼ確実に寄生虫がいるセイウチの肉も同じだ。
「そして特に肝臓はな」
「煮ても焼いても危険だから」
「出すと犯罪だ」
「だから肝臓は食べないのね」
「そもそもな、ビタミンも本当に多過ぎるとな」
「毒になるってことね」
「そういうことだ、しかしイヌイットの人達は食っていたかもな」
 そのホッキョクグマの肝臓をだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧