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南の島の吸血鬼

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第二章

「軍隊の基地はなくて」
「海軍の港はパラオ本島の港やな」
「そこにありまして」
「軍隊は最低限か」
「陸軍がほんの少しですなあ」
「警察がおっても少しか」
「治安を守る位、冒険者は」
 こちらはというと。
「ギルドはあっても」
「それでも小さな島やからな」
「やっぱり少ないでしょうな」
「ほな若しも大勢の吸血鬼が出たら」
「危ないですな、まあそんな可能性は少ない、いや」 
 ここでだ、モレイははっとなった。それで言った。
「これは」
「そやな」
「その少ない可能性で」
「若し起こったらな」
 コープチッティも気付いた顔で言った。
「これはな」
「かなり危ういですな」
「そやな」
「それがし今気付きました」
 まさにというのだ。
「このことに」
「わしも今完全にや」
「そうですね」
「何かあるな」
「この島本当にですよ」
 モレイはまた言った。
「吸血鬼いうたら」
「南洋のやな」
「ポリネシアとかその辺りで」
「大蒜や十字架は関係ないな」
「あれキリスト教ですから」
「東欧のな」
「ルーマニア辺りの」
 もっと言えばブラム=ストーカーの小説である。
「それなんで」
「またちゃうな」
「その東欧もあれやないですか」
「そや、吸血鬼の種類多くてな」
「大蒜平気なのもおって」
「昼に活動したりな」
「そこはほんまにちゃいます」
 吸血鬼が夜しか活動出来ないということも誤りなのだ、それは種族によるもので夜は活動しない種類も存在しているのだ。
「そやから」
「この警戒はな」
「ほんまおかしいです」
「あくまで一つの吸血鬼だけやな」
「そこは」
 まさにと言うのだった、モレイも。
「そんな吸血鬼が何で急に出て来たか」
「謎やな」
「そしてその謎はどうして出て来たか」
「これは推理や」
「それがし探偵ではないですが」
 それでもとだ、モレイは言うのだった。
「これは何かあるとです」
「思うな」
「そうです、それがしが思うに」
 モレイはここで洞察力を発揮した、頭脳を専門的に使う職業ではないが彼は勘がいい方で頭の回転も回るのだ。もっと言えばコープチッティも山賊という肉体労働系の職業だが術は使えるし人並の知能もある。二人共起きた世界では文系の成績がいい。
「誰かが限られた吸血鬼の対策を広めてる」
「そっちにばかり目をいかせてな」
「他の吸血鬼への対策を忘れさせて」
 そのうえでというのだ。
「そこで、ですわ」
「他の吸血鬼達で襲う」
「それでこの島を吸血鬼の棲み処にするとか」
「考えてるかもな」
「そうかも知れんですね」
「ほなここは」
「はい、それがし達は」
 まさにとだ、コープチッティは述べた。 
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