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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第88話:Forth Armour

ゼロとルインがそれぞれの行動をする中、エックスはエイリアのナビゲートを受けながらライト博士のカプセルがあると言う市街地に来ていた。

「エイリア、このエリアにライト博士のカプセルがあるのかい?」

『ええ、間違いないわ。エックスのパワーアップパーツと同じ反応がするわ』

「そうか、なら早速探して…」

『エックス…エックスよ』

これはライト博士の声だ。

ライト博士の声が聞こえたのと同時にエイリアの通信が出来なくなってしまうが、エックスは引き付けられるようにライト博士の元に向かう。

「ライト博士…?どうしたんですか博士?」

今までと違い、何処か険しい表情を浮かべているライト博士にエックスは目を見開く。

『エックス、緊急事態じゃ。この事態を何とかするために今回はお主に残りのパーツを授けよう。ヘッドパーツとボディパーツをな』

「ヘッドパーツとボディパーツを一度にですか?」

今まで一度にパーツを渡すことなど無かったためにエックスは目を見開いた。

『左様。まずはヘッドパーツの説明じゃ、このヘッドパーツを装備すれば、敵から得た特殊武器を使用する際に生じるエネルギー消費をほぼ皆無にまで抑える事が出来る。つまり、敵の特殊武器を殆ど無尽蔵に使う事が出来るのじゃ』

「っ!それはつまり……」

つまり武器エネルギーの消耗を気にせずに、存分に特殊武器を扱う事が可能となるのだ。

敵のDNAデータをバスターの端子に組み込み、バスターの予備の武器チップにインストールすることで新たな力を得る能力を持つエックスには実に心強い能力だ。

『しかし、特殊武器のエネルギーの消費を抑えられるのは、通常の攻撃のみ、チャージによる攻撃の消費は抑えられんので注意して欲しい』

「分かりました」

どうやらそう上手い話ばかりではないらしい。

メリットがあれば当然デメリットはある。

しかしヘッドパーツの性能は過去の物より高性能で、エックスとしても喉から手が出るほど欲しいパーツに違いはない。

『このボディパーツはダメージを軽減するだけではなく、以前にお主に授けたセカンドアーマーのボディパーツと同様の機構を備え、敵から受けるダメージをエネルギーとして吸収し攻撃する事が出来るのじゃが、広範囲に攻撃エネルギーを放出するギガクラッシュとは違い、蓄積されたエネルギーを全身に纏い一転集中で攻撃を行う事で、より効率的に敵にダメージを与える事が出来るのじゃ。名付けて“ノヴァストライク”。但し一度使用すると膨大なエネルギーを消費する上にエックスの身体にも多大な負荷が生じる。ここぞと言う時に使用するようにするんじゃぞ』

「分かりました。ライト博士、緊急事態とは一体何があったのですか?」

エックスの問いにライト博士は少しの沈黙の後、非常事態の詳細を話した。

『…ルインがわしの元に来たんじゃ、傷だらけの状態でな』

「ルインが!?良かった…生きていてくれたんだ…」

ルインの生存が分かったエックスは安堵の表情を浮かべるが、ライト博士の表情は険しいままだ。

『ルインのあの精神状態では、そうも言ってられんかもしれんぞエックス』

「え?」

『あの子は今、自分を責めておる。仲間を、バッファリオを助けられなかったと言う自責の念があの子を狂わせておる。あのまま、新しく解放した力を振るい続ければあの子に待つのは滅びの未来だけじゃ』

「滅びの…未来…」

『エックス、あの子を救ってあげてくれ。ゼロや仲間達と共に、それが出来るのはお主達だけじゃ』

それだけ伝えるとライト博士のホログラムは消え、カプセルは元の状態に戻った。

「滅びの…未来…か…」

『エックス…エックス、聞こえる?パーツは入手出来た?』

通信が復活したのか、エイリアの声が聞こえ始めた。

「ああ、ライト博士が残りのパーツを渡してくれた」

『本当に?それは良かったわ…良いわねエックス。あなたはあのライト博士の姿をホログラムとは言え間近で見ることが出来て』

「え?何で?」

『あなたは彼がどんな人物なのか知らないの?ライト博士はロボット工学の父とさえ呼ばれた人物なのよ。現時点で残っている功績でもLITマニュアル・デザイン・コンテスト:5年連続優勝、世界技術大賞:金賞受賞 、ノーブル物理学賞受賞 、他、多数受賞していてあの伝説の大学、ローバート工科大学工学部電子工学科を首席で卒業する程の優秀な頭脳の持ち主なのよ!?そんな彼をホログラムとは言え生で見られるなんて…私達科学者からすれば羨ましいことこの上ないわ!!』

「そ、そうなんだ…(ライト博士ってそんな凄い人だったのか…知らなかったなあ)」

エックスからすればライト博士が生みの親であることが分かっていれば良いのでライト博士の経歴はあまり気にしてはいなかった。

エイリアの解説がまだまだ続きそうだと判断したエックスは苦笑を浮かべたが、カプセルが再起動し、再びライト博士のホログラムが出現した。

「あ、ライト博士!?」

『何ですって!?』

『すまん、1つ忘れていた。フォースアーマーには1つの隠し機能があってのう。本来のフォースアーマーは別のアーマーなのじゃが、あまりの性能故にリミッターを組み込んでフォースアーマーにスペックダウンさせておる。これがリミッター解除のプログラムじゃ、エイリアと言ったかな?』

『は、はい!!ライト博士が…あのライト博士が私の名前を…』

科学者であるエイリアからすれば伝説的な科学者であるライト博士は簡単に例えればアイドルみたいな物なのだろうか?

普段のエイリアの冷静さが失われてしまっている。

『?…このリミッター解除プログラムを組み立て、フォースアーマーに組み込んで欲しい。組み込んだところで直ぐに真の力は使えんがエックスが覚悟を決めた時、究極の力を発揮出来るじゃろう』

エイリアの態度に首を傾げながらもライト博士はエックスにリミッター解除プログラムを渡す。

『エックス!視覚情報を共有させて!!私もライト博士を生で見たいのよ!!』

「え?ライト博士がどう思うかだけど…」

『わしは別に構わんが?』

『本当ですか!?ありがとうございます!!』

その後、エイリアは科学者の永遠の憧れであるライト博士を生で見て普段の冷静さを失ってはしゃぐ姿がハンターベースで目撃されたと言う。 
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