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ある晴れた日に

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10部分:序曲その十


序曲その十

「あの人が一番よ。斉藤隆さんや三浦大輔さんもいいけれどね」
「また横浜なのね」
「本当にベイスターズ好きなの」
 今度は奈々瀬と凛が呆れたように苦笑いになっていた。
「それでも横浜の今シーズンは」
「今でもう滅茶苦茶になってるわよね」
「それに対して阪神はね」
 静華は静華で阪神のことを言う。
「絶好調だしね」
「全く。世の中間違ってるわ」
「まあまあ」
 ここで未晴が微笑んで明日夢を宥めてきた。
「明日夢ちゃん、そんなに言うことないよ」
「そう?」
「そうよ。何だかんだで応援していて楽しいんでしょ」
「まあ。それは」
 こう言われると弱い明日夢であった。やはり横浜は好きであるしそのうえ応援は生きがいだからだ。だからこれは否定できなかった。
「そうだけれどね」
「だったらそれでいいじゃない。応援できるチームがあればそれでかなり幸せよ」
「確かにね。例え巨人でも応援できれば幸せよね」
「巨人でもって」
「ああ、御免」
 ここで一旦謝る明日夢だった。
「ついね。巨人嫌いだから」
「私も嫌いよ。けれど」
「悪く言うのはよくないね」
「というか。横浜応援できればそれでいいじゃない」
「それでいいか」
「うん、いいと思うよ」
 穏やかに笑って明日夢に告げる。
「それでね」
「正直さ。ベイスターズ強くあって欲しいわよ」
 明日夢の偽らざる本音であった。
「負けたら悔しいしね、やっぱり」
「私だってドラゴンズ負けたら」 
 これは未晴も同じだった。ファンなら当然のことである。
「悲しいわ」
「正直これからもベイスターズの勝ち負けで一喜一憂するけれど」
「ええ」
「それでも。明日があるから応援するか」
「雨の日ばかりじゃないってね」
 また未晴が言う。
「ドラゴンズだって弱い時があったしね」
「そうね。それで」
 話が一段落ついたところで客である皆に声をかけてきた。
「どの部屋にするの?」
「ああ、部屋だよな」
「そうよ。まさかここで歌うってわけじゃないでしょ?」
「流石でここでは歌わねえよ」 
 春華が笑って明日夢に言葉を返す。
「カウンターじゃな」
「じゃあ部屋は何処?」
「今何処が空いてるの?」
 咲が明日夢に問う。
「それ次第だけれど」
「ハイパージョイが三つでダムが二つ、セガもあるわよ」
「どうする?」
「セガにする?」 
 女の子達はここで機種から部屋を選ぶことにしたのだった。
「ハイパージョイもいいけれどどうする?」
「ダムでもいいけれどね」
「時間はフリータイムね」
 明日夢の方で手続きをしている。ボールペンでメモに書いていっている。
「それでフリードリンクよね」
「まずは葡萄の飲み物頼むわ」
「グレープサワー?」
「だから葡萄の飲み物よ」
 凛は強引にそういうことにしてしまった。未成年なので酒とは公には言わないのだ。
「それ御願いね」
「わかったわ。それも空いたら持って来るわね」
「うん。それでよ」
 明日夢は注文を受けてからまた問う。
 
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