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殺し合う者達

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第一章

             殺し合う者達
 テレサ=レイエスとマーガレット=マンフィールドはこの時テレサの神託でフィリピンのイロイロに来ていた。だが。
 そのイロイロに入ってだ、テレサはすぐに眉を顰めさせて言った。
「嫌な雰囲気だな」
「ほんまに」
 マーガレットも街の中を見回しつつテレサに応えた。
「何か」
「少し調べるか」
 街をとだ、テレサは言った。
「このフィリピンは私の出身地でだ」
「治めてた国やね」
「こちらの世界ではな」
「南洋が一つの勢力になっても」
「今も基本私が管轄する地域だ」
 政治も軍事もだ。
「それで詳しいつもりだが」
「イロイロってこんな雰囲気やったん?」
「違う」
 一言でだ、テレサはマーガレットに答えた。
「とんでもない」
「そやね」
「よりだ」
 本来のこの街はというのだ。
「明るく賑やかでだ」
「それでなんやね」
「いい街の筈だが」
「何か殺伐として」
「誰かと誰かが肩を触れ合うものならな」
「それだけで喧嘩になりそうな」
「物騒な雰囲気だな、かつてはだ」
 少なくともテレサが神託でマーガレットと共に冒険の旅に出るまではだ。
「人々が肩を叩き合う様なな」
「そんな街やったんやね」
「それが何でや」
 テレサは硬い口調の中に関西弁も入れた。
「こんな状況になった」
「ほなこれは」
「おそらくな」
「神託やね」
「間違いなくな」
 そうだと言うのだった。
「これは」
「ほな街のこの現状の原因をな」
「調べよう」
 まずはとだ、テレサは冷静な目で述べた、そしてマーガレットと共に少し観たり聞いたりするとだった。
 テレサはアサシン、マーガレットはスパイとそれぞれ調査を得意とする職業ということがあってだった。
 すぐに街の異変の原因を把握した、マーガレットは居酒屋でテレサとと飲みながらその原因の話をした。
「急に人が殺し合う事件が頻発してる」
「まさに一日何度もな」
「家族同士が、そしてな」
「道でもな」
「親しい者達どころか顔も知らない者達がだ」
「急に殺し合う」
「そんな事件が頻発してる」
「しかも加害者も被害者も」
 マーガレットは豆料理を食べてだった、それからフィリピンのビールを一杯グイと飲んでからテレサに話した。
「取り調べをしても」
「急にだ」
「殺意が湧いてな」
「殺し合っている」
「突発的に」
「殺す理由がない」
 どの事件でもというのだ。
「突発殺人もある」
「残念ながらな」
「急に何の理由もなくだ」
「狂ったみたいになって人を殺す」
「外道は世の中や何かに妙な憎悪を抱いて街で暴れて無差別に殺すが」
 むしゃくしゃしてやった、相手は誰でもよかったというふざけた事件はこの世界にも存在している。当然犯人を待っているのは惨たらしい死刑を何十回も行い魂も消し去るものだ。 
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