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八条学園騒動記

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第五百六話 イッカククジラの牙その十

「環境保護で政府が上から種を蒔いてくれるのよ」
「草の種か」
「それで遅くても翌年は生えるから」
「だから次の年また来るか」
「そうしてるけれどね」
「家畜の食費はかからないか」
「水族館みたいにね、ただね」 
 それでもとだ、ナンはのどかに改装を食べるカイギュウとその周りにいるオオウミガラス達を観つつ述べた。
「政府の環境コントロールから離れたら」
「過酷な状況になるか」
「ええ、その中にいたら比較的のどかだけれど」
 それでもというのだ。
「外れたらね」
「その外に行くとか」
「結構以上にね」
「まさに昔の草原の民か」
「そうなるわ。まあ政府も遊牧生活保護してくれてるけれど」
「モンゴルだからな」
「遊牧生活を否定したら」
 それがどれだけ銀河の時代から見ると古いと言われるものでもというのだ。
「モンゴル人としてね」
「どうかとなるからか」
「かなり積極的にね」
「援助してくれてるか」
「そうよ、だから私の一家も普通に生活出来てるわ」
「今も草原で暮らしているか」
「そうよ。草原は草原で快適よ」
 ナンはダンに笑顔で話した。
「ナンから一歩出れば大平原」
「ここではない生活だな」
「そうよ、それがね」
 まさにというのだ。
「モンゴルよ。しかしこのカイギュウって」
 ステラーカイギュウについてだ、ナンはじっと見つつ述べた。
「本当に食べてばかりね」
「そうだな」
「それで時々呼吸してるわね」
 水面に顔を出して大きな音を立ててそうしている。
「鯨とは違うのね」
「カイギュウは口で呼吸するからな」
「それでなのね」
「時々ああしてだ」
 口を海面から出してというのだ、もっと言えば頭部全体をそうしてそのうえで呼吸をしている。
「息をしている、あと水はだ」
「真水よね」
「海水は飲まない」
 ステラーカイギュウはそうしているというのだ。
「だからそちらの用意もな」
「しないと駄目なのね」
「コーナーに海水だけじゃなくてな」
「真水が出る場所もなのね」
「用意しないと駄目だ」
「じゃあ川の近くの海にしか暮らせないのね」
「そして寝る時は仰向けだ」
 そうして寝るというのだ。
「腹を水面から出してな」
「そうして寝るのね」
「そうだ」
「それも独特ね」
「カイギュウの中でも特に独特な種類だ」
「大きいだけじゃないのね」
「寒い場所に棲んでいるしな」
 このことも独特だが、というのだ。
「そしてだ」
「真水を飲んで仰向けに寝て」
「そこも独特だ」
「普通海にいたら」
 ナンは考える顔で述べた。 
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