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レーヴァティン

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第九十六話 都市国家達その十一

「略奪ばかりする軍隊とかな」
「誰も好意的に見ないですね」
「敵だって見るな」
「そうです、その様な軍隊がこの島を統一しても」
「民衆の支持は得られないな」
「民を守ってこその軍隊です」
 国とだ、この二つを守るのが軍隊の役割と言っていい。
「そうであるからです」
「略奪暴行はしないか」
「そもそも略奪を防ぐ為に彼等に給与を支払っています」
「それも結構な額のな」
「一人一人に」
「そのうえで規律も厳しくしてるしな」
「なら何かする輩がいれば」
 略奪暴行、軍規軍律に違反する行為を働いた者はというと。
「また申し上げますが」
「処刑だな」
「そうしていきましょう」
「容赦なくだな」
「一罰百戒でもあります」
「一人の不埒者を成敗してか」
「それ以上不埒者が出ることを防ぐ」
 こうなるというのだ。
「ですから」
「厳しくしていくか」
「軍規軍律を」
「そうしていくか」
「是非共。では」
「ああ、行って来るな。補給路はしっかりしてるしな」
 ボローニャまでのそれもというのだ。
「食料や武器もな」
「そっちは任せとき」 
 笑顔でだ、美奈代が言ってきた。
「足らんと見たらや」
「その時はか」
「すぐに送る、資金は充分ある」
 そちらの心配は無用だというのだ。
「飯や武器で困ることはないで」
「それは何よりだな」
「腹が減っては戦は出来んし」
 人間は空腹では何も出来ない、ましてや多くのカロリーを消費する戦争が出来る筈がないことは明白である。
「兵糧は前以てかなり持って行くし」
「足らないとか」
「すぐにローマに人を送るんや」
「そうしたらか」
「すぐに必要なだけ送ったる」
「その手配は出来てるってことだな」
「そや」
 その通りだとだ、美奈代は久志に笑って答えた。
「そやから心配無用や」
「食うことはか」
「そっちのことでも略奪の心配はない」
 略奪は欲望から起こるとは限らない、餓えた軍隊が食料を求めて行う場合もある。これが悪名高きランツクネヒトのローマでの蛮行、サッコ=ディーローマにつながった。
 そのことを知っているからだ、美奈代も言うのだ。
「安心するんや、ただ出来ればな」
「戦争をしてもだよな」
「それはすぐに終わらせる」
「軍隊は動かすだけで金がかかるからな」
「もっと言えば持ってるだけでな」
 まさにそれだけでというのだ。
「随分かかる」
「そや、それだけにや」
「早く終わらせないとな」
「長期戦になる場合もあるけど」
「それでも出来る限りな」
「早く終わらせるに限るな」
「これからはじまるボローニャとの戦もな」
 これもというのだ。
「ほんまにや」
「出来る限りな」
「早く終わらせるんやで」
「そうなる様にするな」
「絶対にな、それとボローニャは大きな街や」
 半島北部でもそうした街の一つである。 
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