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麗しのヴァンパイア

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第百二十二話

                第百二十二話  あらためて話すこと
 小田切君が上杉謙信の話からタロとライゾウにあらためて言った。
「それでお話を戻すけれど」
「うん、文学にだね」
「そっちにだよな」
「博士の言う通りかな」
「完結させないと駄目ってやつか」
「どの作品でも」
「うん、完結させてこそね」
 梅干を一粒食べて種を吐き出して皿の上に置いてまた飲む、もう種の数は結構以上のものになっている。
「作品として命が宿るのかな」
「少なくとも完結させないと言われるよね」
「未完の作品ってな」
「それだけで何か悪い感じがするよね」
「終わらせてないってだけでな」
 二匹も小田切君に話す。
「そう考えるとな」
「博士の言う通りかな」
「そう思うと」
 小田切君は飲みつつさらに言った、もう顔は真っ赤だ。
「博士も正論言ってるね」
「確かに滅茶苦茶な人だけれど」
「破天荒極まりないな」
「けれど正論も言うからね」
「あれでな」
 そうした時もあるというのだ。
「博士は普通の人は殺さないしな」
「民間施設には興味ないからな」
「犯罪者は殺しまくるにしても」
「大量破壊兵器とか造るけれどね」
 その為人類最悪のテロリストとされている。
「文学とかそうしたことだと」
「筋が通っていたりするからな」
「そんな人なんだね、博士のところに来て随分経つけれど」 
 それでもと言う小田切君だった。
「最初はこんな無茶苦茶な人いないって思ったけれど」
「実際に無茶苦茶だしね」
「やること為すことがな」
「けれど普通の一面もあるからね」
「支払いはちゃんとするしね」
「そうしたことは守るしな」
 博士は金銭は普通に手に入れている、錬金術等も使ってそうして生活費や研究費を手に入れているのだ。
「小田切君にも給料支払うし」
「僕達の世話も忘れないしね」
「文学論といい実は」
 まさにと言うのだった。
 小田切君は博士はまともな一面もあるのではと思いはじめた、少なくとも只のマッドサイエンティストではないとだ。そのうえでまた酒を飲む。気付けば酒は一升を越えていたがまだ飲もうとしている。


第百二十二話   完


                 2019・1・9 
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