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神への生贄

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第三章

「それはな」
「獣使いか何かおるな」
「そやろな」
「あれ海賊やろな」
 ロシティーは自分の推測を述べた。
「海賊が大袈裟に出てな」
「それでやな」
「神様って騙ってな」
「村に生贄要求してるか」
「女の子は自分等の慰みものにして男は奴隷みたいにするか」
「人買いに売るか」
「そういうとこやろな、どっちにしろ悪事も悪事や」
 悪事の中でもとだ、ロシティーはさらに話した。
「最悪の部類のな」
「そやな、ほな敵も出てきたし」
 見ればロシティーの予想通りだった、海から柄の悪い男達が出て来た。どう見ても海賊であった。
 それで二人も出てだった、ロシティーはバイオリンを奏で音楽の力で空中に無数の剣や軍勢を出してからだった。 
 海賊達に襲わせそれから魔術師や召喚の術で攻撃を行った、スーンも得意とする時空系の術だけで敵の動きを妨害すると共に。
 果敢に攻めた、そうしてだった。
 二人は海賊達、錬金術師や獣使いまでいた結構な勢力だった者達を全員倒して成敗した、その後で自分達の政権の海洋警察に連絡して彼等を全員引き渡した。捜査の結果この連中は人身売買を行っていた。その罪で全員厳刑となった。
 ロシティーとスーンは無事に村を救った、このことで村人達に篤いもてなしを受けて村の多くのご馳走を出されてだった。
 酒も飲んだ、ロシティーは椰子の酒を飲みながら自分と同じものを飲んでいるスーンに話した。
「一件落着やな」
「この村のことはな」
「この辺りの海賊の掃討もこれまで以上に行うことが政策で決まったし
「万々歳やな」
「そしてわい等はな」
「今こうしてな」
「酒を飲んでな」
「美味いものも食うてる」
 二人共鶏肉を香辛料で味付けて焼いたものに魚料理も食べている、そして椰子以外の南国の果物もだ。
 ふんだんに食べて楽しんでいた、その中で。
 ロシティーの手にあるものが宿った、それは派手な色彩で一見怖いがそれでいて愛嬌も感じられる仮面だった。
 その仮面を手にしてだ、彼はスーンに話した。
「ランダの仮面や」
「自分がもう持ってるバロンの仮面の対やな」
「それになるもんでな」
 それでというのだ。
「これはな」
「自分の芸術センスをさらに高めてやな」
「それでや」
 そのうえでというのだ。
「色々守ってくれもする」
「敵のあらゆる攻撃からやな」
「バロンの仮面と一緒でな」
 それでと言うのだった。
「バイオリンはわいの武器でな」
「指揮棒はその攻撃力を高めてくれて」
「それに加えてや」
「守ってくれるもんがまた一つ手に入ったか」
「それで神託を適えてな」
「自分自身もやな」
「強くなった、全体的にな」
 彼自身もそうなったというのだ。
「これまでよりもな」
「そうなったか」
「そや、それでな」
「明日の朝になったらな」
「出発しよな」
 こうスーンに言うのだった。
「日の出と一緒に」
「そやな僕等にはまだやることがある」
「世界を救わなあかん」
「そやからな」
「明日の朝出発や」 
 次の目的地に行く為にとだ、ロシティーはスーンに笑顔で話した。そうして今は飲み食うのだった。神託を適えたことを喜んで。


神への生贄   完


                 2019・3・20 
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