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神への生贄

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第一章

               神への生贄
 アブドゥル=ロシティーとピプーン=ワフン=スーンはロシティーの神託でインドネシアブル島のナームレア近辺のある港の村に来ていた、その村に入るとロシティーもスーンもすぐにどうかという顔で述べた。
「今時そんな話あるか?」
「ないやろ」
「そやな、生贄とかな」
「神様へのな、というか」
 スーンは首を傾げさせてスーンに言った。
「インドネシアってこっちの世界でもイスラムの勢力強いやろ」
「ああ、ムスリム多いで」
 実際にとだ、ロシティーはスーンに答えた。
「こっちの世界でもな」
「そやな、僕も南洋統治に専念していた時にな」
「そのことはわかったな」
「そやけどな」
 それでもとだ、スーンはロシティーに話した。
「生贄なんてイスラムにな」
「ないわ」
 ロシティーはスーンにきっぱりとした口調で言い切った。
「というかな」
「インドネシア自体もやな」
「こっちの世界でもなかったけどな」
「生贄とかな」
「何でそれでや」
「この村でそんな話があるねん」
「そのことですが」
 村の老婆の一人が言ってきた、山羊人の老婆で毛の色はブラウンだ。
「突然海から神様とその軍勢が来て」
「そしてかいな」
「真夜中に岸辺に集まってきて」
「村に迫ってきてか」
「はい、何か何かわからないわし等に言ってきたのです」
「あれか、生贄を差し出せってか」
「その様にです」
 こうロシティーに話した。
「その様に」
「それは明らかにな」
 まさにとだ、ロシティ―は老婆に答えた。
「騙りやな」
「騙りといいますと」
「海から来た連中間違いなく神様とその軍勢ちゃうわ」
 こう老婆に言い切った。
「何があってもな」
「では何でしょうか」
「正体はまだわからん」
 ロシティーは老婆の意味の今の問いにはこう返すしかなかった、何しろその目では見ていないからだ。
 だがそれでもだ、彼は老婆に確信を以て言い切った。
「けどな」
「神様ではないので」
「生贄を捧げるとかな」
 そうしたことはというのだ。
「一切や」
「不要ですか」
「そや」
 こう老婆に言うのだった。
「その必要はないわ」
「ですが生贄を捧げないと村をです」
「滅ぼすって言うてるか」
「軍勢を以て」
「そこもちゃう、神様やったら洪水やら地震やら使いの怪獣やら送ってや」
 そうしてとだ、ロシティーは彼が知る神の怒りの行いについて述べた、とはいっても彼自身はムスリムでイスラム教の経典コーランでは実は神罰の話が少ないのでこうした話はおおむね異教の話である。
「それでや」
「村を滅ぼす」
「普通軍勢とか言わんわ」
 それはないというのだ。
「そのことからもな」
「神様は」
「ちゃうわ、海の魔神かてな」
 ロシティーはこの世界に伝わる伝説の邪神の話も出した。 
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