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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第76話:ZERO

スカイラグーン落下事件後、ハンターベースの空気が重くなったとエックスは感じていた。

そうだろうなとエックスは思う。

イレギュラーハンターとレプリフォースには友好関係を持つ者が多い。

ゼロやルインもレプリフォースに知人がいるために複雑な心境だろう。

「どうしてこうなってしまったんだろうな…」

屋上に着いたエックスは小さくぼやいた。

レプリフォース…正確にはアイリスとだが、共に難事件を解決したこともあると言うのに何故こんなことに。

「本当…だよね…」

「ルイン、それにゼロも…」

屋上で気分転換したかったのはどうやら自分だけではなかったらしい。

「何とかしてレプリフォースの無実を証明したいところだが、無実の証拠になりそうなのがない…」

「一応、ノットベレーに使われないはずのパーツが扱われているって報告したんだけど、あまり相手にされなかったよ」

単に改造しただけだろうと一蹴されてしまった。

「そして出来るだけ穏便に済ませようとハンター側が決めた結論は…レプリフォースの武装解除、そして一時解散…か。レプリフォース側も納得してくれれば良いんだけど…」

3人がこの状況に深い溜め息を吐いた時、急に風が強く吹いてきた。

「急に吹いてきたな」

「うん、そうだね」

「凄い風だな…嵐が来るかな」

「………来るな……嵐が……」

風が吹いてくる方向を見据えながらゼロは呟いた。

そして、今から数分後のメモリアルホールでジェネラルは自身に従う全将兵を本部に集めると、決起を促すべく大集会を催した。

『我がレプリフォースの勇敢なる兵士諸君、皆も知っての通り今や我々レプリフォース全員がイレギュラーと決めつけられた』

居並ぶ数多の将兵を前にジェネラルが演説を開始する。

『だが我々もこのままムザムザと汚名を着せられている訳には行かない。我々は自らの手で、レプリロイドだけの国家を建てる!!』

【オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!】

ジェネラルの力強い宣言に答えるかのように将兵達の間から地を揺るがさんばかりの歓声が上がる。

『但し、これは人類に対しての敵対ではない。自由と安全、それら正当なる権利を求めるための戦いなのだ!!志ある者よ共に築こう!!何者にも侵されない理想の国家を。共に進もう!!我々レプリフォースの未来に向かって!!』

割れんばかりの歓声と拍手が会場を埋め尽くす。

そしてジェネラルの傍らにあって、今や全軍の総指揮権をも預けられたカーネルが進み出て兵達に向かって口を開いた。

『私もジェネラル将軍と同じ意見だ。良いか!我々にはこれしか道はない!!恐れず、勇気と誇りを持って戦おう。我々はレプリフォース!!史上最強の軍隊なのだ!!』

【ウオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!】

【ジェネラル!!】

【カーネル!!】

【ジェネラル!!】

【カーネル!!】

そしてある場所でそのレプリフォースの姿を見つめる黒い影があった。

「クックック…いよいよ動いたなジェネラルめ」

真っ黒な装束に身を包んだ、まるで死神のようなその姿。

「さあて…エックス、ゼロ、ルインよ。お前達ならどう出る?私はこのまま高みの見物を決め込ませてもらうとするか。ハーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

闇の中に響き渡る黒幕の哄笑。

しかしそれはハンター側のイレギュラー認定に憤る兵達の怒号の中に掻き消えて、真実を知ろうとする者達の耳には決して聞こえる事など無かったのだ。

そしてジェネラルの演説を見ていたエックス達は驚愕で目を見開いていた。

「終わったね…」

「え?」

「レプリフォースのイレギュラー認定が間もなく下るよ。奴らの動きが分かり次第…出撃だね」

「…カーネル……早まったことをしやがって…」

拳を握り締めるゼロ。

少し迷った末に上げた顔には迷いは微塵も無かった。

「行きたいの?」

「!?」

その言葉に振り向くと、ルインが真剣な表情でゼロを見上げていた。

「え?」

「ゼロ、行きたそうな顔してるよ。多分、カーネルを止めたいんでしょう?」

「………」

図星を突かれたゼロは閉口してしまう。

「ハンターベースのことは私達に任せてゼロはカーネルの元に行って。多分、ここにいるだけじゃ解決出来ないと思うから…ケイン博士達には私が伝えとくから…だから行って、自分の“心”に従ってさ」

「ルイン…すまない…」

それだけ言うとゼロはこの場を静かに去っていった。

「ゼロ!!」

ハンターベースから去ろうとするゼロを止めようとするエックスだが、ルインに止められた。

「行かせてあげよう、エックス。」

「ルイン、でも…」

「ゼロは今まで私達を助けてくれたじゃない。ずっとずっと…だからゼロの初めての我が儘を、私達が叶えてあげようよ」

「…………」

ルインのその言葉にエックスは腕を下ろし、そして少し悩んだ後、意を決してゼロに尋ねた。

「ゼロ…帰って来るよな…?」

「……ああ、ハンターベースを…頼む」

エックスの言葉にゼロはそう返すと、アディオンに乗り込んでハンターベースを飛び出した。 
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