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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS武装解説
  携帯火器(実弾編)①

——一時代を築いたMS携行式大型機関砲——

 黎明期のMS用携行火器といえば、一年戦争初期には核弾頭をも運用できた、ザク・バズーカ等の大口径ロケット・ランチャーと、比較的小口径の実体弾を連射可能なザク・マシンガン等の実体弾式マシンガン/ライフルが有名である。特に実体弾式マシンガンは、史上初のMS同士の戦闘といわれるU.C.0079.09.18の「サイド7遭遇戦」でのザクⅡの装備だったことや、U.C.0080年代前半頃までの連邦・公国系MSの一般的メイン・ウェポンだったこともあり、初期の代表的MS用携行火器として認知されるに至っている。

 現在までに知られているMS用実体弾式マシンガンの口径は、90~120mmである。これだけ大口径野火器では、マシンガン=機関「銃」ではなく、マシン・キャノン=機関「砲」ではないかと思われる方もいるかもしれない。本来、マシンガンとマシン・キャノンに機構的な違いはなく、口径の大小によって区分される。明確な線引きがあるわけではないが、口径20mm以上のものがマシン・キャノン、それより小さな口径のものがマシンガンと呼ばれる傾向があるようだ。連邦系MSの頭部に固定装備されていることが多い、口径60mm程度の機関砲も「バルカン「砲」」と呼ばれることを考えると、MS用マシンガンはマシン・キャノンといったほうが正しいのだろうか?明確な文書が確認できないので確実ではないが、これはMSが「巨大歩兵」であることと関係有るとも考えられる。その特性上、MSは「擬人化」された兵器として生み出され、装備も人間のものに似せられて開発された。人間が使える形状のものなら人間と同様の腕を持つMSもサイズアップ版を使用できるはずだと考えられたらしい。結果、開発された装備の外見は、対比するものが無ければ人間用としか思えないもので、MSの「擬人化」はさらに一歩進んだといえる。文章の擬人法がそうであるように、「擬人化」されたものの関係物は人間用のモノに換言される。つまりMSがマニピュレーターで操る「機関砲」を、人間の手で操作する「機関銃」に言い換えても何の不思議も無いわけだ。

 だが、MS用マシンガンは、「機関砲」に近い兵器だった。人間用の機関銃は、歩兵分隊/小隊に1~2挺が配備される支援火器で、全歩兵に支給される装備ではない(普通の歩兵が装備しているのは、持ち運びが容易なライフル=小銃。機関銃は複数人で運用する場合が多く、普通は地面に固定して撃つ)。これに対して機関砲は口径が大きいこともあって、地上車輌や艦艇、航空機等の固定装備として使用される。特に航空機の機関砲は、誘導兵器が未発達な時期には、空中戦や耐地攻撃等、用途を選ばない万能兵器として重宝された。

 宇宙世紀にも、これに似た状況が存在した。一年戦争期のザク・マシンガン装備タイプのザクⅡである。ミノフスキー粒子によって誘導兵器が封じられる中、120mm砲弾を連射するザク・マシンガンは柔軟性に長ける火器として多用された。バズーカと異なり、機動目標や固定目標等、あらゆる目標に命中弾と安定したダメージを与えるMS用マシンガンは、当時のMSの主兵装として相応しいものだった。このような万能性を買われたMS用マシンガンは、ビーム兵器が普及するまでMSの一般的兵装として使用されることになる。




補足事項

——MS携行用実弾兵器に対する地球連邦軍のスタンス——

 MS用実弾兵器に関心を示さなかったと思われる連邦軍だが、実態は違う。連邦軍が実弾兵器を多く支給したエリアは濃密な大気が満ちた地上や、外装破壊の可能性があるコロニーなど、ビーム兵器が性能を発揮しにくい反面、実弾兵器の有効性は高い場所であった。また、ビーム兵器は低生産性という欠点もあるため、比較的生産が容易な実弾兵器は、戦力拡充が求められたU.C.0080年代前半には、一時的に主兵装となった。連邦軍はTPOを考慮した、兵装の選択を行っていたのだ。 
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