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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第70話:Peace Time

ドップラーの反乱はシグマの策略によって起こされたことが判明し、新たなボディを持ったドップラーはしばらくの間、ハンターの監視が付くことになったが、再びケインの助手として働くことになる。

そして今夜は…。

【ルイン、復帰おめでとう!!】

「ありがとうみんな!!」

ルインを知る誰もが強く願っていた彼女の復活が遂に叶ったことに全員のテンションは最高潮に上がっていた。

「私のためにこんなパーティーまで開いてくれてありがとう!!さあ、ソニアもこっちに来て一緒に食べよう?」

[ミーーー♪]

沢山のスイーツ類に満面の笑顔を浮かべるルインとソニアと呼ばれたサイバーエルフ。

この名前はエックスが名付けた名前で、サンダーソニアと呼ばれる花から取ったのだ。

サンダーソニアの花言葉は“純粋な愛”・“福音”・“祈り”・“祝福”・“共感”・“愛嬌”・“望郷”。

この世界に生まれた命として幸せに生きて欲しいと言う願いを込めてエックスは名付けた。

因みにソニアの親代わりはエックスとルインであり、ソニアの世話をする姿はまるで本当の家族のようだ。

「それにしても本当に良かったなあ、ルインがハンターに復帰して…」

「ああ…今までむさ苦しかった我が第17部隊にようやく華が…俺は…嬉しい…!!」

男性型のハンターに結構人気があるルインの復帰を心から喜ぶ者達。

中には華が部隊に戻ってきたことに感涙する者も。

【あんた達、ちょっと表に出なさい】

指の関節を鳴らしながらハンター達を引き摺る女性ハンター達。

【でやあああああううううううっ!!!!】

少しして男性ハンター達の断末魔の叫びが聞こえてきたが聞かなかったことにしよう。

「さあ、再び3人揃った記念にわしとドップラー共同製作の特製のスペシャルドリンクじゃ」

「さあ、3人共。遠慮なく飲んでくれ」

「え?」

「何…これ…」

「おい、爺共。本当に害は無いんだろうな?」

エックス達3人のグラスに並々と注がれた濁った緑色の液体を見つめる3人。

「そのドリンクに害はない。」

「わしらが手間暇かけてそのドリンクを作ったんじゃぞ。ささ、ぐいっと」

「「「………」」」

3人はマジマジとケインとドップラーの共同製作のスペシャルドリンクを見つめ、覚悟を決めたのか一気に飲み干した。

「………ぐっ…不味い…!!」

「し、死ぬ……!!」

あまりの不味さに倒れ伏すゼロとルイン。

エックスはかつてケインとルインよりも長く暮らしていた為か、こういうのに耐性があったために耐えきれた。

「どうじゃ、青汁風味のスペシャルドリンクの味は?」

「天にも昇るような味じゃろう」

「(ケイン博士、ドップラー博士。確かに有害な物は何も入ってはいませんけど味が酷いです。ルインに至ってはあまりの酷い味に痙攣を起こしてますよ…)」

「いかん!!ルインの動力炉が停止しかけている!!」

「ゼロ隊長もヤバイぞ!!早くメンテナンスルームに運ぶんだ!!」

パーティーは大騒ぎになるが、みんなの表情はとても明るい物である。

「ん?」

ふと、エックスが向こうを見遣ると、会場の隅で軽く摘まんでいるビートブードの姿があった。

スイーツ類を沢山食べて満足したのか眠ってしまったソニアを抱きながらビートブードに近付いた。

「ビートブード」

「あ、エックス……隊長……」

「君も来ていたんだな」

「ええ、ケイン博士にワームの破片も取り除いてもらったので…」

それだけ言うとビートブードは少しの沈黙の後、エックスに頭を下げた。

「ビートブード?」

「エックス隊長、ゼロ隊長にもですが、改めて謝罪します。本当にすいませんでした。ワームによって抑え込んでいた気持ちが表面化して、俺はゼロ隊長に…本当に頭では分かってたんです。ゼロ隊長は正しいことをしたって、ゼロ隊長の電子頭脳に兄貴の人格プログラムをインプットしたってそれは兄貴じゃないって。でもそれでも…俺にとっては…たった1人の兄貴で…!!」

「分かっているよビートブード。君の気持ちは分かるよ、大切な人を失う悲しみは…俺にも痛い程分かるから…」

エックスも大切な者を失った経験があるからビートブードの気持ちは痛い程に分かる。

「エックス隊長…」

「ビートブード、君のしたことは確かに許されないことかもしれないけど、君は此処に戻ってきてくれた。俺はそれで充分嬉しいよ…これからもずっと今までと同じように君の力を平和のために役立ててくれ。それが君の上司として君に与える罰だ」

「っ!!」

エックスの温情にビートブードは深く頭を下げる。

ビートブードはエックスの部下として自分の力を最大限に使うと決意するのであった。 
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