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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第68話:King

ルインがVAVAを撃破した一方で、エックスはシグマの元に向かう。

僅かに残ったメカニロイドを迎え撃ちながら、目の前の大きな扉を開くと、そこにはやはりシグマがいた。

「…シグマ」

「良く来てくれたな。心からお持て成しをして差し上げよう。我らが英雄の冥土への旅立ちだ……盛大にな」

「俺は英雄じゃない。そして冥土とやらに旅立つのも俺じゃない…冥土へと旅立つのはシグマ、貴様だ!!」

ドップラーを操り、ケインを苦しませ、世界をここまで荒らしたシグマをエックスは決して許しはしない。

「私はこの後、王となり、この世に君臨するのだから…」

「黙れ!!これ以上貴様に世界を荒らされてたまるか!!クロスチャージショット!!」

シグマが言い終わる前に予めバスターをチャージしていたエックスはクロスチャージショットを放つ。

それをシグマは跳躍してかわし、背中の武装から複数の電撃を放った。

「くっ!!」

エックスはヴァリアブルエアダッシュを駆使したフットワークで電撃をかわし、バスターのチャージを終えると撃つタイミングをずらしてチャージショットを放った。

「なっ!?ダブルチャージだと!?」

初撃の弾速の遅いチャージショットをかわしたシグマだが、着地直後を狙ったエックスの2発目のチャージショットに目を見開く。

サードアーマーを纏う今のエックスのバスターは放つタイミングによってクロスチャージショットとダブルチャージショットの二択を選択出来る。

シグマは威力の高いクロスチャージショットを主に攻めると思っていたが…。

「チッ!!だがぁ!!」

左腕に盾を出現させると、それでチャージショットを防いだ。

「なっ!?」

クロスチャージショットより威力が劣るとは言え、簡単に防がれたことに目を見開くエックス。

「貴様の戦闘データを元に造った盾だ。壊せんぞ!!」

「くそ!!」

此方に迫るシグマにショットを連射するが、シグマは腕をバスターに変形させ、火炎弾を放つ。

火炎弾はショットをすり抜けてエックスに直撃し、エックスの放ったショットはシグマの盾に防がれてしまう。

「ぐあっ!?」

直撃した火炎弾は燃え盛り、エックスの全身を包んだ。

「私の火炎は標的に到達すると瞬時に1000度まで一気に燃え上がる!!」

「ぐわああああ!!」

炎が消えるとエックスはふらつき、それを見たシグマが更に電撃を放った。

「休ませたりはせんぞ!!」

「ぐっ!!まだ…だあ!!」

何とか踏ん張り、ショットの連射で相殺しようとするが、1発外してしまう。

外してしまった電撃はエックスの右肩に直撃し、頑強なはずのアーマーが破壊されてしまう。

それを見たシグマが笑う。

「休ません!一片の勝機も与えん!!」

「っ!!」

追撃で放たれる電撃がダメージで動けないエックスに迫る。

「貴様の肉体っ!魂までをっ!打ち砕くまではなぁあ!!」

電撃が全弾、エックスに直撃するのと同時に爆発が起きる。

「今こそ我が闘争の勝利の時!!」

爆煙で視界が遮られるが、シグマは腕の一振りで煙を払う。

「う…おおおおおお!!」

何とかシグマの怒涛の連続攻撃に耐えきったエックスはクロスチャージショットで反撃するが、クロスチャージショットのデータも取られていたのか、シールドによって難なく防がれてしまう。

「やはり簡単には砕けんか、だがかなり効いているようだな。」

「ハァ、ハァ、ハァ…」

シグマの言う通り、エックスのダメージは相当のもので息が荒くなっている。

「お前の身も心も砕け散るのは時間の問題だな!!」

「く…っ!!」

再び放たれる電撃にエックスもバスターを構えた。

「貴様のバスターの連射速度では5発分しか相殺出来んぞ!!」

「なら、連射性能の高い特殊武器を使うまでだ!!レイスプラッシャー!!」

連射性能の高い特殊武器のレイスプラッシャーで電撃を相殺する。

「タイガードの武器か!?特殊武器のエネルギーは使い果たしたはず…いや、此処に残ったメカニロイドのエネルギーカートリッジを使ったのか…」

「そうだ、全ては貴様を倒すためだ!!」

「ふん、だが特殊武器があっても私の優位に変わりはないわ!!」

バスターから火炎を放つが、エックスもチャージフロストシールドで火炎を受け止める。

しかし氷の盾で火炎を防ぐのは難しく、熱で氷の盾が溶けていく。

「トルネードファング!!」

今度はドリルによる直接攻撃を仕掛ける。

遠距離からの攻撃が駄目なら直接攻撃で攻めようとしているのだろう。

「私に接近戦を仕掛けるとは愚かだぞエックス!!わしが最も得意とする分野で挑むとはな!!」

トルネードファングのドリルがシグマの盾を穿とうとするが、どれだけ出力を上げようと盾の表面を削ることすら出来ない。

「その程度の威力では私の盾に傷ひとつ付けられん!!」

「うわっ!!」

強引に弾き飛ばしたエックスにシグマは盾をブーメランのように投擲した。

「ぐはあっ!!」

腹部に命中し、痛みに膝をつくエックスだが、戻ってきた盾が背中に命中し、エックスはシグマの元に吹き飛ばされた。

「終わりだ!!」

手首のパーツがメリケンサック状の武器になり、吹き飛んできたエックスに叩き込んだ。

「がはあ!!」

まともに喰らったエックスは口から疑似血液を吐き出しながら吹き飛び、地面に倒れた。

「これで終わりだ。精も根も尽きたろう」

「ゴホッ!!…ぐっ!!まだだ…お前は俺が必ず…」

「まだ抵抗する意思を見せるか…ならばその脳天ごと魂を砕いてやるわ!!」

シグマのメリケンサックがエックスの顔面に繰り出される。

「(かかったな、一か八か。俺の命を囮にした罠に!!ゼロ、使わせてもらうよ!!)」

エックスは左肩のアーマーに忍ばせていたゼロのZセイバーを抜き放つ。

「それはゼロのセイバーか!?」

「この距離ならかわせない!!終わりだシグマ!!」

エックスはセイバーを勢い良く横薙ぎし、シグマの胴体を両断した。

「馬鹿…な…」

「ドップラーのデータを過信し過ぎたな。データを過信し過ぎたあまり、俺のデータにないゼロのセイバーに対処出来なかった。」

おまけにゼロのセイバーはルインのセイバーよりも刃渡りが長いために例えシグマがかわそうとしても間合いからは逃れられなかったろう。

ドップラーのデータを過信し過ぎたのがシグマの敗因だったのだ。 
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