快楽を求めて

　　　　　　　　　　　　　　　快楽を求めて
　川端豊と田中秀一はこの時川端の神託で中国四川省にいた、二人は四川省の中心都市の一つである成都に入った。
　そうしてすぐに火鍋の店に入って四川の地酒を飲みながら川端の神託のことについて二人で話をした。
「わいの神託は何か」
「それが問題ですよね」
　田中は火鍋の中から羊の肉を出しつつ応えた、鍋の中には羊肉の他には茸や野菜、中国の固い豆腐等がある。
「やっぱり」
「そや、まあ神託やからな」
「かなりのものですね」
「そのことはな」
　川端にしてもとだ、彼はその固い豆腐を食べつつ述べた。
「わかってるさかい」
「それで、ですね」
「もう覚悟を決めてな」
　そのうえでと言うのだった。
「ここに来たわ」
「そうですね」
「さもないとや」　
　川端は今度は酒を飲んだ、辛い料理に実によく合っている。
「この世界を救うなんてな」
「出来ませんね」
「そや、それでや」
「覚悟を決めて」
「神託を達成するで」
「わかりました、では僕も」
　田中は川端のその言葉に応えた、そしてだった。
　その後でだ、彼も酒を飲んだ。トロルの彼とゴブリンの田中とでは体格が全く違っていた。その違いが今向かい合って座って出ていた。
　それでだ、こう言ったのだった。
「及ばずながら」
「いやいや、及ばずどころかや」
「僕のことをですか」
「頼りにしてる、ほなな」
「これからですね」
「二人でや」
「神託を適えますか」
「勿論わいがメインや」
　このことはとだ、川端は自分の神託であることから述べた。
「それでやってくけどな」
「僕のこともですね」
「頼りにしてるからな」
「それで、ですか」
「やってこうな」
　二人で話してだ、そのうえで。
　火鍋を酒を飲みつつ食べてだった、それからデザートとして杏仁豆腐を食べて店を出た。そうしてギルドに冒険者として行くとだった。
　成都を拠点として四川省全体に商売をしている商人からの依頼があった、川端はその商人の名前を聞いて言った。
「ああ、司馬さんか」
「司馬遷とか司馬懿とかですね」
　田中は司馬という名前からこうした人物を思い出した。
「中国では珍しい苗字ですね」
「中国で苗字は大抵一つやしな」
「李さんとか王さんとか」
「そやけどたまに漢字二つの苗字がある」
「諸葛孔明もそうですし」
「それで司馬って苗字もや」　
　それもというのだ。
「あってな」
「この商人さんはですね」
「この成都を拠点としてな」
「四川省全体で商売をしていますね」
「配達をしてな」
　そうしてというのだ。
「えらい儲けてるわ」
「その司馬さんがですか」
「今依頼を出してきてるな」
「その依頼が何か」
「何やろな、今の旦那さんはな」
　その主はというのだ。
「別にな」
「おかしい人ではないですか」
「人格者や、サービスもしっかりしててな」
「店員に対してもですね」
「待遇はよくて給料もちゃんと支払う」
「そうした人ですか」
「そや、そやから今回の報酬はな」
　川端はそれの話もした。