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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第65話:Grudge

エックスのバスターから放たれたクロスチャージショットの威力は凄まじく、ヴァジュリーラFFの半身を容易く消し飛ばしてしまった。

「うわあ、凄い威力」

ゼロを救出しながらサードアーマーのクロスチャージショットに目を見開く。

下手したら自分達3人で放ったクロスチャージショットに迫る威力がありそうだ。

「ルイン…本当にお前なのか?」

「もう、私がお化けなんかに見える?正真正銘の本物のルインだよ」

膨れっ面になりながら言うルインにゼロは思わず笑ってしまった。

「全く…信じてはいないが…神って言うのは結構、粋なことをするもんだな…クリスマスに目覚めさせるとはな」

「ふふっ…久しぶり…だよね。私達3人揃うの」

「うん…ルイン」

「何?」

「届いたよ。パーツから…みんなの声、ルインの心……」

穏やかな表情で言いながら、エックスはあの日からずっとルインに借りていた武器を返却する。

「私の…ずっと持っていてくれたんだね」

「あの戦いからずっと持ってたんだ。これを持っているだけで君が傍にいるかのように勇気が湧いてどんな敵とも戦うことが出来た。これを君に返すよ」

「…うん」

エックスから受け取った愛用の武器を握ると久しぶりの感覚に笑みを浮かべた。

「しかし、誰がルインを直したんだ…?」

ケインですら難航していたはずのルインの修理を誰がやったのかがゼロには気掛かりだった。

「あの博士のおかげだよ。私達を助けてくれたあのお爺さん」

「ライト博士が…ありがとうございます博士」

厳密には違うのだが、ライト博士にも助けられたのは事実なのだ。

「ルイン…」

「何?」

「…お帰り」

エックスの言葉にルインは目を見開いたが、次の瞬間満面の笑みで答えた。

「うん、ただいま」

「おい、エックス、ルイン。お互いに積もる話もあるだろうが、今は目の前の相手だ」

「「うん」」

向こうを見遣ると、半身を失ったヴァジュリーラFFに駆け寄るマンダレーラBBの姿があった。

「私とパワーアップしたエックスならあれくらい何とかなるよ」

「いや、ここはドップラーの本拠地だ。ドップラーが何をしてくるか分からないから油断は禁物だ」

「しばらく死んでるうちに逞しくなったねエックス」

少ししてケインも現れ、動けないゼロをルインの代わりに支える。

「エックス、ルイン。思いっきり戦ってくれ。俺達のことは気にしないでな」

「こっちのことは気にせんでええからな2人共…(良かった…またこの3人が揃う姿が見られるとは…本当に…良かったわい…)」

「それがお前の言う“仲間”の姿か?」

ルイン達に巨大な影がかかり、全員が上を見上げた。

そこには巨大なメカニロイドと、メカニロイドの頭部に立つドップラーの姿があった。

「仲間っ、仲間っ、仲間っ、仲間っ、仲間ーっ、仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間仲間…カーーーッ、オイルが逆流する程甘ったるい言葉だわっ!!」

「あれが、あのドップラー博士?あのドップラー博士が随分変わったね…」

「今では質の悪いイレギュラーだ…」

記憶の中のドップラーと今のドップラーが全く重ならず、思わずルインは困惑し、ゼロはドップラーの所業を思い出したのか吐き捨てる。

「ドップラー様!!ヴァジュリーラの救出を!!」

ヴァジュリーラFFの救出を要請するマンダレーラBBだが、ドップラーの返答は…。

「…………貴様…“仲間”と言う言葉に影響されたか?」

「え?」

「一度でも撤退を許すと思ったか、結局は“あの方”を復活させるための実験体よのぉ」

ドップラーの冷酷な言葉にエックスとルインは悪寒を覚える。

「!!…まさか…ドップラー?」

「死ねっ!!」

メカニロイドの口から放たれたビームはドップラーの味方であるはずのヴァジュリーラFFとマンダレーラBBに向かっていく。

「ドップラー様ぁあっ!!」

「ヤバい!!」

ビームが着弾する直前にエックスがケインを、ルインがゼロを抱えて何とか回避に成功した。

「ルイン、瓦礫に気を付けるんだ!!」

「うん、一気に抜けよう!!」

エックスはサードアーマーのヴァリアブルエアダッシュ、ルインはHXアーマーのホバーとエアダッシュを駆使して瓦礫をかわす。

何とか安全な場所まで移動したエックスとルインはケインとゼロを地面に下ろす。

「ケイン博士?怪我は?」

「ゼロ、大丈夫?」

「ああ……全く、少し前まで機能停止していた後輩に守られっぱなしとは先輩として情けないな…」

「仕方ないよ、そんな大怪我じゃ。エックスはパワーアップと同時に回復したようだけどね…それにしても、まさか味方まで攻撃するなんて…」

「ほう、全員生き残ったか。悪運の強い奴らめ」

「あなたねえ…味方まで攻撃するなんて何を考えて…」

ルインが言い切る前に大破したヴァジュリーラFFを抱えるボロボロのマンダレーラBBが瓦礫の中から現れた。

「ドップラー様……我々を見捨て…ないで…下…さい。ドップラー様ぁーーー」

少し前までエックス達を圧倒した強力なイレギュラーとは思えないくらい哀れな姿である。

「ほおーーー、まだ生きておったか。ならば最後まで私に仕えろ!!実験の道具としてなー!!」

メカニロイドの口から大量の寄生チップ・“ワーム”が大量に放たれ、それはヴァジュリーラFFとマンダレーラBBに降り注ぐ。

「どっ……道具ーーっ!?嫌だっ、嫌だっ!私は自分でいたーい!!」

ワームはマンダレーラBBとヴァジュリーラFFに取り憑き、寄生を始めた。

「うっ…」

あまりにも惨い光景にルインは思わず口元を押さえてしまう。

「うあっ、あっ、あっあ……」

マンダレーラBBの声が聞こえなくなるのと同時に2体のレプリロイドは1体の大型レプリロイドとなり、同時にヴァジュリーラFFとマンダレーラBBは今死んだのだ。

「さあ…思う存分働け。ナイトメアポリス最終形態。ゴッドカルマシーン・O・イナリーよ!!」

「酷いね、あんな酷いことするなんて、一発殴らないと気が済まないよ!!」

「どこまで腐ってるんだあいつは…」

ルインとゼロは嫌悪感を隠さずにドップラーを睨み据える。

O・イナリーはビームサーベルの斬撃を飛ばし、エックス達に攻撃を仕掛ける。

身構えるルインだが、エックスが制した。

サードアーマーのディフェンスシールドのバリアがそれをあっさりと弾く。

「素晴らしい!!」

攻撃を防がれたにも関わらず、ドップラーはエックスの性能に歓喜した。

「データだデータ!!全てのデータを送るぞ!!コンピューターにぃ!!そして、より完全なボディをぉ、あの方の為にぃーーっ!!」

O・イナリーが何度攻撃しようと、エックスのディフェンスシールドに弾かれる。

「まだだ!その程度ではないだろう!!未知の領域を見せてみろ!!」

ドップラーの目を通して、コンピューターにデータが送られていき、データが送られていく度に歓喜する。

「エックス…」

「分かっている。君はゼロ達を守っていてくれ」

ルインの声に頷くと、ドップラーの事など構わずにエックスはO・イナリーに向かっていく。

「素晴らしい!素晴らしい“力”だーーーっ!!ん?」

エックスは両腕のチャージを終えると、O・イナリーに向けた。

「すまない」

自我を失った哀れな存在に謝罪しながらエックスはクロスチャージショットを至近距離で放った。

クロスチャージショットはO・イナリーを容易く飲み込み、そのままドップラーの乗ったメカニロイドに向かっていく。

「ひぐっ!!」

メカニロイドにクロスチャージショットが直撃し、ドップラーは爆発に巻き込まれた。

「ドップラーっ!!…ぐ…」

爆発に巻き込まれたドップラーにケインは俯いた。

「ケイン博士、ドップラー博士のことは残念でしたけど、あの人がこれ以上罪を重ねずに済んで良かったと思いましょう」

「そうじゃな……」

燃え盛るO・イナリーから叫び声が響き渡り、O・イナリーの体を構成していた無数のワームが別の形に変わっていく。

「形が…変わってきておる……」

「もう、私の理解が追い付かないよ…」

「安心しろ、この場にいる全員が理解出来ていない」

炎が消えると、ワームは巨大な双頭の怪物となり、エックスに襲い掛かる。

口に相当する部分の先端がエックスに向かって伸びるが、クロスチャージショットのダメージは凄まじく、後少しの距離で機能停止。

ワームは突風によって周囲に散らばり、風に飛ばされていくワームを見つめるエックスにルイン達が駆け寄る。

「ご…ご苦労じゃったなぁ…ようやったぞい」
 
「エックス、お疲れ様。」

「……ルイン…ケイン博士…俺は…結局…ドップラーを……」

ケインとルインの言葉にエックスは俯きながら話す。

「あれは仕方ない。ドップラーを倒す以外に方法はなかった」

「そうじゃ!!お前はようやったぞっ!!」

「自分を責めないでエックス。途中参戦の私が言うのもなんだけど、エックスはエックスに出来る精一杯をしたんだと思うからさ」

「全ては…あいつの残したデータが悪いのに……」

唇を噛み締めながら拳を握り締めるエックス。

[ミー]

【?】

ルイン以外には聞き慣れない声に全員が周囲を見渡すと、ルインが女神から授かったサイバーエルフが浮かんでいた。

「何だこのチビは?」

「私について来ちゃったんだ…」

[ミー、ミー]

サイバーエルフはエックスの元に向かうと、エックスの胸に飛び込み、可愛らしい笑みを浮かべる。

「…俺を慰めてくれるのかい?不思議な小さい子?」

[ミー!!]

「この子もライト博士から?」

「うん、まあね」

幼子の優しさに少しだけ癒されたエックスは少しだけ笑みを浮かべてルインに尋ねるとルインも取り敢えずそういうことにした。

そしてルインがエックスに声をかけようとした時、背後から何か崩れる音がして、全員が振り返る。

「ぐひひひ…」

「ドップラー!?」

「まだ生きていたのか!?」 

科学者レプリロイドであるドップラーがボロボロとは言え、あの爆発に耐えたことに驚愕する一同。

「素晴らしい…素晴らしいぞぉ、エぇッーーークスぅ。どうじゃあ、今からでも遅くない。我が軍門に下れ!!」

「ドップラーっ、生きておってくるたのか!?…のぉ……ドップラーよ…何がお主をそこまで変えたんじゃ。シグマウィルスワクチンを作り、理想郷を目指したお主が何故…」

ケインはドップラーが生きていてくれたことを喜ぶが、今まで気になっていたことを尋ねたが、ドップラーは聞く耳持たずにエックスに叫ぶ。

「エックス!!返答はいかに!!」

「シグマ…ウィルス………だな」

ドップラーの言葉に答えず、エックスはドップラーの豹変の原因を呟いた。

「え?」

「シグマウィルスに当てられたな。以前、ワームの正体を暴くため、わざと取り憑かれた時に感じた………奴の怨念を……シグマの怨念をな!!」

「なるほどな、ドップラーはシグマウィルスのワクチンを作るためにシグマウィルスを研究していた。その時にか」

「もしそれが本当なら、凄い皮肉だね。シグマウィルスを除去するためのワクチンを作るために研究していたのに本人がやられちゃうなんて」

「俺は貴様が憎い。貴様のせいで無用の戦いが生まれたんだ……でも、こんな幼い子供の前でこれ以上命を奪いたくない…終わりにしよう……滅びた悪魔に振り回されるのは…レプリロイド同士、傷付け合うのは…全ての戦いを終わりにしよう!!」

「エックス…良いのか?それで…」

「ああ、もう終わらせるんだ…」

エックスの言葉にドップラーは歪んだ笑みを浮かべながら口を開いた。

「………で、返答は“否”なのだな」

ドップラーの言葉に全員が目を見開き、ルインはドップラーを指差しながら叫ぶ。

「くっ…あなたにはエックスの気持ちが分からないの?これ以上やっても無駄な犠牲を増やすだけでしょう!?」

「良いことを…教えてやるわ。わしの身体にはジーロン弾がセットされている。わしの機能停止と同時に作動する。エックス…貴様がわしと組むなら、ジーロン弾の起爆装置を切ってやってもよいぞ」

「…ジーロン弾?」

「ジーロン弾じゃと………?」

「貴様…狂っているとしても限度があるぞ…!!」

「え?ケイン博士?ゼロ?どうしたの?何?何なのジーロン弾って?」

ケインとゼロの表情からして、とんでもない代物なのだろうが、初耳のルインからはあまりピンと来ない。

「ジーロン弾はお主が機能停止していた時に開発された兵器…地球上の生物を一掃してしまう電磁波爆弾じゃ!!」

「えーっ!?と言うか爆心地のあなたまで死ぬんだから意味ないじゃない!!」

「意味はある……あの方の世が来るのだ」

「っ!!あの…方…だと…?」

「怨念だと?あの方は“いる”!!私が完全なるボディを進呈した……シグマ様がついに地上の“王”となられるのだーーーっ!!!」

叫んだ直後、ドップラーが膝をついた。

いくら改造を施しても元々科学者レプリロイドであり、クロスチャージショットのダメージはやはり深刻だったらしい。

「ドップラー」

「わしが死ねば……体内のジーロン弾が作動して地球上の生物は……全滅だ……。わしの…死は……シグマ様の……創る…理想…郷の……と……な……る…」

そう言うと、ドップラーは機能停止し始めた。

「いかん!!」

「ジーロン弾が作動しちゃう!!」

ケインはドップラーに駆け寄るとドップラーのメインプログラムの復旧を始めた。

ジーロン弾作動までに復旧は間に合うのだろうか…。 
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