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八条学園騒動記

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第五百五話 水族館と動物園その十

「まともに過ごせないのよ、それ位寒くて」
「風も強いか」
「かなりね、まあ生まれた時からそこに暮らしていると」
「それが普通でか」
「何とも思わないけれど寒いことはね」
「感じていたか」
「はっきりとね、それにね」
 ナンはダンに自分が生まれた時から住んでいた草原のことをさらに話した。
「チンギス様もそこに暮らしておられたのよ」
「チンギス=ハーンか」
「そう、モンゴル帝国を建国された」
「あの人だな」
「モンゴルじゃ我が国最大の英雄で偉人で」
 それでというのだ。
「神様にもなっているのよ」
「本当に偉大な人なんだな」
「だってモンゴルっていうと」
「あの人だしな」
「代名詞にもなっている人だから」
 それだけにというのだ。
「あの方はね」
「偉大とされていてか」
「それでなのよ」
「神様にもなっていてか」
「皆様付けで敬語なのよ」
「日本の皇室の人の様な待遇だな」
「実際に私達のハーンだったしね」 
 皇帝だったからだというのだ。
「だからよ」
「様付けで敬語か」
「そう、そしてそのチンギス様もね」
「寒い草原で暮らしていたか」
「厳しい気候の中でね」
「その中でモンゴル人を統一してか」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「一代で大帝国を築かれて」
「それからもな」
「モンゴル帝国はどんどん大きくなって」
 ナンはモンゴル帝国の歴史も話した。
「空前の大帝国になったでしょ」
「その開祖だからか」
「モンゴルで最も偉大な英雄で」
 そうなっていてというのだ。
「私も尊敬してるのよ」
「そうなのだな」
「そしてね」  
 ナンはさらに話した。
「元々モンゴル人はそんな場所にずっといたのよ」
「厳しい自然の中でか」
「遊牧をしてね、それで大帝国も築いて」
「今もか」
「遊牧をしている人も多いのよ」
 銀河の時代になって久しい、だがそれでもというのだ。
「幸せにね」
「成程な」
「そう思うと私の暮らしていた草原はね」
「いい場所か」
「凄くね、ゲルの中は快適よ」
「だから今もゲル暮らしか」
「そう、街の中を転々としてね」
 そうしてというのだ。
「そうしてるのよ」
「ゲル暮らし以外は駄目か」
「私はね」
 こうダンに話した。
「一軒家もマンションも」
「馴染まないか」
「住んだことはないけれど」
 それでもというのだ。 
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