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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百十六話 運動会のはじまりその五

「大事だからね」
「それであの服か」
「機能性ってのを考えて」
「それであの服を着て走るんだな」
「大体わかったぜ」
「ええ、ただ私はね」 
 その娘は強い声で自分のクラスの子達に言った。
「ああした服はね」
「無理か」
「着られないんだな」
「そうなんだな」
「ちょっとね」
 どうにもという声での返事だった。
「無理よ」
「やっぱり露出多いからな」
「水着と一緒だからな」
「それで堂々と人前で走るとかな」
「やっぱり難しいな」
「水着も恥ずかしいから」
 だからだというのだ。
「あの服はね、半ズボンかスパッツよ」
「今の体操服か」
「あれ位か」
「そう、あれで精一杯よ」
 そうした感じだというのだ。
「私は」
「あの恰好無理か」
「相当エロいけれどな」
「ぐっとくるのにな」
「それが嫌なの」
 異性にそう思われることがというのだ。
「私は純粋に走りたいからよ」
「協議に専念したいからか」
「そんな風に見られてとか」
「やっぱり嫌か」
「そのことは」
「そうよ、あの恰好はね」
 どうしてもというのだ。
「抵抗あるから」
「それで半ズボンか」
「それかスパッツか」
「今にしても」
「そうよ、ジャージの下はね」
 見れば奇麗なえんじ色のジャージとズボンだ、その色がよく似合う様な顔立ちとスタイルなのが実にいい。
「黒の半ズボンと白の体操服だから」
「オーソドックスか」
「そのスタイルか」
「そうよ、オーソドックスが一番よ」
 何といってもというのだ。
「だからその格好よ、それでね」
「その服でか」
「競技頑張るんだな」
「そうしてくれるんだな」
「私はマラソンに出るから」 
 この学園の運動会にはこの競技もある、何と男子で十キロ走るし女の子でも六キロ走るから本格的だ。
「ちょっと行って来るわね」
「その時が来たらか」
「じゃあ頑張ってくれよ」
「そっちの方もな」
「そうしてくれよ」
「ええ、優勝は無理でも」
 それでもというのだ。
「完走目指すから」
「怪我しない様にな」
「そうしてくれよ」
「ええ、六キロ完走してくるわ」
 こんな話が隣のクラスで為されていた、そしてだった。
 僕は自分の競技が近くなってだ、ジャージの上下を脱いでその下の体操服だけの格好になった。そうしてだった。
 じっくりと準備体操をしているとクラスの皆に言われた。
「次は御前の出番か」
「頑張ってくれよ」
「是非な」
「うん、じゃあ今から行ってくるよ」
 僕は右足を伸ばしながら答えた。 
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