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苦手な話

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第一章

                苦手な話
 志賀徹と石川晋作は今は志賀の神託でアメリカのミネソタに来ていた。
 そしてミネソタのある街、神託があるというその街に入って最初にだった。
 二人でステーキハウスに入ったが志賀はそのステーキを見て言った。
「かなり」
「大きいね」
 石川もこう返した。
「噂通りね」
「一キロはあるよ」
「それ位はね、これ一枚で」
 それこそとだ、石川はその巨大なステーキを見つつ話した。
「お腹一杯になるね」
「絶対にね」
「このお店はこうしたお店ね」
「一枚でお腹一杯」
「街に入った時に聞いたけれど」
「噂通りね」
「じゃあ」
 それならとだ、石川はあらためて言った、そうして。
 二人でステーキを食べた、勿論一緒に出ているサラダやスープそれにパンも食べた。デザートのケーキも食べた。
 全て食べた、その時にはだった。
 二人は実際に満腹になっていた、それで志賀は石川に話した。
「さて、腹ごしらえは出来たし」
「それならね」
「僕の神託を探して」
「そうしてね」
「それを果たそうか」
「ええ、今からね」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 街を歩き回って神託を探した、するとだった。
 街のあちこちに看板があった、そこにはこう書かれていた。
「今日はコンサートがあるんだな」
「そうだね、街のステージで」
 石川は志賀に応えた。
「あるんだね」
「高校生も参加するんだ」
「というか中学生や高校生のバンドのコンサートだね」
「そうだね」
「それじゃあね」
「若しかして」
 ここでだ、志賀は言った。
「僕の神託は」
「このコンサートとだね」
「関係あるかな」
「そうかもね、それじゃあね」
「今からね」
「このコンサートについてね」
「ちょっと調べようか」
 石川に言ってだ、そしてだった。
 二人で街の高校に言って旅の冒険者と身分を隠して学校の校長からコンサートの話を聞いた、するとオグルのスーツ姿の校長は二人に笑って話した。
「街のイベントで」
「それで、ですか」
「今日は、ですか」
「はい、学生の文化活動として」
 その一環としてというのだ。
「市役所が主体でです」
「行っていますか」
「それと街の宣伝も兼ねて」
「ああ、そうした意味でもですね」
「やっています」
「そうですか」
「この街の産業は農業が多いですが」
 校長は志賀に応えて話した。
「それだけでは華やかでないので」
「華やかな街のイベントとしても」
「いいとです、今の市長さんがお話して」
「開いていますか」
「はい、ですが」
「ですが?」
「実はプロの歌手も呼んでますが」
 それがとだ、校長はここで暗い顔になった。そのうえで志賀と彼の隣にいる石川に対してこう言ったのだった。 
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