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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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第86話

6月19日―――午前4:30――――


早朝、辺りを轟かせる砲撃音によってリィンはすぐに目を覚ました。

~デアフリンガー号~

「砲撃音―――!?」

「ああ…………かなり遠いがデカすぎる!よほど非常識なサイズじゃねえと―――」

「「列車砲()…………!」」
起き上がったリィンに自身の推測を答えた後考え込んだランディはすぐにリィンと共に心当たりを思い出した。

「緊急事態発生!みんな、すぐに準備して!」

「この辺り一帯は砲撃されていません!落ち着いて行動してください!」

「各方面との通信を繋げ!砲撃箇所の特定を急ぐぞ!」

「全機甲兵、出撃準備!いつでも出られるように!」

「戦術科集合!装備は確認しとけよ!」

「それと出撃をいつでもできるように覚悟をしとけよ!」

「主計科も戦術科、並びに特務科のサポート、それと地方領邦軍との連携をいつでもできるように準備をしておきなさい!」
突然の非常事態に生徒達が驚いている中教官陣は列車内を回ってそれぞれ指示を出していた。

~フォートガード・カイエン公爵家第Ⅱ城館~

一方その頃、砲撃音を聞いて外のテラスに出たユーシス達は港の海に何かが着弾する様子を見た。
「こ、この威力は…………!」

「RFの新型列車砲…………!」

「バラッド侯が正規軍用に造らせた代物か…………!」

「…………東からだな。距離にして800セルジュ。」

「それって峡谷方面!?」
ガイウスの分析を聞いたミリアムは驚きの声を上げ
「こちらバレスタイン!」

「やっと繋がったか―――!」
サラは突如自分のARCUSⅡにかかってきた通信で通信相手―――トヴァルとアガットとの通信を開始した。


~同時刻・クロスベル帝国領・海都オルディス・カイエン公爵家城館~

同じ頃、砲撃音を耳にしたユーディットとキュア、そして城館に泊まっていたエステル達とサフィー達は状況を確かめる為に外のテラスに出た。
「ユ、ユーディ…………この砲撃音って………!」

「ええ…………間違いなくRFの新型の”ドラグノフ級列車砲”でしょうね。」
不安そうな表情をしているキュアの問いかけにユーディットは厳しい表情を浮かべて答え
「やはり、こちらの世界でも新型の列車砲が北の猟兵達に奪われる事を防げなかったようですね。」

「ああ…………今頃フォートガードは列車砲の恐怖に晒されているのだろうな…………」

「うう~っ…………何でこういう事に関しては一緒なのよ~!?」

「まあ、バラッド侯爵が失脚していない時点でこうなる事は想定されていたようなものでしたが…………」
ミューズの言葉にザムザは重々しい様子を纏って頷き、悔しそうな表情で唸っているサフィーにルディは静かな表情で答え
「それでユーディットさん、キュアさん!こんな非常事態が起こった以上ユーディットさん達―――ううん、クロスベル帝国軍はどうするの!?」

「サフィー達の話通りの展開ですと、北の猟兵達の狙いはフォートガード方面ですから、恐らくオルディスには砲撃をしないと思われますが…………」

「――――ですが”万が一”の可能性も考えられますわよ。」

「そ、そうだよね…………?サフィーさん達の話だと今の北の猟兵の人達は”ノーザンブリアの誇り”を示す為だったら”どんな事をしてもおかしくないし”…………」
エステルとヨシュアは真剣な表情でユーディットとキュアに問いかけ、ミントは目を細めたフェミリンスの推測に不安そうな表情で頷いた。
「勿論、このまま状況が変わるまでオルディスをそのままにするような愚かな事はしません。―――クロスベル帝国軍にはこれよりオルディスの全市民の緊急避難場所として開発中の地下避難所への避難誘導を指示するつもりです。」

「――――現時点を持って”カイエン公爵家”並びに”クロスベル帝国政府”として遊撃士協会にオルディスの全市民の避難誘導の協力を依頼します!遊撃士協会並びにその協力者の皆さん…………オルディスの民達を守る為に、どうか力を貸して下さい!」
エステル達の疑問にユーディットは真剣な表情で答え、キュアはエステル達への依頼を宣言した後頭を下げた。
「うん、任せて!ヨシュア、ミント、フェミリンス、それにサフィーちゃん達も、行くわよ!」

「ああ…………!」

「はーい!」

「ええ…………!」

「「はい…………っ!」」

「了解…………!」

「了解しました…………!」
キュアの依頼を受ける事を答えたエステルはすぐに行動を開始する為にヨシュア達やサフィー達と共にその場から走り去った。


それぞれが非常事態に備えている中リィン達はサラ達と通信をしていた。

~デアフリンガー号・1号車~

「アガットさん、大丈夫ですか!?」
サラ達との通信を始めたティータは真っ先に通信相手の一人であるアガットの心配をした。
「ああ、こちらは大丈夫だ!だがバラッドってヤツが造らせた2基の列車砲が強奪された!ラクウェル北の峡谷地帯に全部が運ばれたみてぇだ!」

「幻獣が出たあたりか…………!」

「馬鹿な、そんな入り組んだ地形にどうやって列車砲を運び込む!?」

「た、確かに自走できるキャタピラもあるそうですが…………」

「そ、それでもさすがに無理がありません!?」
強奪された列車砲の場所を知ったミハイル少佐は驚き、トワとユウナは困惑していた。
「バラッドの私兵から話を聞いたが例の神機が現れたらしい…………!それが手をかざした瞬間、全ての列車砲が消えたそうだ…………!」

「”空間転移能力”…………!」

「白い神機は”空間”を操る―――それで2基とも運んだのかよ!」

「――――なるほどね。という事はブリオニア島の遺跡の霊力を神機に取り込ませていた理由はその為でしょうね。」

「あ…………」

「クク、”神機”をただの兵器としてではなく、そういった扱い方をするとは敵も考えているじゃねぇか…………!」
レンの推測を聞いたセレーネはブリオニア島で霊力を取り込んでいた様子の神機を思い出して呆けた声を出し、ランドロスは感心した様子で呟いた。


「――――取込中の所、割り込んでしまって申し訳ありません。」

「あ…………」

「貴女は…………!」

「ユーディット皇妃陛下…………!」
するとその時新たな通信が入ってユーディットの映像が追加され、それを見たゲルドは呆けた声を出し、アルティナとクルトは驚きの声を上げた。


「ユーディット皇妃陛下自らがこちらに連絡した理由はやはり今起こっている非常事態の件でしょうか?」

「ええ…………現在、峡谷方面から聞こえてくる列車砲の砲撃音の件でオルディスも非常事態に陥っている影響で皆さんと通信している時間もあまり取れない為、単刀直入に今回こちらに連絡した要件だけ伝えておきます。―――このまま、北の猟兵達によって強奪された列車砲が悪用される状況が続いた場合、クロスベル帝国(私達)は”正当防衛”として峡谷方面に設置されている列車砲を破壊する為にジュノー海上要塞を含めたオルディス地方に配備されている4基の列車砲による峡谷方面への砲撃での破壊をするつもりです。」

「そ、そんなっ!?」

「馬鹿な!?ユーディット皇妃陛下、無礼を承知で意見させて頂きますがもしそのような事を実行した場合、エレボニアとクロスベルとの間で外交問題が発生する可能性が高いとわかっていて、そのような事を実行するおつもりなのですか!?」
ユーディットの説明にリィン達がそれぞれ血相を変えている中トワは表情を青褪めさせ、ミハイル少佐は驚きの声を上げた後真剣な表情でユーディットに問いかけた。
「――――既にヴァイス様並びにギュランドロス陛下の代理を務めておられるルイーネ様からも”予め許可は頂いています。”」

「あ、”予め許可を頂いている”という事は…………」

「バラッド侯が列車砲を造らせている情報を予め入手していたクロスベルは”列車砲が何者かに強奪されて悪用される事”を見越して、予めユーディットお姉さんに許可を出していたという事でしょうね。」

「チッ…………幾ら自国の領土を守る為とは言え、他国の領土に列車砲で砲撃するとか何を考えていやがるんだ、あの野郎は!?下手をすればラクウェルまで巻き添えになるぞ!?」

「ヴァイスさん…………」

「…………っ!」
ユーディットの話を聞いてある事に気づいたセレーネは不安そうな表情をし、レンは意味ありげな笑みを浮かべ、レンの推測を聞いたアガットは舌打ちをして厳しい表情を浮かべ、ティータは複雑そうな表情をし、アッシュは唇をかみしめてユーディットを睨んだ。
「…………ユーディット皇妃陛下、確かクロスベルにはリセル皇妃陛下達とメンフィルが共同で開発したあのとんでもない”化物”―――”歪竜”も所有していたッスよね?”歪竜”による空からの遠距離攻撃は考えなかったんっスか?正直、列車砲で砲撃するよりも”歪竜”の空からの遠距離攻撃の方が確実性があると思うんっスが。」

「まあ、普通に考えたら地上からの砲撃よりも空からの攻撃の方が命中率は高いな。」

「わ、”歪竜”…………?そ、そういえば内戦の時にもレン教官の話で何度か出てきた事があったけど………」

「メンフィル・クロスベル両帝国が共同で開発し、それぞれ保有している竜の姿をしたという超大型飛行兵器か…………」

「り、”竜”!?しかも飛行兵器って………!まさかクロスベルにそんな兵器があったなんて…………!?」
ランディは静かな表情でユーディットに問いかけ、ランディの問いかけに続くようにランドロスは静かな表情で呟き、ランディ達の話を聞いたトワが戸惑っている中重々しい様子を纏って呟いたミハイル少佐の話を聞いたユウナは驚きの声を上げた。
「”歪竜”の場合、逆にあまりにも威力があり、攻撃範囲も広すぎて、強奪された列車砲の近隣にある都市―――ラクウェルを巻き込む可能性がほぼ確実である為、”歪竜”による破壊は現在の所考えていません。」

「…………確かに”歪竜”によるエネルギー砲撃はあまりにも威力がありすぎますから、列車砲による砲撃よりも被害は大きくなるでしょうね。」

「リィン教官はその”歪竜”?という存在の事をよく知っているようだけど…………もしかして、その”歪竜”が戦争とかで利用されている所を見た事があるの?」
ユーディットの説明を聞いてかつての出来事を思い返して複雑そうな表情で呟いたリィンの話を聞いたゲルドはリィンに訊ねた。


「ああ…………”七日戦役”の最後の戦いだった”オルディス制圧作戦”で初めて実戦投入された所を見た事がある。」

「ちなみにその”歪竜”による空からの強力かつ超広範囲のエネルギー攻撃によってウォレス准将と並ぶ”領邦軍の英雄”と称えられていた”黄金の羅刹”オーレリア・ルグィン将軍も跡形もなく”消滅”して、戦死したのですわ。」

「!オーレリア将軍が七日戦役で戦死した話は知ってはいましたが、まさかそのような兵器によるものだったとは…………」

「……………………」
リィンとセレーネの話を聞いたクルトは驚き、ミュゼは目を伏せて黙り込んでいた。
「その”歪竜”って兵器を使用する予定はなくても、4基の列車砲による砲撃の可能性が残っているだけで大問題じゃねえか…………ユーディット皇妃陛下、この際クロスベルがバラッド侯が所有している列車砲が強奪される可能性を推測していた件を置いときますが…………”才媛”と称えられている貴女程の才女が何故そんな強硬手段を取る事を決めたんですか?もしそんな事をすれば、例え峡谷方面の列車砲を破壊できても、最悪エレボニアとクロスベルの間に戦争が勃発するかもしれない外交問題が発生する事は十分に考えられる事を予想していなかったんですか?」

「当然その可能性も想定しています。――――ですが、私はオルディスを含めた元エレボニア帝国領方面の”総督”にしてオルディスの民達の命を守る事が義務付けられている”クロスベル側のカイエン公爵家当主代理”です。オルディスの民達を守る為ならば”非情な手段”を取り、その結果他国から憎悪が向けられる覚悟も2年前キュアと共に父の爵位を剥奪し、カイエン公爵家を乗っ取った”七日戦役”の時からできています。」

「ユーディットさん…………」

「……………………」
ユーディットの覚悟を知ったアルフィンは複雑そうな表情をし、エリゼは静かな表情で目を伏せて黙り込んでいた。

「それに逆に聞かせて頂きますが、そもそも北の猟兵達によって強奪された列車砲の砲口がオルディスに向けられない保証がどこにあるのですか?」

「そ、それは…………」

「…………ちなみにオルディスもフォートガードと違って砲撃されていないとはいえ、市民達は砲撃音で混乱しているのですか?」
ユーディットの問いかけに反論できないトワが辛そうな表情で答えを濁している中、サラはユーディットに訊ねた。
「ええ。現在クロスベル帝国軍と遊撃士協会が協力して市民達の避難誘導を行っている最中です。」

「…………ユーディットさん、先程このまま峡谷方面の北の猟兵達が占拠した列車砲による砲撃が続けば、クロスベル帝国軍が保有している列車砲で峡谷方面の列車砲を砲撃するつもりだと仰っていましたが…………逆に言えば、クロスベル帝国軍はまだ砲撃するつもりはないのですわよね?」

「あ………っ!」

「確かに幾らオルディスの民達を守る為とは言え、戦争勃発の原因になりかねない事はそう簡単に実行できないわね。―――ユーディット皇妃陛下、クロスベル帝国軍はいつ頃峡谷方面の列車砲を砲撃する予定なのでしょうか?」
アルフィンの問いかけを聞いてそれぞれが血相を変えている中ユウナは声を上げ、エリゼは納得した様子で呟いた後ユーディットに問いかけた。

「最初の砲撃から12時間後――――つまり、本日の16(ヒトロク):30(サンマル)までは待ちますし、30分前まではオルディス地方に配備されている列車砲の砲口を峡谷方面にも向けません。それと砲撃の30分前には皆さんへの退避要請の為にそちらに連絡を差し上げます。ですからそれまでに皆さんの尽力によって解決できること…………心から祈っております。」
そしてエリゼの問いかけにユーディットは真剣な表情で答えた。


~フォートガード~

一方その頃列車砲の砲撃によって灯台が木端微塵に破壊されていた。
「と、灯台が…………!」

「いかんな………住民の避難を急がせよう!」

「こちらはいったん峡谷方面へ向かいます…………!」

「あ、ボクも!」

「オレも付き合います!」

「私も付き合おう。バイクで飛ばせるはずだ。」

「閣下、パトリックもフォートガード方面を頼みます!」
パトリックとハイアームズ侯爵にフォートガードの事を託したユーシス達は峡谷方面へと急行し始めた。

~グラーフ海上要塞・司令室~

「馬鹿な…………今度は全軍を峡谷に送れと仰るのか!?」
同じ頃ウォレス准将は通信相手であるバラッド侯爵のとんでもない指示内容に怒りの表情で問いかけた。
「そ、そうだ…………!列車砲を全て奪還するのだ!いいか、無傷でだぞ!?元手が掛かっているのだからな!それと絶対にユーディット達に破壊されないように迅速にだ!」
通信相手であるバラッド侯爵は起きたばかりなのか、就寝時の寝間着姿でウォレス准将と通信をしていた。
「新海都の守備はどうするのです!それにグラーフ(ここ)を空ける訳には!」

「あ、あの砲撃の前に守備など何の意味がある!?新海上要塞はワシに任せよ!これより護衛と向かうのでな!」

「くっ…………まさか自分だけがここに逃げてやり過ごすつもりか!」

「准将、峡谷に軍を送るにせよ、ここを明け渡すわけには…………!」
バラッド侯爵が通信を切ると地方軍将校の一人はウォレス准将に意見をした。
「いや―――統合地方軍へのバラッド侯の監督権限は絶大だ。違えるわけにもいかん…………だが、あらゆる事態に対応できるようにしておこう。第一から第八は峡谷方面へ!俺が指揮を執る!九から十二は新海都周辺に展開!避難誘導や被害への対応を行え!」

「イエス・コマンダー!」
ウォレス准将の指示に力強く答えた将校達はそれぞれ行動を開始し
(”あの方”の言葉通りか…………綱渡りになりそうだが…………果たして間に合うか?)
ウォレス准将はある人物の事を思い返して考え込んだ。

~演習地~

それぞれが行動を開始している中リィン達は要請(オーダー)を持ってきたレクター少佐と対峙していた。
「――――さてと、要請(オーダー)のお時間だ。政府が雇ったニーズヘッグは失敗、元・北の猟兵たちが列車砲を奪取した。結社の力を借りて峡谷地帯に運び、今現在も、新海都に砲撃を続けている。整備不足みたいだが、2基もあるからおよそ10分に1発撃てる計算になるな。」

「くっ…………」

「こんな状況になってやっと詳しい情報を…………」

「……………………」
レクター少佐の説明を聞いたクルトは唇をかみしめ、ユウナはレクター少佐を睨み、ミハイル少佐は目を伏せて黙り込んでいた。
「ま、結社の動きもあったから色々手探りだったのは確かでな。とりあえずお約束、やっちまうか。”灰色の騎士”リィン・シュバルツァー。――――メンフィル両皇帝の要請(オーダー)を伝える。”結社”と猟兵達の狙いを見極め、この地の混乱を回復せよ。可能ならば”執行者”を討伐もしくは捕縛せよ。」

「引き受けました…………!」

「ちょうど良かったわ!」
リィンがレクター少佐から要請書を受け取ったその時サラ達がその場に駆けつけた。


「アンちゃん、サラ教官!」

「ユーシスさんたちも…………!」

「列車砲の状況が知りたい!これから峡谷方面へ向かう!」

「リィンはどうする!?」

「――――行こう!」

「じゃあ、あたしたちも…………!」

「ご一緒します…………!」

「いや、君達は念の為こちらで待機しててくれ!」
リィン達に同行しようとした新Ⅶ組だったがリィンからのまさかの指示にそれぞれ血相を変えた。
「そんな…………!」

「ハッ、また生徒は置いてけぼりってか!?」

「違う―――思い出せ!列車砲は確かに脅威だがそれよりも危険な存在がある!昨夜、列車砲を運んだ”あれ”がどこに現れる可能性がある!?」
リィンの指摘を聞いた新Ⅶ組はそれぞれブリオニア島で見た神機を思い出した。


「そ、そっか…………」

「確かに、あの白い機体に備えておく必要がありますね。」

「うん、あの白い神機が列車砲がある場所にいるとは限らないもの。」

「各種装備を整えて待機!どうせ嫌でも協力してもらう!セレーネとエリゼ、それとアルフィンとレン教官も今回は念の為に生徒達と待機していてくれ!」

「「わかりましたわ!」」

「ま、現状を考えるとそれがベストな判断ね。レン達の方はいつでも出陣()れるようにしておくから、頑張って来なさい。」

「兄様、どうかご無事で…………!」

「頼んだぞ、Ⅶ組特務科!」

「イエス・サー!」
その後セレーネ達への指示を終えたリィンはユーシス達と共に峡谷へと急行した――――
 
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