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提督はBarにいる。

作者:ごません
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艦娘とスイーツと提督と・32

~ビスマルク:焼きアーモンド~



「うん、この甘さと塩気の絶妙な感じ!懐かしいわ!」

「そうか?初めて作ったんだがなぁ。まぁ、口に合ったんなら良かったぜ」

 顔を綻ばせながら皿に入った『それ』をポリポリと咀嚼しているのはウチの海外組の最古参、ビス子ことビスマルク。食べているのはドイツの焼き菓子である『焼きアーモンド』だ。

《洋酒にも合うよ!焼きアーモンド》※分量:作りやすい量

・アーモンド(素焼き):100g

・バター:10g

・砂糖:小さじ2

・シナモンパウダー:お好みで


《作り方》

 フライパンでバターを焦がさないように溶かす。バターが溶けたらアーモンドを入れて、バターを全体に絡ませるように炒っていく。

 バターがアーモンドに絡んだら砂糖を入れ、更に炒る。砂糖が溶けて、アーモンドが溶けた砂糖でコーティングされたら出来上がり。仕上げにシナモンパウダーを振ると、本場の味に近付くぞ!




 作るのも食べるのも初めてだが、これはなかなか。香ばしいアーモンドにバターの塩気とコク、それに少し焦げた砂糖の甘味と苦味が合わさって絶妙な味だ。ドイツだと屋台で売ってるスナック的な扱いらしいが、ウィスキーなんかの洋酒のツマミにもよさそうだ。

「クリスマスとかお祭りの時に、屋台に並ぶのよコレ。アーモンドだけじゃなくて、カシューナッツとかヘーゼルナッツ、クルミなんかも同じように売られてて、どれも美味しいのよ?」

「へぇ、そりゃいいな。ツマミには困らなそうだ」

「もう!貴方ったらなんでもお酒に繋げちゃうのね」

「仕方ねぇさ、好きなんだから」






「ああ、でも焼きアーモンドばかり食べてたら口の中が甘くなって来ちゃったわ。ねぇ、紅茶でも飲まない?」

 意外と知られてないが、ドイツはイギリスに並ぶ位の紅茶大国だったりする。フルーツティーやフレーバーティーの種類が豊富で、しかも安いし美味い。中には、『レモンケーキ』やら『ストロベリーチーズケーキ』やら、それはお茶請けの菓子じゃねぇのか?と聞きたくなるような味の紅茶も売ってたりする。更に、ドイツでは漢方薬のように茶葉をブレンドして体調を整えるのにも使ったりするんだとか。安眠効果や免疫力の向上、デトックスにリラックス、風邪の症状を和らげる紅茶、なんてのもドラッグストアやスーパーで定番商品として売ってるらしい。……あと、男性機能を向上させる紅茶ってのがあるらしく、ウチの嫁さんがビス子に問い詰めてたらしい。お前は俺にこれ以上に元気になれと言うのか。毎回気絶するクセに。

「んじゃ、ちょっと待ってな。今淹れて来てやるよ」

 俺はコーヒーだけどな。

「ふぅ……コーヒーもいいけど、やっぱり紅茶の方が落ち着くわね」

 優雅にカップを傾けて紅茶を飲んでいる姿を見れば、その美人さも相俟ってどっかの良いとこのお嬢さんっぽいんだけどなぁ。

「……なによ、私の顔に何かついてるの?さっきからジロジロと眺めてるけど」

 ……これだもんなぁ。この勝ち気な性格が見た目の良さを邪魔している。まぁ、その強気な性格を屈服させるのもまた楽しかったりするんだが。

「ちげーよ。やっぱりお前似てるんだよなぁ」

「あぁ、去年の忘年会でやらされたコスプレ?比叡と夕張もやたらとノリノリだったけど、何なのアレ?」

 ウチの鎮守府は毎年、忘年会と新年会をやる。……というより、何かとかこつけて飲む口実を作り出しているだけなのだが。そんな忘年会では毎年、1ヶ月前に出し物をやる奴がクジで選ばれる。内容は漫才だったりマジックやらされたり、その年の流行りの曲でダンス踊ったりと様々だが、そんな中に『コスプレしてカラオケ』というのがある。読んで字の如くコスプレや仮装をさせられて1曲唄うって内容なんだが、出し物を考えるのが面倒だって奴からは意外と好評で毎年誰かしらがやっていた。んでもって、去年はそのお鉢がビス子に回ってきたってワケさ。

 問題はそのコスプレしたキャラクター。本人は何でもいいと発言した事から、ウチのアニオタ連中が奮起。ならばアレしかねぇ、と夕張と比叡が気合いを入れて衣装を準備していた。出来上がった衣装は露出多めで、着ていた本人は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたが、何でも良いと言った手前、強がりのビス子が着たくないと言えるはずも無く非常に眼福な光景だった。

「っていうか何よ、『銀河の妖精』って。名前からして痛々しいじゃない」

「舞台が宇宙空間を旅する移民船団なんだよ。ってか、前にDVD観てたろ?アレの続編だ」

 ビス子が前に見てた作品は、移民船団が辿り着いた惑星を舞台にしていたので話の作りが微妙に異なってたんだ。それに、ビス子が着せられたキャラクターの職業はアイドル。しかも歌姫と呼ばれるレベルの美貌と歌唱力を兼ね備えたキャラだった。……それに、ビス子に負けず劣らずのキツい性格だったし。

「お前さんに似て美人だったし、声もそっくりなんだなぁコレが」

「そ、そう?まぁ、私くらいの美人なら当然の事よね!」

 気が強そうに見えてチョロい所もそっくりだ、というのは黙っておこう。

「ねぇ、貴方そのDVD持ってないの?観たいんだけど」

「持ってるぜ?貸してやるよ」

 後日、そのDVDを観たビス子から

『私あんなにワガママじゃないわよ!』

 とキレられた。他のドイツ組と一緒に、自覚が無いって恐ろしいねと言葉を交わしたのも内緒だ。 
 

 
後書き
やっぱりビス子って銀河の妖精さんの生まれ変わりだと思うんですよ(力説) 
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