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徒然草

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5部分:五.不幸に憂に


五.不幸に憂に

五.不幸に憂に
 自分が少し思っていることに関してですが自分は不幸な者だと思いそれに憂いていて仕方のない人が髪の毛を剃ってしまい出家してそのうえでものの弾みで悟りを開いてしまうよりはただ意味もなく生きているというよりは死んではいないといった感じで門を締め切ってそのうえで引き篭もりそのうえで意味もなくうだうだと日々を漂っている。これもある意味では理想的だとも思います。
 ここで中納言殿である源顕基殿のお話をさせて頂きます。中納言殿が仰ったことですが悪いことをして流された島で見る月。この月を無邪気な心で見詰めていたい。この御言葉に共感を覚えます。不幸を嘆くのもやはり人としてあるのですがそれよりも。日々を漂っているような無心のままで一日一日を送っている方がまだいいものではないか思います。
 確かに世の中というものは何かというとありとあらゆることに関してままならないもので生きていればそれだけ憂いがあるものでありますけれど。それでもそれに苦しむよりは日々をただ過ごしているのもいい。悟りを開かなくてもそれでも生きていくことができるのだから。だから日々を何を考えることもなくただ生きているというのもこれもまたいいものであると。憂いから悟りを開くのも御仏でありそれは実に有り難いものなのですが。それでも私はこうも思ったりするのであります。これが私の考えです。


不幸に憂に   完


                  2009・4・20
 
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