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徒然草

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40部分:四十.因幡国に


四十.因幡国に

                    四十.因幡国に
 因幡の国に何とかという入道の娘さんがおられました。この娘が物凄く可愛いと評判が立ったので大勢の男の子が声をかけたり見に来たりしました。ですがこの娘は多少変わったところがあったようでして栗ばかり食べてお米等の五穀を全く食べませんでした。それで父親である入道さんはここまで変わった娘は他所様にお嫁さんとして差し出すわけにはいかないと言ってお嫁に行くことを許しませんでした。
 こうした話を聞きましたがやはり人とあまりにもかけ離れておりますと何かと都合が悪いものである。個性と言ってもいいですがそれでもあまりにも奇行が過ぎるとかえってよくはありません。それで損をするのは他人ではなく自分自身ですからよくよく考えて何かをしないといけません。それは食べ物についても言えることでありまして。栗を食べるのもいいですがお米も食べないといけません。やはりお米やそうした五穀は食べ物の基本であります。それを食べずして何があるでしょうか。栗は確かに美味いものであります。これを食べていると確かに幸せであります。しかし何事も過ぎればよくないものでありましてこればかり食べて他のものを食べないというのはやはり異様なのであります。それでどうして嫁に出せましょう。幾ら美しくともあまりに変わっていてはその折角の宝も輝いては見えません。隠れてしまいます。それを今思う次第であります。思えば勿体無いことであります。栗ばかり食べるということでこうなってしまうとは。かえすがえすも残念であります。


因幡国に   完


                2009・5・26
 
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