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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE233 シノンの命狙う死銃・・・真の死銃の引き金は己の中に!?

議論の結果一つの可能性に行きついたキリト、それは死銃とは・・・仮想世界でアバターとして行動する者に加えて、現実世界でターゲットに直接手を下している者達による、複数犯説! by立木ナレ


キリトの推論にシノンはしばらく放心した後、何度も首を横に振っていた。

シノン「でも・・・・だって・・・・そんなの、無理よ。どうやって現実の家を・・・」

キリト「さっきモデルガンが送られて来たって話があったろ?」

シノン「じゃ・・・じゃあ、運営体が犯人なの・・・?それとも、データベースに侵入して・・・?」

スネーク「その可能性はかなり低いだろう。一介のプレイヤーでも、ターゲットの住所を知る事が可能だ。」

キリト「ああ、ターゲットがBoB本大会の出場者で、しかも賞品にモデルガンを選択した場合に限っては」

シノン「・・・・・」

俺「俺もそうだったが、総督府でモデルガンを希望する出場者は、あそこの端末で、自分の本名や住所を入力するからな」

キリト「そう、俺が予選のエントリー手続きをした時も、少し気になってたんだけど・・・あの場所は個室じゃなくて、後ろが広いオープンペースになってたろ・・・」

そこでシノンもついに悟ったらしく、息を詰めて小刻みに首を振っていた。

シノン「まさか・・・・後ろから、端末の画面を覗き見たって言うの?無理よ、遠近エフェクトがあるからちょっと離れただけで文字は読めなくなるし、そんな近くに人がいたら、幾らなんでも気づかないわけない」

俺「そこで・・・奴のあのマント、メタマテリアルだったか?それが街の中でも使えるんだとしたら。総督府ホールの中は相当薄かったしな」

スネーク「無の陰で透明化してしまえば、もう誰も気づけないだろうな。その状態で遠くから大型の双眼鏡やスコープを使えば、端末の画面を覗けるんじゃないか?」

キリト「そう、エントリーデータの住所や本名を読み取る事も、可能かもしれないんだ・・・・」

シノン「・・・・・!」

シノンはそれでも、その仮説を受け入れたくないかのように、更に反論の言葉を口にする。

シノン「・・・・仮に、現実世界の住所が判ったとしても・・・忍び込むのに、鍵はどうするの?家の人とかは・・・?」

俺「俺が聞いた話じゃ、ゼクシードとたらこの二人の場合だが、連中はどっちも一人暮らしで住んでたのは古いアパートだったらしい。それならドアの電子錠も、セキュリティの甘い初期型とかじゃねぇか?」

キリト「それに加えて、標的がGGOにダイブしている間は、生身の身体は完全に無意識状態だからな。多少侵入に手間取ったとしても、そう容易く気が付かれる事は無いだろう・・・・。」

スネーク「住宅の鍵が、車と同じ電波式のキーレスエントリー錠に置き換えられるようになったのはここ7、8年の事だ。これによって物理的なピッキングは不可能となったが、初期のタイプはマスターキー・・・マスター電波が解析されて、それが勲困れた解錠装置がブラックマーケットで高額取引されてるらしいぞ」

マジか?俺は車も、自宅アパートも電子錠ですらない昔ながらの鍵穴に差し込むタイプ物理式だから、そんな事とは一切無縁だ。

シノン「じゃ、じゃあ・・・死因は?心不全って言ったよね?警察とか、お医者さんにも判らない手段で心臓を止めること難が出来るの?」

それは流石に俺にも想像が全くつかないが、代わりにスネークが答える。

スネーク「おそらくは・・・何かしらの薬品を駐車したとかじゃないか?」

シノン「そんなの・・・調べれば判るでしょう?注射の痕とか」

キリト「・・・死体は、発見が遅れてからかなり腐敗が進んでいたらしい。それに・・・残念ながら、小穴VRMMOプレイヤーは心臓発作で死ぬ例は少なくないんだ」

俺「ろくに飲み食いもしねぇで、寝てばっかりの連中だからな・・・って、俺等も人のこと言えねぇじゃねぇか・・・」

キリトは俺の皮肉に多少の思い当たる節を感じたのか、痛々しい表情を一瞬浮かべたが、すぐに首を横に振って話を続ける。

キリト「部屋も荒らされず、金がとられてもいなければ、」自然死と判断される確率は高いと思う。それでも一応、脳の状態は詳しく調べたらしいんだけど、まさか薬品を注射されたなんて・・・最初からそのつもりで調べないと、分らないだろ」

シノン「・・・狂ってる」

シノンが言うまでも無く、そこまで用意周到な上に演出まで凝っている殺人計画ともなると正気の沙汰なはずがない。

キリト「ああ・・・狂ってる。でも・・・理解は出来ないけど、想像は出来る。あいつは、そこまでしてもレッドプレイヤーでい続けたいんだろう。俺も・・・俺の中にもまだ、俺はアインクラッドの最前線で戦い続けた剣士なんだって言う意識があるから・・・」

シノン「・・・それは、私も何となく、解る。私も、自分は狙撃手(スナイパー)なんだって時々思うことがあるし・・・」

流石に俺は、自分自身が剣士だなんて思っちゃいないが、仮想世界のもう一人の自分に特別な思い入れを込めている者達にとってはむしろ、仮想世界の自分こそが自分の真の姿だとか考えるようになるのかもな。

スネーク「となると、あのぼろマント・・・死銃とモルターレだけでなく、現実世界での共犯者もSAO生還者(サバイバー)だと考えられないか?」

俺「ついでに言えば、そいつもラフィン・コフィンの生き残りの可能性も高いな」

キリト「あ、もしかして・・・」

またしても何かに気付いたようなキリトにこの場の一同の視線が集まる。

キリト「いや、大したことじゃないんだけど・・・あのぼろマントの、十字を切るゼスチャー。あれは観客へのアピールであると同時に、腕時計を確認する高位のカモフラージュだったのかも。現実世界の共犯者と、かなり厳密に犯行時刻を合わせる必要があるはずだからな。と言って、撃つ前にいちいち時計を見るのは不自然すぎる」

スネーク「そうか・・・・!手首の内側に小型ウォッチを装備しておけば、額を触る時に丁度目の前か・・・・」

キリト「シノン。――君は、ひとり暮らしか?」

またしてもキリトは真剣さの真下表情で口を開く。本来VRMMOでリアルに関する質問ってのはマナー違反なわけだが・・・こいつなりに何かの意図があるんだろう。

シノン「う・・・うん」

キリト「鍵は・・・それと、ドアチューンは?」

シノン「いちおう、電磁ロックだけじゃなくてシリンダー錠も掛けてあるけど・・・鍵そのものは、うちも初期型の電子錠・・・。チェーンは・・・してない、かもしれない」

キリト「そうか。――いいか、落ち着いて聞いてくれ」

キリトの色濃い懸念を帯びた表情と、今までの質問を聞いて、俺はキリトがどんな懸念を抱いていたのかおおよその想像が付いてしまった・・・キリトの憶測通りなら現実世界の死銃の協力者は今頃・・・


キリト「廃墟のスタジアム近くで、死銃は、麻痺した君をあの拳銃で撃とうとした。いや・・・ロボットホースで俺達を追っている時に、実際に撃った。それはつまり・・・準備が完了している、ということだ」

シノン「準備・・・って、何の・・・」

シノンの殆ど音になってない声での問いに対してキリトの返答は僅かな間を置いてから・・・

キリト「・・・・今、この瞬間に、現実世界の君の部屋に死銃の共犯者が侵入して、大会の中継画面に君があの銃に撃たれるのを待っている――という可能性がある」

スネーク「・・・・そうだ、だからこそ死銃は・・・共犯者の準備が完了している事を確信したから黒星をシノンに向けて撃ったんだろうな・・・・」

やはりそう言う事だ。死銃はその気になればいつでも現実世界のシノンに何かしらの薬品を投与して、その命を絶つ事が出来る状況になっているんだ。

シノン「嫌・・・いや・・・いやよ・・そんなの・・・・」

自分の置かれた状況を理解したシノンは、恐怖に満ちたような呻き声をあげはじめていた。

シノン「あ・・・ああ・・・・・」

キリト「だめだシノン!」

シノンの異変にキリトが両腕を握っていた。

スネーク「いかん、自動切断しかけたんじゃないか!?」

俺「だとした洒落にならねぇよ・・・今自動切断でログアウトしちまったら・・・現実世界で死銃の共犯者とご対面だぞ・・・!」

当然、現実世界で本物の死銃の共犯者の顔を見てしまった日には、シノンをそのまま無事に逃すはずがなく、待ち受ける末路はゼクシード、たらこ、ペイルライダーと同じ―――

キリト「がんばれ・・・気持ちを落ち着かせるんだ!まだ大丈夫、危険は無い!!」

シノン「あ・・・・あっ・・・・」

すっかり冷静さを失い、焦点の合わない目を見開きながら、闇雲に両手を動かしていた。

キリト「死銃のあのハンドガン・・・黒星(ヘイシン)に撃たれるまで、侵入者は君に何もする事が出来ない。それが、奴ら自身の定めた制約だ。でも心拍や体温の異常で自動ログアウトして、しんにゅ者の顔を見てしまうと逆に危険だ。だから、今は落ち着くんだ」

シノン「でも・・・でも、怖い・・・怖いよ・・・・」

シノンは子供染みた訴えと同時に、キリトは両腕をシノンの肩に回してしっかりと抱きしめていた。こんな時に不謹慎な事かもしれないが、俺はこの時ますますアスナ達に見られたらどう言い訳するんだとか考えていた。


そして、オズマがそんなどうでも良い懸念・・・不謹慎な思考の中、シノンはキリトの温もりを感じ・・・僅かずつではあるが理性を・・・冷静さを取り戻そうと抗う・・・殺人者が現実世界の自分の部屋に侵入しているという恐怖にっ!! そして・・・・ by立木ナレ

シノン「どうすれば・・・良いの?」

キリト「死銃を倒すんだ。そうすれば、現実世界で君を狙う共犯者は、何も出来ずに姿を消すはずだ。――と言っても、君はここで待機していればいい。俺が戦う。奴のあの銃では、俺を殺せないんだからな」

シノン「本当に・・・大丈夫なの?」

キリト「ああ。俺はエントリーの時に名前も住所も書いてないし、そもそも俺は自宅からダイブしてるわけじゃないんだ。すぐ近くに人もいるしな。だから俺は大丈夫。ただ、ゲームのルールに則ってアイツを倒すだけだ」

は?キリトは自宅からダイブしてないだって・・・?俺と同じように依頼を受けてる立場なのに、俺の依頼人の遠藤は家の中から勝手に普通にアミュスフィアでダイブしろとか言われて・・・ちゃんとすぐ近くに人がいるという保証付き?

遠藤の奴、危険が伴うかもしれない依頼をしてきやがった立場の割には、随分と俺に対する安全保障が雑なもんだな・・・っ!まぁ、今更その事に気が付いてる俺も大間抜けなわけだが・・・

スネーク「俺も自宅からのダイブではない、知人から紹介された施設から専用のフルダイブ機器を使わせてもらっている」

んでもって遠藤の奴、協力者のスネークに対してはその辺りはキッチリと用意周到に配慮してるじゃねぇか!―――ああ、そうだな。奴からして見りゃ、俺に限っては世の中のクズだから死んでもどうせ誰も惜しくねぇって意図かよ・・・!

キリト「オズマ、お前は?やっぱりお前も依頼してきた人から専用の場所を手配されて―――」

俺「俺は自宅からだよ・・・初期型の電子錠すらない様な・・・昔ながらのシリンダー錠だけのボロアパートからだよ・・・んでもってエントリーの時に自分の住所氏名年齢も記入済みだ・・・!」

キリト「え・・・ならお前、死銃に個人情報をあらかた知られてるかもって事か・・・?」

キリトの視線が俺を哀れむような・・・あるいは迂闊さに呆れているかのような目付きなのが否応でも感じざるを得なかった・・・

俺「まあ・・・俺の家は定職に就いてねぇ親父やら爺やらが土日祝日平日関係なく、四六時中最低でもどっちかが家にいるからその辺りは大丈夫なはずだ・・・」

ついでに言えば、今は俺の妹のつもりの芽瑠(アスナの従妹)までいるしな。

シノン「それは・・・・別の意味で大丈夫じゃない気がするわよ。そのぉ・・・アンタの家庭環境とか・・・」

スネーク「お袋さんが恋しくなったりしないか?片親だからと言って悲観する事など無いさ」


圧倒的同情・・・!そして哀れみ!オズマの迂闊さにより死銃に個人情報を知られたかもしれぬオズマに対するキリトの視線!――そして、母親不在に加えて、父も祖父も定職に就いていないという家庭環境に対するシノンとスネークの同情と哀れみ!そう、本当の死銃の引き金(トリガー)はある意味では、己の中に潜んでいるかもしれぬのであった! by立木ナレ 
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